WRC9連覇王者のレジェンド、セバスチャン・ローブが、4月29日〜5月1日にポルトガルで開催される2022年DTMの開幕戦ポルティマオに、レッドブル・アルファタウリAFコルセから参戦することを発表した。ローブは、WRCが今季から導入したハイブリッドの新規定ラリー1マシンの初戦となった今季のラリーモンテカルロにMスポーツ・フォードからフォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1で参戦し、鮮烈な優勝を飾っている。ローブは以降のWRC参戦については明かしていなかった。
ローブは、フォーミュラEの開催が重なったため参戦できないニック・キャシディの代役としての参戦。2021年のDTMチームズチャンピオンであるアルファタウリから、ブラジルのフェリペ・フラガのチームメイトとしてドライバーを務める。サーキットレースでも豊富な経験を誇るローブだが、DTMのレースに参戦するのは、これが初めて。
DTMを運営するITRのチェアマン、ゲルハルト・ベルガーは「ポルティマオのシーズン開幕戦に、ラリー界で最も成功を収めたドライバーを迎えることは、DTMのファンにとっても大きな見どころ。彼の成功に満ちたキャリアは言うまでもないが、DTMが誇る28人のドライバーとセバスチャン・ローブとのバトルはタフなものになるだろう。彼はアルファタウリ・フェラーリのポイント獲得のために戦うことになるので、彼ほどのチャンピオンであれば、間違いなく高いモチベーションでレースに臨んでくれることだろう」と見ごたえのあるバトルに期待を寄せている。
2022年のローブは年明け早々から多忙なシーズンを過ごしており、新たに発足した世界ラリーレイド選手権(W2RC)の開幕戦となったダカールラリーでは、バーレーン・レイド・エクストリームからプロドライブ・ハンターT1+で参戦し、2位でフィニッシュ。その翌週にはラリーモンテカルロに参戦して勝利。この勝利は、WRC最年長優勝記録を更新するものだ。今季のプログラムには、WRC、W2RCのほかエクストリームEも含まれており、ここにDTMも加わったことになる。
「自分はキャリアを重ねていくなかで、違った分野に挑戦することをいつも楽しんできた」とローブ。
「DTMは有名な選手権なので、そこに参戦できる機会が得られたのならもちろんそれを手にする。ドライビングスタイルが真逆なので、エキサイティングなチャレンジだ」
ローブは2006年のル・マン24時間で2位に入っているほか、世界ツーリングカー選手権では2014年、2015年に総合3位に食い込んでいる。今年2月に初めて氷上コースで行われたレースオブチャンピオンズでは、F1ドライバーのセバスチャン・ベッテルを抑えて史上最多タイ記録となる4度目の勝利を飾っている。
DTM開幕戦の開催が近づくなか、ローブは「今は自分の仕事に没頭している。こうしたレースのスペシャリストたちを相手に戦うことになるし、最後のGT3のレースに出たのはずいぶん前のことだからね。自分の目標は、できる限りいいかたちでリズムをつかみ、自分の経験を活かしてマシンのセッティングに関してチームにいいフィードバックを与えること。タフな挑戦であることは承知しているが、マシンはとてもドライブするのが楽しいし、本当に速くていいマシン。だから、楽しみにしているよ」と気合いを見せている。
DTMは、2021年からGT3規定マシンでの戦いとなっており、今季はこのマシンでの2シーズン目となる。各戦は、ドライバー交替なしで55分+1ラップのスプリントレースを2回行う。ローブは、レッドブル・アルファタウリAFコルセ・フェラーリ488 GT3 EVO 2020でポルティマオのレースに臨む。