全日本ラリー丹後:ヘイキ・コバライネンが今季3勝目、2位にシュコダの福永修、3位にトヨタの勝田範彦 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ラリー丹後:ヘイキ・コバライネンが今季3勝目、2位にシュコダの福永修、3位にトヨタの勝田範彦

©RALLY PLUS / JN-1クラス優勝のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)

全日本ラリー選手権第4戦ラリー丹後は、5月22日(日)の競技最終日を終えて、シュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣が今季3勝目を挙げた。2位には45.1秒差で同じくファビアR5の福永修/齊田美早子。3位にはトヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介が入っている。

この日は、初日に設けられたステージを逆走する格好で行われる。丹後半島の丹後縦貫林道を北上し、3SSを2度走行する。6SS合計のSS距離は55.92km。全体的な傾向としては上りが主体のコースとなるが、特にオープニングステージのSS7/10 Nariai Reverseをポイントとして挙げる選手が多い。特に秒差の競り合いをしているクラスにとっては、スタートダッシュが重要な意味を持ちそうだ。サービスパークでの天候は、雲ひとつない快晴。例年強い日差しが照りつけるラリー丹後らしい天候のもと、各選手ともサービスでの短い作業を終えて、ステージへと向かっていった。

JN-1クラス暫定表彰 / Naoki Kobayashi


JN-1クラスでは、コバライネンが相変わらずの強さを発揮して、この日の6SSすべてを制して危なげなくシーズン3勝目を獲得。係数1.2のラリーでしっかりとフルポイントを獲得し、ランキング首位に立っている(編集部調べ)。2位の福永は、コバライネンに次ぐタイムをきっちり並べる好走。特にSS9ではコバライネンと0.7秒、SS12では0.4秒差に迫るスピードを見せた。3位は勝田。奴田原文雄/東駿吾との接近戦をモノにして、今季の4戦すべてで表彰台に入る強さを発揮している。4位には奴田原、5位にはスバルWRX STIの鎌田卓麻/松本優一が入っている。

首位でラリーを終えたコバライネンは、「とても良かったよ。気温が上がって、タイヤのグリップぺレベルも向上した。ダウンヒルはとても難しかったけど、全体的にいいペースで走れた。久万高原の後にしっかりマシンを直してくれたアイセロ・チームのみんなには心から感謝している。セットアップやドライビングの進化を実感しているから、次も楽しみだね」と、笑顔でコメントした。2位の福永は「もう少し、やるべきことがありますね。ヘイキ選手とはだんだん詰まってきていますし、次のモントレーではSS1本でもベストを獲れるようにしたいですね。長いSSの方がミシュランには分がある気がします」と、手応えを語っている。3位に入った勝田は「奴田原選手とはかなり僅差の争いになりました。50kgを積んでいるものの、ひとつでも上の順位を獲りたかったので、最終日に上まわれたのは大きかったです」と笑顔でラリーを振り返った。

JN-2クラス優勝の中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) / Jun Uruno


JN-2クラスは中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)がシーズン4勝目を獲得。2位はトヨタGRスープラのAKIRA/美野友紀。中平は前日に続き、セットアップの最適解を探りながらのドライビング。試行錯誤を繰り返すなか、午後のループでは手応えを得つつあり、次戦のモントレーに臨む。AKIRAはエンジンが吹けなくなる症状に悩まされながらも、全SSを走り切ってフィニッシュ。実質2台の戦いとなっている中、取りこぼしなくポイントを重ねている。

中平は、「色々と試してみましたが、午後のループではタイヤに合わせてセッティングを変えたのが良い方向に出て、セッティングとドライビングが噛み合ってきたという感じがあります。ただ、体感の速さに思ったほどタイムがついてこないので、そのズレを、テストなどを重ねてしてなんとかしたいですね」と課題を語る。一方のAKIRAは、「SS8でまったくエンジンが吹けなくてちょっと辛かったですね。足まわりは良くなって、だいぶ鼻先を入れることができるようになった。ブレーキがもう少し慣れたら、もっと行けると思います」と、笑顔を見せた。

JN-3クラス優勝の山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86) / RALLY PLUS


JN-3クラスは、前日トップの山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86)がさらにペースを上げて、前半3SSを連続ベストでまとめる快走。追いすがる新型2台との差を一時は20秒以上に拡大し、今シーズン2勝目を飾った。14.2秒差の2位に竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ)、竹内と4.7秒差の3位に山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)が続くかたちとなった。この日の2ループ目では、竹内が2回、山本が1回ベストタイムをマークするが、山田を追い上げるには至らず。

初日に稼いだマージンを活かすラリー運びを見せた山田は、「初日のリードもあったので、今日の1ループ目は全体的に進入速度を高めて、稼げるところでしっかり稼いだのが、結果につながったと思います。後半も差を見ながら走ることができました。ペースノートの精度が上がっていることで、リズム良く、ダンスを踊っているように、気持ち良く走れました」と、手応え。2位竹内は「自分が現状のBRZでできることはやって、タイム的にも悪くないのですが、純粋に山田選手がとりこぼしなく速かったですね。次は前半最後のターマックですし、地元ですし、路面も難しいので、若い山田選手に経験の差を見せられればと思っています」と、リベンジを誓う。3位の山本は、「2ループ目で離されてしまいました。まだGR86の方向性がハッキリとしていないので、次のモントレーまでになんとかしたいですね。もう少しテストを重ねていけたらと思っています」とのこと。違和感は少なくなってきたと語るが、まだ課題もあるようだ。

