2月27日(日)、2022年WRC第2戦ラリー・スウェーデンの競技最終日デイ3が、ウメオのサービスパークを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが優勝、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルムが総合3位でフィニッシュした。なお、総合2位につけていたエルフィン・エバンス/スコット・マーティンは、最終日にリタイアを喫している。
(以下チームリリース)
競技最終日を迎えたラリー・スウェーデンは、サービスパークの北西で、日中のサービスを挟むことなく2本のステージを各2回走行。4本のステージの合計距離は56.84kmと、3日間で最短でした。ウーメオー周辺は最終日もよい天気に恵まれ、早朝の気温はマイナス7度前後に。雪と氷に覆われたステージの路面は、非常に良いコンディションとなりました。
デイ2で3本のベストタイムを記録し首位に立ったロバンペラは、総合2位のエバンスに8.3秒差を築いて一日を締めくくりました。しかしその後、デイ2最終ステージの最終コーナーで、フィニッシュラインを通過した直後にコースを外れたエバンスに、10秒のペナルティが課せられたため、差は18.3秒に広がりました。エバンスは逆転優勝を狙ってデイ3に臨みましたが、ハイブリッドシステムに問題が発生し、システムをオフにした状態で最初のSS16をスタートしました。さらに、ステージの途中でスピンを喫し、クルマのフロント部分を雪壁にヒット。クルマを停めて応急処置を施し、大きく遅れながらもステージをフィニッシュしましたが、ハイブリッドシステムが正常な状態であることを示すグリーンライトが点灯しなかったため、FIAが定める安全規則に従いリタイアすることになりました。
ロバンペラもまたハイブリッドシステムに問題を抱えた状態でステージに臨みましたが、オープニングのSS16では今大会6本目のベストタイムを記録し、総合2位に浮上したライバルとの差を23.9秒に拡大。その後も安定した走りを続け、ボーナスの選手権ポイントを獲得可能な最終のパワーステージでは2番手タイムを記録。昨年の第9戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ以来となるWRC 3勝目をあげ、GR YARIS Rally1に最初の勝利をもたらしました。ロバンペラは今回の勝利でドライバー選手権首位に立ち、2位のライバルに14ポイント差を築きました。また、2018年以来のチーム復帰を果たしたラッピが総合3位に入ったことにより、チームもマニュファクチャラー選手権で首位に立ち、選手権2位のライバルに24ポイントのリードを築きました。なお、ロバンペラの父であるハリ・ロバンペラ氏は、2001年にWRCラリー・スウェーデンで勝利を収めており、親子二代でのラリー・スウェーデン優勝が実現しました。
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next GenerationからGR YARIS Rally1で出場の勝田貴元は、総合4位でフィニッシュ。パワーステージでは4番手タイムを記録し、ボーナスの2ポイントを獲得しました。
<<ヤリ-マティ・ラトバラ>>
カッレは素晴らしい走りでこのラリーを制しました。序盤は一番手スタートということもあり、どうなるのだろうかと少し心配でしたが、彼はとてもうまく対処しましたし、ラリー後半の速さは本当に印象的でした。GR YARIS Rally1に初勝利をもたらしたカッレと、それを実現するために頑張ってくれたチームのみんなに感謝します。今朝のエルフィンのアクシデントは、彼にとって非常に残念なことでした。しかし、エサペッカがチーム復帰後最初のラリーで表彰台に立ったことで、我々は貴重なポイントを獲得することができました。また、貴元もとてもいい戦いをしたと思います。
<<エルフィン・エバンス>>
このような形でラリーを終えることになってしまい、とても残念です。最初のステージは序盤順調でしたが、長い左コーナーで後輪のグリップを失い、残念ながら立て直すことができずハイスピードでスピンしてしまいました。その後、クルマを直し何とか再スタートすることができましたが、残念ながらハイブリッドシステムの問題でリタイアせざるを得ませんでした。チームは本当に速いクルマを作ってくれましたが、ここまでのところそれに見合う結果を残すことができていないので、大変申し訳なく思っています。この良くない状況のまま休みに入るのは自分としては不本意ですが、照準を次のラリーに合わせ、ベストを尽くすつもりです。
<<カッレ・ロバンペラ>>
スウェーデンで優勝することができて、とても嬉しいです。週末を通していい戦いができました。金曜日に一番手の出走順でステージに臨んだことを考えると、本当に満足できる結果です。エルフィンとは素晴らしい戦いが続いていたので、彼が今朝リタイアしてしまったのは少し残念です。しかし、それ以外はチームにとって非常に良い結果になりました。このクルマで初めて出たラリー・モンテカルロでは少し苦労しましたが、今回は週末を通してクルマに自信を持って走ることができました。少しでもクルマを良くしよう、乗りやすくしようと力を尽くしてくれたチームに心から感謝します。
<<エサペッカ・ラッピ>>
チームに復帰できたこと、そして表彰台に戻れたのは素晴らしいことです。スタート前に目標に掲げていた結果を手にすることができたわけですが、きっと厳しい戦いになるだろうと覚悟していました。しかし、何とかやり遂げることができたので本当に嬉しいです。自分自身とヤンネ、そしてチーム全員をとても誇りに思います。この週末、クルマはノートラブルでした。総合2位を獲得するためには、さらにリスクを冒す必要がありましたし、これ以上いいスタートを切ることはできなかったはずです。もっといい結果を期待するのは、得策ではなかったと思います。最後にラリーに出場したのは昨年の10月で、長いブランクがあったことを考えれば、最高の結果といえるでしょう。
<<ラリー・スウェーデンの結果>>
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h10m44.9s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +22.0s
3 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (トヨタ GR YARIS Rally1) +30.6s
4 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m19.4s
5 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (フォード PUMA Rally1) +3m20.4s
6 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (ヒョンデ i20 N Rally1) +5m39.4s
7 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (シュコダ ファビア Rally2 evo) +7m11.1s
8 オーレ・クリスチャン・ヴェイビー/スティグ・ルネ・シャーレモエン (フォルクスワーゲン ポロ GTI R5) +7m34.3s
9 ヤリ・フッツネン/ミッコ・ルッカ (フォード フィエスタ Mk II Rally2) +8m14.2s
10 エゴン・カウアー/シルバー・シム (フォルクスワーゲン ポロ GTI R5) +8m24.8s
R エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1)
<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、4月21日から24日にかけて、クロアチアの首都ザグレブを中心に開催される「クロアチア・ラリー」です。昨年、初めてWRCとして開催されたこのイベントは、全ステージがターマック(舗装路)で行われますが、コーナーイン側の未舗装路部分をショートカットする「インカット走行」により、多くの砂利や泥が掻き出され、非常に滑りやすくトリッキーな路面コンディションとなるのが特徴です。