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全日本ラリー唐津:初日の4SSでコバライネンが20.6秒差の首位に立つ

©Jun Uruno / JN-1クラス首位のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)

4月2日(土)〜3日(日)にかけて全日本ラリー選手権第2戦のツール・ド・九州2022 in 唐津が行われ、初日の4SSを終えた段階でシュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣がトヨタGRヤリスの奴田原文雄/山本磨美に対して20.6秒差をつけトップに立っている。3番手にはトヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介が入った。

第2戦は、開幕戦の新城ラリーから約1週間という短いインターバルを挟んで行われた。新城と同じ舗装路とはいえ、路面のグリップや道の性格は大きく異なり、各ドライバーともSSに合わせた車両セットアップを施してラリーに臨む。唐津市の南東部に広がるワインディングロードは、見通しの悪いロングコーナーやクレストなどもあり、ペースノートの精度がモノを言う。タイヤへの攻撃性が高いセクションもあり、ハイパワーな車両ではタイヤマネージメントも重要なポイントのひとつと言える。

ラリーは新型コロナウイルス感染拡大防止のため短縮日程が取られており、4月2日(土)の午後からスタートするスケジュールとなっている。1日(金)にはレッキ、2日(土)の午前中に選手を対象に救急救命講習会が行われた。そして2日の13時、市内を流れる松浦川の河畔にある競艇場『ボートレースからつ』の駐車場に設けられたサービスパークから、各選手はSS1へと向かってスタート。この日は4SS、2SSを2度リピートする構成で、34.22kmを中間サービスなしで走行する。なお、JN-1クラスは前戦のトップ3台に性能調整が加えられるため、今大会における最低重量は下記のようになる。
前戦1位:ヘイキ・コバライネン(シュコダ・ファビアR5)1260kg
前戦2位:福永修(シュコダ・ファビアR5)1250kg
前戦3位:勝田範彦(トヨタGRヤリス)1258kg

JN-1クラス首位のヘイキ・コバライネン(シュコダ・ファビアR5) / Naoki Kobayashi


今大会最多の15台がエントリーしたJN-1クラスは、コバライネンがSS1からベストタイムを連発。この日の4SSすべてを制して、2番手の奴田原文雄/山本磨美(トヨタGRヤリス)に20.6秒差、3番手の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス)に33秒の差をつけ、コバライネンがラリーをリードする。4番手には鎌田卓麻/松本優一、鎌田と0.5秒差の5番手に新井敏弘/田中直哉と、スバルWRX STI勢が続くかたちとなった。SS2終了時点で3番手につけていた福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5)はマシントラブルに見舞われ、SS3を走り切った時点でリタイア。翌日の再出走に向けてマシンをサービスに戻した。

トップを快走するコバライネンは「悪くない走りができたね。路面のグリップレベルはレッキの時のイメージほどは良くなかった。でもクルマやタイヤのフィーリングも良かったし、何よりミスなく走れたよ」と、余裕を感じさせるコメントで初日を振り返った。前戦でミッショントラブルに見舞われた奴田原は、今回対策を施したミッションを投入。「クルマもトラブルなく、ヨコハマタイヤも路面に合っているようで、いい走りができました。明日もノートラブルでいきたいですね」と笑顔で語った。3番手につける勝田は「SS1でプッシュしすぎて、タイヤをいためてしまいました。後半は足まわりを少し調整して、多少は良くなりましたが、だいぶ我慢の走りでしたね。SS4は頑張ったつもりだったんですが、なかなかタイムを削れませんでした」と苦笑い。翌日に向け、GRヤリスのセットアップをチームと話し合うと語った。

JN-2クラス首位の中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) / RALLY PLUS


JN-2クラスは中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)がトップ。2番手には今シーズンからGRスープラを走らせるAKIRA/美野友紀がつける。日産フェアレディZでエントリーしていた山北研二/山﨑将史は不出走となったため、実質的に2台での争いだ。

