シュコダ・モータースポーツは、開発中の新型シュコダ・ファビア・ラリー2に関して、重量バランスの改善に集中的に取り組んでいることを明かした。現時点で技術者が重視しているのは、重量配分を完璧にすることだという。世界各国で数々の成功を収めたファビア・ラリー2の次世代モデルは、特に新型ファビアの延長されたホイールベースの恩恵を受けることになる。
次世代のファビア・ラリー2は、一新された量産型の第4世代ファビアがベースとなるが、この新型モデルはシャシーも新しくなっている。ラリー2規定ではシャシーに関してはマイナーチェンジしか行えないが、新しいファビア・ラリー2は、新しいベース車両を使うことで、その利点を活かすことになる。次世代ファビアはホイールベースが94mm延長され、車幅も48mm拡大されている。
シュコダ・モータースポーツの代表、ミカル・フラバネクは「現行のシュコダ・ファビア・ラリー2 Evoはこのカテゴリーで最も成功を収めたモデルで、今シーズンも世界各国で勝利を収めている。次世代ファビアのラリー2マシンでは、今後もこの立ち位置を守り続けることを目標としている。シャシーがまったく新しくなったことは、よりコンペティティブなマシンになるための鍵となる要素のひとつだ」と語る。
現在行われている次世代ファビア・ラリー2の開発やテストでは、シュコダ・モータースポーツはマシンの重量バランスを重要視しているという。ホイールベースが長くなりサイズが大型になったことで、エンジニアにとっては主要コンポーネントの配置に関しての選択肢が広がった。より最適な重量配分を見極めるため、シュコダ・モータースポーツのエンジニア陣はテストセッション中にマシンバランスを変更する独自の方法を開発し、様々な重量配分のソリューションを評価し、あらゆるタイプのステージ路面に対するセッティングを分析したという。
シュコダ・モータースポーツの開発チームでプロジェクトリーダーを務めるヤン・クラスラは「このレイアウトを最大限に活かすために、現行のファビア・ラリー2に比べ、次世代ファビアの開発はゼロからのスタートとなった。例えば、燃料タンクの位置を変更することができた。エンジンルームでは、シャシーレール間のスペースが広がった利点を活かした。ギヤボックス、クラッチ、フライホイールの設計も見直し、低慣性化、高効率化を実現した。また、次世代ファビア・ラリー2には、現行マシンのボンネットには収まらない、より大きく効率的なインタークーラーが搭載されている」と語っている。
現フィンランドチャンピオンでテストドライバーを務めるエミル・リンドホルムは、開発車両を徹底的にテストしたうえで「次世代ファビア・ラリー2はとてもバランスがいい。ホイールベースが長くなったことで、マシンの落ち着きが少し増して、リヤはより安定した」と語っている。
2021年にファビア・ラリー2 EvoでWRC2とERCのダブルタイトル獲得を果たしたアンドレアス・ミケルセンも「次世代マシンのバランスは本当に、本当に素晴らしい。ジャンプでもプッシュできる自信につながる」とリンドホルムの意見に賛同する。
同じく開発ドライバーを務めるクリス・ミークも次世代ファビア・ラリー2での走行経験を讃え、「ステップバイステップで、あらゆるエリアにおいて改良を行うことができる」と語っている。
シュコダ・モータースポーツは、公式YouTubeチャンネルで、次世代マシンの開発の様子と開発ドライバーのコメント収めた動画を公開している。