WRCプロモーターは、開催国が未定となっていた今季のWRC第9戦に、イープル・ラリーベルギー(ターマック)が決定したことを発表した。ベルギーは昨年、35カ国目のWRC開催国としてシリーズ初開催。今季再び、8月18〜21日に同国北西部のフランダース地方で世界選手権を開催することになった。昨年10月に発表された2022年のWRCカレンダーでは、第9戦が開催国未定のまま会期だけが決定した異例の事態となっていたが、ここにチャレンジングなターマックラリーが入ったことで、すでに開幕している今季のWRCカレンダーがようやくコンプリートした。
イープルラリーの初開催は1965年。以来、ヨーロッパの難関ラリーの一戦として知られている。農道はナローでジャンクションも多く、排水溝もあるためミスが許されない。 昨年は、最終日にはベルギーの名門サーキット、スパ・フランコルシャンにステージを設定したことで話題に。この時は、同国出身のヒュンダイのワークスドライバー、ティエリー・ヌービルが母国での初WRCで勝利を収めている。
今年は、イープルの歴史ある広場、グローテ・マルクトに雰囲気のあるサービスパークを設置し、3日間にわたって競技が行われる。8月18日木曜日にシェイクダウンを行った後、午後にはセレモニアルスタートを実施。19日から競技が始まり、21日日曜日の昼にはパワーステージを走行する。
WRCプロモーターのマネージングディレクター、ヨナ・シーベルは、イープル・ラリーベルギーが再びWRCとして開催されることを歓迎する。
「ベルギーは、昨年のWRC開催でトリッキーなSSやハイペースで進むフォーマットなど、息をつく暇もないような独特な展開の一戦をシリーズにもたらしてくれた」とシーベル。
「イープル地方は、ラリーウイークに向けて全力投球してくれている。ステージが大いに盛り上がるほか、今回はグローテ・マルクトのサービスパークにファンが入ることができるようになると思うので、街全体もステージと同じように盛り上がると確信している」
WRCプロモーターは空席となっていた第9戦の開催国決定について、最終的にはイープル・ラリーベルギーとバルム・チェコラリー・ズリンとの二択に絞られていたことを明かした。チェコが選ばれていれば、同国にとって初のWRC開催だった。
「ズリンの主催者チームのプロフェッショナリズムや計画にも、非常に感銘を受けた」とシーベルはチェコに関しても言及した。
「このイベントは、ERCの重要な一戦として開催を続けることになっており、WRC開催という目標へのドアもまだ開かれている。我々も、彼らとの取り組みを続けることを楽しみにしている」
FIA WRCカテゴリーマネージャーのアンドリュー・ホイットレーは「イープル・ラリーベルギーは昨年、例外的な状況下でWRCカレンダーに入ったが、頼もしく、革新的なイベントを開催したことでベルギーラリー界のDNAを示した」と語る。
「ベルギー王立自動車クラブとイベント主催者のクラブ・スーパーステージは、トップクラスのWRC戦を開催することへのコミットとプロフェッショナリズムを示してくれた。このイベントが8月、またWRCとして開催されることになり、うれしく思う。ベルギーのようなラリー大国で開催されることは、チーム、コンペティター、ファンのみなさんにとって朗報となることだろう」
ラリー主催者であるクラブ・スーパーステージの代表、アラン・ペナスは「再びWRCをイープルで開催できることになり、非常にうれしく思う。クラブ全体、全ボランティア、パートナーや地元各当局、みなさんが昨年、WRC初開催の成功に向けて注いでくれた努力が報われた」と語る。
イープル・ラリーベルギーは、WRCの公式潤滑油パートナーであるウルフ・ルブリカンツとイベントスポンサーのアルデカ・ルブリカンツ、いずれもベルギーを拠点とする二社と強力な協力関係を築いている。
パワーステージのタイトルスポンサーにもなっているウルフ・ルブリカンツのグローバルマーケティングディレクター、イブ・デカットは「ベルギーに拠点を置くWRCの単独潤滑油パートナーとして、我々はこの豪快なスポーツの存在感を高め、その普及を図るための新たな方法を常に模索している」とコメント。
「ラリーのメインパートナーであるアルデカ・ルブリカンツと協力し、2022年にWRCに復帰するイープルラリーベルギーをサポートできることをうれしく思う」