12月16日にフランスのパリで行われたFIA表彰式は、ジャン・トッドにとってFIA総裁として出席する最後のガーラにもなった。トッドは17日でFIA総裁の任期を終えた。
「人生には時々に応じての章がある」とトッド。
「自分にとっては、コ・ドライバーになったことが始まりだった。そして今、この章が終わりを告げた。12年間は長かった。この仕事は過酷。新しいチームによるFIAには新鮮な血が流れる。私が離れた後も、素晴らしいチームが残した遺産を継いでいってくれると思っている。一方で、自分にもまだ変わらぬ情熱がある。今でもモーターレースを愛している。これからは、人生のほかのところの部分に恩返しをする番。自分は年はとったが健康だし、今後を見守っていく」
トッドは、2009年にFIA総裁に就任。認められる最大の三期・12年にわたって総裁職を務め上げた。
後任には、UAEのモハメド・ビン・スライエムが選出された。英国のグラハム・ストーカーとの投票でビン・スライエムは、FIAメンバーズクラブから61.62%の票を集めた。ストーカーは36.62%、1.76%は棄権だった。
ビン・スライエムは60歳。2005年からエミレーツ・モータースポーツ連盟(EMSO)の総裁を務めており、中東代表としてFIAワールドモータースポーツカウンシルの副総裁も経験している。ラリードライバー出身で、中東ラリー選手権(MERC)で14回タイトルを獲得しているほか、1983〜2002年の間に国際格式ラリーで61勝をマークしている。総裁選では「メンバーのためのFIA」のコピーを掲げ、世界のモータースポーツ参加者数の倍増、多様性と包括性の強化、持続可能なモビリティに関する主要な意見発信者となることを公約に掲げてキャンペーンを行ってきた。任期は4年で、上院議長にカルメロ・サンス・デ・バロス、スポーツ担当副議長にロバート・リード、モビリティ担当副議長にティム・シャーマンを任命した。
FIA総裁就任にあたりビン・スライエムは「FIA総裁に選出され、大変光栄に思う」とコメント。
「信頼してくれたすべてのメンバークラブに感謝している。グラハムの選挙戦と連盟への尽力も称賛したい。FIAとそのメンバーを代表して、この12年間、たゆまない尽力を注いでくれたジャン・トッドに限りない感謝の意を表したい。私は、モータースポーツとモビリティをさらに前進させるために、重要な仕事を追及していくことを約束する」
ビン・スライエムは、今年の8月には、将来的にWRCカレンダー入りを目指すERCチェコラリー・ズリンを訪れて、Mスポーツ・ポーランド製のフォード・フィエスタ・ラリー3でステージも走行。この時点で、FIA総裁候補に挙がっており職を引き継ぐ意欲を明確に表していた。