FIAは1月19日、改訂した地域ラリー選手権の規定を発行し、アジア・パシフィックラリー選手権(APRC)および、アフリカ、中東、南米、北中米の各地域ラリー選手権への参戦が認められているナショナルカー(各国独自の規定車両)について、FIAが定めるパワーウエイトレシオを満たすか、それ以上であること(ラリー2の性能をASN車両が上まわらないこと)とした。
ヨーロッパ選手権以外の地域ラリー選手権では、開催地域に含まれる国でそれぞれの地域性に合った独自のラリー車両カテゴリーでラリー競技が発展してきたケースが多く、アルゼンチンで誕生したMaxiは、オーストラリアやニュージーランドで地域性にもマッチしたことで支持を受け、その後、この地域ではAP4として発展を続け国内選手権でも活躍している。こうした車両に国際格式のラリーイベントへの参戦機会を与え各地域ラリー選手権の活性化を図るために、2019年からは、FIAの安全規定を遵守するなどの条件付きで、各国独自規定の車両をERCを除く地域ラリー選手権に参戦することが認められるようになった。
一方でFIAは、WRCへのステップアップへの道筋をスムーズにするために、ラリーカテゴリーのヒエラルキーをWRCと連携させる「ラリーピラミッド」を提唱。ヨーロッパラリー選手権については、参戦対象の車両がラリー2〜ラリー5となっている。
今回の改訂についてAPRCは、「2019年にAPRCの規定が再び進化し、ナショナルカーの参戦が認められ、より多くの国独自のカテゴリーのマシンによる参戦を迎え入れるきっかけとなった。こうした受け入れを拡大することに対応し、FIAは、ASN車両の性能レベルがFIA地域ラリー選手権の性能基準を示すラリー2車両(旧R5)を超えないようなパワーウエイトレシオを設定した。FIAは、参加者が提供する技術情報(ナショナルカー承認フォームを使用)に基づき、車両の理論出力を求め、このカテゴリーの最低重量を定義するためにシミュレーションを行う。ちなみにFIAの計算では、パワーウエイトレシオは4.4kg/ps(R5で1230kg/280ps)が基準となっている。なお、各カテゴリーの最低重量は、ラリー終了後、ある国のカテゴリーがR5よりはるかに効率的であることが判明した場合、見直される場合がある」と、公式ウェブサイトなどで参加者に向けて経緯を説明している。