首位の中平は、マイナートラブルに見舞われながらも全SSでクラスベストタイムをマークし、2WD全体でもトップに。「最初からトラブルが出てしまっているので、労わりながら走りました。トラブルが難しい場所で発生しているので、騙し騙し走ります。コースは楽しいです。特にSS2/4のUCHIURAは色々なコーナーがあって、路面のμも高いので、クルマをリズミカルに走らせられると楽しいですね」とこの日を振り返った。2番手のAKIRAは「開幕戦と比べると、コーナーの進入でクルマを信用して走れるようになりました。ただ、立ち上がりでエンジンがカブってしまうような症状が出るので、気持ち良く加速しないですね。それでも足まわりが決まってきたので、今後に向けたデータを残すべく、しっかり走ります」と手応えを語っている。

JN-3クラス首位の山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86) / Jun Uruno


トヨタ86と新旧スバルBRZが走るJN-3クラスは、トップ5台が9.4秒差に並ぶ接戦が展開された。山田啓介/藤井俊樹、山本悠太/立久井和子、山口清司/漆戸あゆみの順で86勢が上位3台に並び、それをBRZの久保凜太郎/丸山晃助、新型BRZの竹内源樹/木村悟士が追う展開となっている。SS1ではブリヂストンタイヤを装着する久保がスピードを見せてSSベストタイムを獲得。SS2では山田、SS3では山口、SS4では山本と、それぞれ異なるドライバーが一番時計をたたき出している。

クラスのトップに立つ山田は「ここは路面μが高いので、自分の限界のところで走ろうと昨日から相談していました。それがうまく発揮できたと思います。ペースノートについても、これまで1年間地道にやってきたことが効いて、初めての道でしたが違和感なく走れました。明日もやることは変わらず、やるべきことをやります」と語る。2番手の山本は、「SS1/3のSANPOUが苦手なので、これくらいの差で抑えられて良かったです。いくつかクルマに不具合が出てしまっているので、サービスでなんとか対処したいですね」とコメント。「SANPOU以外は苦手ではないので」と、明日に向けて笑顔を見せた。3番手の山口は「久々の接戦ですね。2本目でタイムが落ちてしまい、これは離されたかなと思ったら、みんなも落ちていて。明日はコースのキャラクターが変わるのと、残された数少ないタイヤでどう戦うか考えます」と、振り返っている。

2019年のハイランドマスターズ(岐阜)以来の全日本ラリー参戦ながら、SS1ではベストタイムをたたき出した久保は4番手。「SS1は良くて、ほかの選手をちぎることができたんですが、タイヤをかなり使ってしまいました。SS2は抑えたもののミスが出てしまいました。それでリスクを避けて残りの2本を走った感じです。明日はしっかりとタイヤをマネージメントして、表彰台を狙います」と語った。今季は唐津のほか、久万高原、丹後、モントレーとハイランドに出場を検討しているという。

JN-4クラス首位の黒原康仁/松葉謙介(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno


スズキ・スイフトスポーツが上位争いを繰り広げるJN-4クラスは、黒原康仁/松葉謙介がトップ。6.1秒差の2番手に西川真太郎/本橋貴司、8.2秒差の3番手に鮫島大湖/船木佐知子がつけている。SS1で鮫島、SS2とSS4で西川、SS3で黒原とベストタイムを分け合う展開となったが、コンスタントに好タイムを並べた黒原がトップに立った格好だ。

2021年5月以来の全日本ラリーとなる黒原は、「得意な方の道なので、丁寧に頑張って走りました。明日はちょっと苦手な道なので不安ですが、ショックを変えてすごく動きがいいので、楽しみにしています。クルマのセットアップはこのままで、無理せずに走ります」と、語っている。2番手の西川は、「得意と思っていたSANPOUでやられてしまって、逆にUCHIURAでむしろ調子が良かったです。6.1秒差なので、作戦を練って逆転したいですね」とコメント。3番手の鮫島は「SS1は良い出だしだったんですが、SS2でハーフスピンとアンダーステアが出て、黒原選手と西川選手に離されてしまいました。明日はなんとか追いつきたいですね」と、逆転を狙う。

