トヨタ・ガズー・レーシングが11月下旬にフレンチ・アルプスで行ったラリー1マシンのテストではアクシデントにより中断したものの、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは、ラリー1のレギュレーションを高く評価した。
ハイブリッドの新規定、ラリー1時代の初戦となる2022年WRC開幕戦ラリーモンテカルロ(1月20〜23日)に向けたテストでエルフィン・エバンスがクラッシュし、ドライブしていたGRヤリスRally1は、現場では修復できないほどのダメージを負った。これにより、セバスチャン・オジエの同マシンの初ドライブは延期することになったが、ラリー1マシンの安全構造が向上しているという自信を深めることになったようだ。
先週末は、ヒュンダイも同じくフレンチ・アルプスでi20 Nラリー1のテスト中にティエリー・ヌービルがクラッシュ。ヌービルと、肩を負傷したコ・ドライバーのマルティン・ウィダグは病院に搬送されたが、その日のうちに病院を後にしている。このアクシデントの詳細は明らかにはされていないが、SNSに投稿されたアクシデント後の画像ではマシンが谷間の川に沈んでいる様子が見られ、安全対策によってより深刻な怪我を防ぐことができたと考えられる。
ラトバラ自身も2009年のポルトガルで、山を転げ落ちるという大アクシデントを経験している。
「エルフィンは、このマシンで初めてアクシデントを経験することになった」とラトバラ。
「安全面という点では、非常にポジティブな結果。安全対策をはじめ、すべてがしっかり機能したことに満足している」
ラリー1では、クルーを保護するための新しいセーフティセルを採用するなど、大幅なレギュレーションの変更が行われている。FIAが調査と設計を行ったこの構造は、来季WRCマニュファクチャラーズ選手権に参戦する3台のラリー1すべてに共通するもの。フロントからトップ、サイドからの衝撃に対する安全性が大幅に向上している。
今回のアクシデントが、マシンのハイブリッドの面に衝撃を与えたかという問いにラトバラは、モーター、インバーター、バッテリーを含むハイブリッドのすべての部分が無傷だったと答えた。この3つは、70Gの衝撃に耐えられるボックスに封入されている。
「エルフィンのテストを中断した理由は、足りない部品があったからだ」とラトバラ。
「大きなクラッシュではなかった。新しいマシンなので、新しいパネルやほかのものも使っていくのだが、それらがなかったのでフィンランドに戻らなくてはならなかった」
トヨタはラリーモンテカルロ向けのベースセッティングを固めるために再びフランスを訪れ、オジエもGRヤリスRally1での初テストを行うとみられている。