2021年のWRCは、モータースポーツ界で最も象徴的なサーキットを舞台とするラリーモンツァで今季の最終戦を迎える。
F1イタリアグランプリの開催地として知られるアウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァがWRCカレンダーに初めて加えられたのは、新型コロナウイルスの感染流行により大波乱のシーズンとなった2020年。歴史の長いバンクのついたオーバルとミックス路面のアクセス路を組み合わせたグランプリサーキットのセクションに、ベルガモ周辺の山間地ステージを組み合わせてアイテナリーが構成された。この時は雨と雪にも見舞われ、とりわけチャレンジングなイベントとなった。
1年前のこのイベントでは、セバスチャン・オジエがこのモンツァで勝利を飾り、エルフィン・エバンスをかわしてドライバーズタイトルを獲得した。今年も、このトヨタのふたりが最終戦でタイトルをかけての決戦に臨む。今回は、オジエはエバンスに対し17ポイントのリードを握ってモンツァを迎える。エバンスが自身初のタイトルを狙う一方で、オジエは8度目の選手権制覇を目指すが、フル参戦からは今季いっぱいで退くためこれが最後のタイトルチャンスとなりそうだ。
マニュファクチャラーズ選手権の争いも、このモンツァで決着がつくことになる。現在、トヨタは2番手のヒュンダイに対し47ポイントリードしており、この最終戦で獲得可能なポイントは最大52ポイント。トヨタ勢は通常どおり、オジエ、エバンスに加えカッレ・ロバンペラをポイント対象ドライバーにノミネートしている。さらに勝田貴元もトヨタ・ヤリスWRCでの最後の参戦を迎える。ヒュンダイは、ティエリー・ヌービルに加え、ダニ・ソルド、家庭の事情で欠場となるオィット・タナックに代わってヒュンダイi20クーペWRCでの初めての参戦に挑むテーム・スニネンをエントリーする。
Mスポーツ・フォードは、ガス・グリーンスミス、アドリアン・フルモーがフォード・フィエスタWRCを駆る。グリーンスミスは、前戦スペインで現役を引退したクリス・パターソンに代わり、ヨナス・アンダーソンをコ・ドライバーに迎える。ヒュンダイ2Cコンペティションから4度目のWRカー参戦に臨むオリバー・ソルベルグも、新たにエリオット・エドモンソンと組んでの初ラリーとなる。
今回のラリーモンツァは、現行WRカーの最後のイベントとなり、2022年からWRCの最高峰クラスは新たなハイブリッドのラリー1マシンで戦われる。
WRC2選手権は、アンドレアス・ミケルセンがすでにタイトルを確定させてモンツァを迎える。チームメイトのマルコ・ブラシアとともに、トクスポーツWRTのチームズタイトル獲得を狙う。イタリアのモビスポーツもタイトルを目指しており、ニコライ・グリアジン、エンリコ・ブラゾッリのラインナップで臨む。一方、Mスポーツ・フォードからは、ヒュンダイから移籍したヤリ・フッツネンがチームからのデビュー戦を迎える。
WRC3選手権では、ポーランドのカエタン・カエタノビッチとフランスのヨアン・ロッセルがタイトルを争っている。そのほか、クリス・イングラム、ジョシュ・マクリーン、グレゴワール・ミュンスターも注目ドライバーだ。22人のエントリー中、15人がイタリア人ドライバーで、その中には2020年のイタリアチャンピオン、アンドレア・クルニョーラ、ステファノ・アルベルティーニ、ダミアーノ・デ・トマソも含まれている。今回のラリーモンツァには、計82台がエントリーしている。
■ラリールート
今年のラリーモンツァのルートは、金曜日と土曜日の両日に山岳ステージが含まれる。GerosaとCosta Valle Imagnaは今年も設定され、金曜日の午前中に2回走行。ラリーの滑り出しはチャレンジングな構成で迎える。午後はモンツァに戻り、サーキットでのステージを3本走行する。土曜日も同じようなフォーマットで、山間部の新ステージ、San Fermoと昨年も登場したSelvinoを2回ずつ走行した後、モンツァを2回走行。日曜日のルートは今年もサーキットだけで構成され、金曜日夕方に走行したGrand Prixの後、Serraglioを2回走行。2回目は今季最後、現行WRカーとしても最後のパワーステージとなる。
■ラリーデータ
開催日:2021年11月18-21日
サービスパーク設置場所:モンツァ
総走行距離:676.94km
総ステージ走行距離:254.46km(SS比率37.59%)
総SS数:16
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
セバスチャン・オジエ (#1)
エルフィン・エバンス (#33)
カッレ・ロバンペラ (#69)
[ヒュンダイ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル (#11)
ダニ・ソルド (#6)
テーム・スニネン (#3)
[Mスポーツ・フォードWRT]
ガス・グリーンスミス (#44)
アドリアン・フルモー (#16)