JN-5クラス首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS) / Jun Uruno


JN-5クラスは前戦で勝利を挙げた天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)がトップ。2番手には同じくGRヤリスRSの大倉聡/豊田耕司、3番手にはホンダ・フィットからトヨタ・ヤリスに乗り換えた小川剛/梶山剛がつけている。SS1/3のSANPOU(12.31km)は天野、SS2/4のUCHIURA(4.80km)は大倉がベストを獲る展開となったが、トータルのタイム差では天野が9.6秒のリードを築いている。

クラス首位の天野は、「SS1をスタートしてすぐの橋に左リヤをヒットしてしまい、そこからトーがアウト側に出てしまって、ちょっとペースに乗れなかったのですが、幸いタイムは悪くなかったです。明日は滑りやすくなるので、気を付ける必要がありますね」と語る。2番手につけた大倉は、「けっこうやられてしまいましたね。SANPOUは厳しいと予想していたんですが、これ以上のプッシュは無理だったかなと思います。明日は好きなSHIRAKIKOBA(SS5/10)があるので頑張ります」と語る。3番手の小川は「クルマは軽くていいんですが、ちょっとギヤ比が合わなくて苦戦しています。明日はセッティングを変更して、タイム差を測って、次に向けて対策したいですね」とコメント。今季はタイトルを目指し、残り全戦に出場を予定している。今後のためにも様々なセットでのデータを蓄積したいところだ。

JN-6クラス首位の海老原孝敬/山岸典将(トヨタ・ヴィッツ) / RALLY PLUS


3台によるバトルとなったJN-6クラスは、トヨタ・ヴィッツの海老原孝敬/山岸典将がトップ。2番手にマツダ・デミオの中西昌人/有川美知代、3番手にトヨタ・ヤリスの佐藤セルゲイビッチ/中嶌杏里が続いている。海老原は4SSでクラスベストをマークし、中西に対して2分以上のマージンを築くことに成功、前戦に続く勝利に向けて上々のスタートを切った。

初日を終えて海老原は、「ちょっとSS1は失敗したと思ったんですが、色々なことがうまくいって、リードできています。このまま明日もいきたいですね。明日は距離が短くなるので、コンパウンドを柔らかくして、タイムを上げていきたいです」と意気込みを語っている。2番手の中西は「新型コロナウイルスの影響もあり、全然走れていなかったので、今年は仕様を変更して挑んでいます。明日に向けてブレーキパッドを変えて、ABSが入りにくくしたりして、どれくらい走れるかですね。あとはこのクルマの制御に慣れるしかないですね」とコメント。3番手の佐藤セルゲイビッチは、「まったくタイムが出ずにガッカリです」と、不完全燃焼の様子。
「コーナーでの立ち上がりでのアクセルオンで、反応がまったくついてきてくれなくて。新城でもそんな感じだったんですが、今回は顕著です。自分のドライビングを合わせていく必要があるのかもしれません」

4月3日(日)の競技2日目は、30分のサービスを間に挟んで3SSを2度走行する6SS。SS走行距離33.58kmという設定。距離は長くはないものの、初日に比べるとハイスピードなコース設定となる。

ツール・ド・九州2022 in 唐津 SS4後結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) 27:10.7
2 奴田原文雄/山本磨美(トヨタGRヤリス) +20.6
3 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +33.0
4 鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +45.0
5 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +45.5
6 眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +50.4

10 中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) +1:56.9
12 山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86) +2:01.7
17 天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS) +2:13.6
19 黒原康仁/松葉謙介(スズキ・スイフトスポーツ) +2:22.7
36 海老原孝敬/山岸典将(トヨタ・ヴィッツ) +5:11.0



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