ERC第3戦ラリーイズラス・カナリアス(ターマック、スペイン)は5月14日、競技最終日となるレグ2に設定された3SSを2ループする6SS、97.52kmの走行が行われた。前日首位に立っていた地元のルイス・モンゾン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)がトラブルに見舞われ、2番手で追っていたニル・ソランス(フォルクスワーゲン・ポロGTI ラリー2)が逆転優勝を飾っている。
資金不足のため第2戦は参戦を見送っていたソランスは、前日金曜日は序盤、セッティングが合わずに遅れを喫し、モンゾンに8.4秒遅れで終えていた。一方のモンゾンは、最終日最初のSSでソランスとの差を3秒広げるなどこのイベント4度目の勝利も確実かと見られていたが、次のステージで悪夢が待っていた。ファビア・ラリー2のタイヤのひとつにネジが刺さっていることが見つかったのだ。ステージ前にタイヤを交換する時間はなく、タイヤはステージを4.3km走行したところでなくなり、モンゾンはリタイアを余儀なくされた。
これで首位に浮上したソランスは、ヨアン・ボナート(シトロエンC3 ラリー2)に10.4秒差をつけて最終ループを迎えると、残る3SSをトラブルなしで走り切り、最終的に11.2秒差をつけて今季2勝目を飾った。
「ここで勝てるなんて、信じられない」とソランス。
「スポンサーやチーム、みんなに感謝しなくてはならない。この勝利は間違いなくみんなのもの。彼らがいなくては実現できなかった。プレイベントテストをする時間も予算もなかったので、マシンに苦戦する点がたくさんあったから、ラリーの間に変更して改善していった。次のポーランドにも参戦したいが支援を得られるか次第」
一方、2位争いはボナートとチームMRFタイやのエフレン・ラレーナ(ファビア・ラリー2 Evo)との激戦になった。最終2本目でラレーナがボナートとの差を0.7秒にまで詰めると、最終パワーステージでもボナートを先行するタイムをたたき出し、最終的に両者は同タイムに。規定により、スーパーSS以外で先にベストタイムをマークしていたラレーナが2位となった。ラレーナは選手権争いでは首位に浮上している。
カナリア諸島出身のドライバーでは、エンリケ・クルス(フォード・フィエスタ・ラリー2 MkII)が4位で最上位フィニッシュを果たした。
シモーネ・カンペデッリは悲喜こもごものイベントとなった。金曜日のSS5では2019年のローマ以来となるステージウインもマークしたが、その後、スライドしてバリアに突っ込み、総合9番手まで後退。最終日もSS10でテールゲートが開いてしまうというアクシデントに見舞われながらも必死の追い上げを見せ、5位まで順位を戻してフィニッシュした。
ERC4/ジュニアERCはローレント・ペリエ(オペル・コルサ・ラリー4)が、クリオ・トロフィーbyトクスポーツは、パウロ・ソリアがそれぞれトップフィニッシュを飾った。
ERC次戦、第4戦ラリーポーランド(グラベル)は6月10〜12日、ミコワイキを拠点に開催される。
ERCカナリアス最終結果
1 N.ソランス(フォルクスワーゲン・ポロGTI ラリー2) 1:58:57.0
2 E.ラレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +11.2
3 Y.ボナート(シトロエンC3 ラリー2) +11.2
4 E.クルス(フォード・フィエスタ・ラリー2) +23.9
5 S.カンペデッリ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +1:09.2
6 J.バサス(シュコダ・ファビアR5) +1:28.0