4月29日〜5月1日に開催された全日本ラリー選手権第3戦久万高原ラリーで、2位表彰台を獲得した福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5)。先日参戦したWRC第3戦クロアチアラリーではSS1でクラッシュを喫してしまい、2日目以降に再出走を果たし、53位でフィニッシュしている。ファビア・ラリー2 Evoという最新マシン、そして全日本と同じスリーファイブのカラーリングで走ったクロアチアでの様子や、今後の海外参戦プランを聞いた。
──クロアチアで乗ったマシンは新型のシュコダ・ファビア・ラリー2 Evoでしたが、全日本で走らせているファビアR5とはどのような違いがありましたか?
「操作系やフィーリングは基本的に同じですが、最新型だけに、やはりクルマそのものが速いですね。タイヤはWRC2はピレリのワンメイクですから、その点は全然違います。ソフトと言っても、思い切り荷重をかけてもヘコたれないくらいのタイヤでした。色々とセッティングのヒントなど、学ぶことが多かったです」
──クルマのセットアップは、全日本を戦ううえで反映できる部分はありそうですか。
「それは十分ありますね。そういう意味でも行って良かったし、その経験を取得するために出場したと言っても過言ではないので」
──そのほかの収穫をお聞かせください。
「これまでのペースノートでは、余分な情報があったなという感じはしました。向こうは車速域が高いので、より分かりやすいペースノートにしていかなければならないなと。作り方の概念が変わったというか、メリハリが出たという感じですね」
──その点は今回の久万高原ラリーでも盛り込まれていると。
「もともと、同じコースを使う場合でも毎回イチからペースノートを作り直しているんですが、去年のペースノートと比べてまったく違うものになったなと思います。それがタイムに直結するには時間がかかるかもしれませんが、クロアチアの道を走ったことでボキャブラリーが増えたという感じがありますね」
──クロアチアではSS1から大変なコンディションでした。
「霧と雨で、まずSS1がめちゃくちゃ難しいんですよ。普通に運転するのも嫌なレベルの狭さで、クレストの先にコーナーがあるようなところが続く。それにインカットで路面は泥だらけ。グラベルラリーかなっていうくらいのレベルでした」
──どんな状況でのクラッシュだったのでしょうか。
「霧がちょっと晴れかけて、ペースを上げた矢先でした。クラッシュしたところは自分が思っていたよりキツいコーナーでしたね。霧でペースノートのタイミングが少しずつズレていたような感じでした。霧が一番濃い時は本当に目の前のコーナーを見るのがやっとなくらいの状況でした」
──チームが懸命にマシンを直して再走できました。
「ハンガリーのチームから出場したんですが、本当にありがたかったです。やっぱりシュコダが部品を持ってきてくれているっていうのが大きいですね。現地で全部部品が手に入る。サポートも手厚く、そこは安心できました」
──WRC2マスターズで3番手タイムなどを出していましたが、感触としてはどうでしたか。
「ちょっとマージンを持ちながら無難に走ってしまったので、もう少しいけるようにならないとダメだなと思いますね」
──クロアチアの参戦を振り返っていかがでしょう。
「セッティングと僕のスキルと、ペースノートですね。ペースノートでの学びが一番大きいかな。そのあたりで得られるものが大きかった。予算はかかりますが、やっぱり(海外に)行かなきゃあかんな、と思います。こんなに難しいんだって。あれを1回経験するだけで違うと思います。今回はペナルティもありましたが、そういった経験も今後に活かせる部分ができたと思います」
──今後の海外ラリー参戦プランはありますか?
「今シーズンはもう1回、今度はベルギーのWRCに参戦しようと考えています。クロアチアよりさらに難しいと聞いていますが、スペインだと全日本のハイランド(第8戦岐阜)に出られなくなってしまうので、全日本の日程と重ならない点も考慮しました。やっぱり全日本をシーズンで追いかけている以上はこちらもしっかりやらないと」
──ベルギーの参戦体制について決まっていることはありますか。
「今回と同じチームで、同じファビアです。使っているクルマは日本とほぼ同じ、そしてコ・ドライバーも同じという体制は、ドライバーとしてもストレスがありません。一番理想的なことを、先陣切って実行したという感じです。一戦をスポットで経験するために出るんじゃなくて、将来的にはシリーズで追いかけられるようにしていきたいし、もっと順位を上げられるようになっていきたいですね」
──オレンジ色のカラーリングは海外でも目立ちました。スポンサーにとっても世界にPRできる近道ですね。
「そうですね。みんなに同じカラーやんって言われて(笑)。全日本と同じカラーのクルマというのも、最近はあまりない取り組みかなと思います」
──海外のドライバーとはなにか交流はありましたか。
「僕は英語があまり話せないのですが、多少はありました。何人かは『ラリージャパンに行くよ!』って言ってくれて。WRC2のメンバーもそう言ってくれて安心しました。そうやって知り合いを増やしていけたらいいですね」