2021年のWRCドライバーズチャンピオンのセバスチャン・オジエが、今季の世界耐久選手権(WEC)にリシャール・ミル・レーシングチームから参戦することが発表された。シャルル・ミレッシ、リロウ・ワドウとともに、LMP2のオレカ・ギブソンをドライブする。
リシャール・ミル・レーシング・チームは創設以来これまで、女性ドライバーのみのトリオでヨーロッパ、そして世界の舞台に挑戦してきた。今季の、既成概念を打ち破ってきました。そして今季のWECでは、男女混成のドライバーズラインナップでLMP2カテゴリーへの挑戦を決断した。
「自分たちの当初の目的は、女性にチャンスが少ないことに注目してもらうことだった」とアマンダ・ミルは語る。
「女性だけのチームでスタートし、我々の意図を明らかにし、人々に考えてもらうことが重要だった。ELMS、そしてWECのLMP2プロトタイプで実力を発揮した3人の女性たちとともに過ごした2年間は、素晴らしい日々だった。しかし、どの女性ドライバーも、混成チームに自分の居場所を見つけることで、より包括的な関係を築きたいと願っている。彼女たちの夢は、男性たちが同じチームでドライブしたいと願ってもらうことで叶う。それが今回の我々のチームであり、人間的にもスポーツ面でも、充実したシーズンが期待できる3人で挑む」
リシャール・ミルとは2016年から協力関係にあるオジエ。1月にはWRCに導入されたハイブリッドの新規定ラリー1仕様のトヨタGRヤリス・ラリー1でWRC開幕戦ラリーモンテカルロに参戦し、セバスチャン・ローブと激戦を展開して2位フィニッシュを果たしたばかりだが、今季はまったく新しいチャレンジに向き合うことになる。
「ビッグチャレンジであることは承知しているが、簡単に取り組める以上に、モチベーションが高まるプログラムを模索していた」とオジエ。
「これまではラリーでのキャリアに専念してきたが、耐久レースはいいチャレンジになるのではないかと長年、考えていた。ドライバーは誰でも自己中心的になりがちだが、幸いなことに充実したキャリアを積んでくると、共有したいという気持ちが高まってくるものだ。LMP2は素晴らしいカテゴリーで、自分が耐久レースの最高レベルに達し上達するためには最善の方法。もちろん、自分は未熟者だが、何ができるのか、どこまでベストに近づけるかを見極めながら楽しみたいと思う。シャルル、リロウと自分はそれぞれ違う世界でキャリアを積んできた。何年も自分を支えてくれたリシャール・ミルとともに、それぞれ異なる経験を組み合わせていくのはとても興味深い。魅力的な冒険だが、学ぶべきことや積むべき経験も多いことも自覚してる。ラリーでは適応能力が高かったので、サーキットでもそうであることを願うよ!」
ワドウはワンメイクレースでキャリアをスタートした後、アルピーヌ・エルフ・ヨーロッパカップで初めての女性ウイナーとなった。サロンカー、GTなど幅広いカテゴリーで経験を積んだ後、現在はプロトタイプマシンに専念している。ミレッシは2021年にWECに初参戦を果たし、3レースで勝利を収めている。チームを運営するのは、過去6年間にLMP2で世界タイトルを2回獲得、ルマン24時間レースは3勝を収めているフィリップ・シノー率いるシグナテック・チームだ。
「リシャール・ミル・レーシングチームとともに、エキサイティングな冒険を続けられることをうれしく思う。我々はどのプロジェクトにおいても、“人”を大切にしてきたが、この3人はその精神にピッタリだ」とシグナテックのディレクター兼チームマネージャーを務めるシノーは語る。
「セバスチャンは耐久レースに挑戦したいという情熱を伝えてくれた。モータースポーツの特定の分野で多大な経験を持っている。常に厳しい性格でパフォーマンスを重視し、いつでも意欲的かつ謙虚に学び、周囲に自信を持たせてくれる。耐久レースでも、人間として、一緒に働きたいと周囲が思うようなお手本となるドライバーになるだろう」
今季のWECは全6戦で構成。チームが投入する赤の#1 オレカ・ギブソンの初戦は米国のセブリンクで迎え、その後、スパ6時間、ルマン24時間、モンツァ6時間とヨーロッパ戦が3戦続く。その後、日本の富士に向かい、バーレーン8時間が最終戦となる。
2022年FIA世界耐久選手権カレンダー
プロローグ 3月12〜13日 セブリンク(米国)
第1戦 3月18日 セブリンク100マイル(米国)
第2戦 5月7日 スパ・フランコルシャン(ベルギー)
第3戦 6月8〜12日 ルマン24時間(フランス)
第4戦 6月10日 モンツァ6時間(イタリア)
第5戦 9月11日 富士6時間(日本)
第6戦 11月11日 バーレーン8時間(バーレーン)