今季創設された世界ラリーレイド選手権(WRRC)は今週、第2戦となるアブダビ・デザートチャレンジ(ADDC)を迎える。バーレーン・レイド・エクストリーム(BRX)から参戦するセバスチャン・ローブは、開幕戦となったダカールを2位でフィニッシュしたことで、選手権争いでは首位ナッサー・アル‐アティヤにわずか1ポイントの2番手につけており、アブダビでの首位浮上を狙う。
BRXは、2022年のWRRCドライバーズタイトル獲得に目標を絞っており、その使命を担うローブを全面的に支援するためにすべてのリソースを投入することを表明。このため、ダカールに参戦したBRXのファクトリードライバー、ナニ・ロマはADDCには参戦しないが、チームには留まるとしている。
開幕戦ダカールでは、プロドライブ・ハンターがステージウインを計3本獲得するなど好パフォーマンスを披露したことから、チームはアブダビでも勝利が狙えると考えている。ローブ自身もうち2本を奪取したほか、2番手タイムも3本マーク。3年連続でサウジアラビアでの開催となったダカールで、ハンターは特に砂丘でのパフォーマンスが良好だったが、アブダビでもヤス・マリーナ・サーキットでスタートを迎えた後、アル・ダフラ地方の砂丘に向かい、5日間にわたり2000km近くを走破するルートが設定されている。
ローブは「ダカールでは、ハンターが勝てるだけのペースを持ち合わせていることを示せた。もし、トラブルなしで走り切れていれば、最終的にナッサーとの差はもっと詰められていたと思う。マシンは、砂丘でいい走りができていたし、ADDCはほとんどが砂丘か似たような性格の路面を走るので、優勝争いができるはずだ」と自信を見せる。
ダカールのフィニッシュ後、翌週のWRCラリーモンテカルロにMスポーツ・フォードから参戦したローブは、ラリー1マシン初のWRCで鮮烈な勝利を飾っている。その間、ローブのハンターは、チームが拠点としているバーレーン・インターナショナルサーキットで完全にリビルトされたという。
なお、プロドライブ・ハンターの燃料は、ダカール同様、農業廃棄物から精製された持続可能なガソリン代替燃料、プロドライブ・エコパワーを使用。ガソリンと比較して全体のCO2排出量を80%削減できる。プロドライブ・ハンターは、ダカールではこの燃料を使用して2万5000km以上の距離を問題なく走り切り、28トン以上のCO2排出量を削減した。BRXは、このような燃料がモータースポーツだけでなく、あらゆる道路輸送においてガソリンの代わりになることを示すことで、気候変動との戦いに貢献することを目指すとしている。