2022年からフル電動マシンでの戦いが始まる世界ラリークロス選手権に、2021年のドライバーズチャンピオン、ヨハン・クリストファーソンがフォルクスワーゲンにマシンを戻して挑むことを発表した。フォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウスとしてタイトル防衛に臨む。
2022年の世界ラリークロス選手権は、最高峰クラスがRX1eとなり、共有の電動パワートレーンをオーストリアのクライゼル・エレクトリックが供給。同社が14台分のキットをリザーブする中、クリストファーソンを擁するクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)は、3台でのエントリーを表明していた。なおクリストファーソンのチームメイトについては、今後発表するとしている。
2021年はアウディS1で参戦していたクリストファーソンは、シーズン序盤は苦戦を強いられていたが、中盤から挽回。シリーズリーダーのティミー・ハンセンに17ポイント差で迎えた11月の最終戦ニュルブルクリンクで劇的勝利を飾り、逆転で4度目のタイトルを獲得した。2022年は初めてタイトルを獲得した時と同じ、フォルクスワーゲンにベース車両を戻して5度目のタイトル獲得を目指すことになる。
「ラリークロスの新しい電動化時代に最初から参加できることは、本当に刺激になる」とクリストファーソン。
「これだけの規模のプロジェクトに取り組んだのは、2014年に初めて世界RXに参戦する時にマシンを製作した時以来。大きな違いは、当時、自分はラリークロスの経験がまったくなかったこと。その点は、今は少し違う。でも、すべてが新しくなるので未知数の部分ももちろん多い。ここ年は、実績のあるコンセプトを踏襲してきたので、開発の内容も比較的小規模なものだった。しかし、この新しいマシンには、もっと大きなポテンシャルがある。電動化はモータースポーツにとっても、自動車産業全般にとっても、将来の姿。こうした開発を手がけていくことは、自分にとってモータースポーツの最も魅力的な部分だ。信じられないほどタフでコンペティティブなシーズンになると予想しているが、始まりが本当に楽しみだよ!」
KMSのチームマネージャー、トミー・クリストファーソンは「このプロジェクトはKMSの歴史の中でも最大規模。小さな家族経営のチームが、新しいコンセプトに沿って新しいマシンを3台、開発して製作するのだからね」と意欲を見せる。
「自分が担う責任も大きいが、我々には非常に優れた技術を持つチームと、ドイツやアルビカのワークショップで培った豊富な知識・経験がある。このような環境で働けることは、大変光栄なこと。このレベルでは、学べば学ぶほど、自分たちがいかに何も知らないかということを思い知らされる。長年、自分たちが学んできたことのすべてを、このエキサイティングな新しい冒険に投入していきたい。そして、チャレンジングな世界選手権で、再びタイトルを狙っていく」
フォルクスワーゲン・スウェーデンのCEO、ステン・フォルスベルグは「ヨハン・クリストファーソンは、スウェーデンのモータースポーツ界で最も偉大な選手のひとり。世界RXで4回タイトルを獲得していることは、素晴らしい業績だ」とクリストファーソンに期待を寄せる。
「彼がラリークロスの新しい電動化時代へ向けて、そして何よりも、彼のマシンのフロントにフォルクスワーゲンのエンブレムを付けて、ステップアップすることを祈っている」