JN-4クラス優勝の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno


スズキ・スイフトスポーツ同士のバトルが繰り広げられるJN-4クラスは、西川真太郎/本橋貴司が前戦に続く連勝。2位にはこの日の2ループ目で速さを見せた東隆弥/藤澤進、3位に鮫島大湖/船木佐知子という順位となった。前日首位の西川は前戦と同じセットアップで臨んだ1ループ目で大きくタイムアップ。最初の1ループ目を終えた時点で2番手の鮫島に26.6秒差をつけてリードを拡大した。この時点で2番手争いは激しさを増しており、2番手鮫島から5番手の東まで、9.9秒の間に4台がひしめく状態に。2ループ目のSS10、SS11では、西川に次ぐSS2番手タイムをマークした東が一気に2番手に浮上。しかしこの時点で4台の差は、2番手東から5番手の岡田孝一/河本拓哉まで8.6秒とさらに短縮されることに。そして迎えた最終SSでは、東がSS3番手タイムをマークし、逃げ切って2位を決めた。

連勝を果たした西川は、「初日の反省を活かして、減衰などを元に戻した結果、タイムが飛躍的にアップしました。余計なことはするものではないなと(笑)。2ループ目はセットアップも安定し、単純に楽しめましたね。東選手が予想を上まわる速さですね。JN-4が盛り上がるのはうれしいですし、また戦えるのが楽しみです」と笑顔を見せた。この日5番手からスタートして2位の東は、スイフトスポーツでの初参戦。「クルマが乗りやすくて懐が深いので、安心して踏めました。プッシュしようと、頑張って攻めた甲斐がありました」とコメント。3位の鮫島は「減衰とかセッティングを調整したんですが、踏み切れるセットにたどり着かず、そのタイミングで東選手に行かれてしまいました。次の参戦は最終戦のハイランドを予定しています。地区戦も使ってしっかりセットアップを考えたいと思います」と、悔しさをにじませた。

JN-5クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS) / Jun Uruno


JN-5クラスは、トヨタGRヤリスRSの天野智之/井上裕紀子が今季負けなしの4勝目を獲得。2位にはトヨタ・ヤリスの小濱勇希/竹下紀子。3位はマツダRX-8の藤原直樹/中嶋健太郎が入っている。気温、路面温度とも上昇をするなか、天野はCVTユニットと熱の相性を探りながらのドライビング。それでも、この日の6Sすべてでベストタイムをマークし、貫録を見せつけた。2番手争いを展開する藤原と小濱は、SS7でクラッシュ車両があったためにノーショナルタイムが与えられ、実質5SSでの戦いに。小濱は、藤原がSS10でタイムダウンしたところを捉えて2番手に浮上、そのまま逃げ切る展開となった。

GRヤリスRSを全日本に投入して約1年となる天野は、「ベストは獲れましたが、全部僅差でデイ1のようにタイムは出なかったですね。熱でCVTがどこまで無理できるのかが分からないので、アクセルが鈍っています。やっぱり暑くなってくると、厳しいと感じました。データ的にはそこまでではないはずなんですが、パワー感が失われていますね」と、勝利のなかに課題も。2位の小濱は、「セットアップの変化の効果は出せていますが、限界ギリギリまで攻めて、天野選手にようやく並ぶかどうか、というくらいでした。次までにできることをチームと相談し、もっといいクルマにしてきます」と意気込みを語る。3位の藤原は、「ちょっと1本、タイムダウンしたSSがあって、小濱選手にやられてしまいました。クルマは乗りやすいのですが、熱ダレの問題があって、それを対策しないと。最後はヒーター全開にして良いタイムを出せたので、やはり水温の問題かもしれません」と振り返った。

JN-6クラス優勝の海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) / Jun Uruno


JN-6クラスは、トヨタ・ヴィッツCVTの海老原孝敬/蔭山恵が初日のリードを活かして勝利、2位には同じくヴィッツCVTの兼松由奈/原田晃一、3位にはマツダ・デミオの中西昌人/有川美知代が入っている。SS7でのアクシデントにより、このクラスも全車ノーショナルタイムが与えられているため、実質5SSでの戦いに。海老原は5つのステージすべてでベストタイムをそろえ、今シーズン4勝目。

「勝てて良かったです」と海老原。「終盤の2本では溝がギリギリ残っていたので、なんとかうまくまとめられました。次のモントレーは舗装なんですが、グラベルのように荒れた路面があるとも聞きます。そういう場所では制御が入りやすいと思うので、そこの対策を考えて挑みたいです」と、次戦に向けての意気込みを語っている。2位の兼松は、「乗りにくかった部分を改善してもらって、タイヤも替えて、フィーリングが良くなりました。ベストタイムを獲りたかったですが、それができなくて残念です」と、ラリーを振り返った。兼松はモントレーにも同じくヴィッツで参戦予定という。3位の中西は、「初日のトラブルは解消しましたが、ABSが多発するなど、別の問題が出てしまいました。ただ、クルマの方向性は見えたので、3週間で改善して次も頑張りたいです。コ・ドライバーが熱中症でダウンしてしまったので、次に向けてそうした部分も考えないとですね」と、語っている。

次戦は6月10日〜12日にかけて、群馬県富岡市を拠点として行われる「モントレー2022」。群馬県南部の林道を舞台とするターマックラリーで、10SS、SS距離125.54km、総走行距離507.18kmで争われる。昨年は福永修/齊田美早子のシュコダ・ファビアR5が優勝しており、コバライネンとの競り合いにも注目が集まる。今回の結果を受け、上位3台の最低重量に加算されるウエイトは、1位のコバライネンが+30kg、2位の福永が+20kg、3位の勝田が+10kgとなる。

ラリー丹後 SS12後結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) 1:20:08.6
2 福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +45.1
3 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +56.6
4 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +1:06.8
5 鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +1:42.7
6 眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +1:57.7

10 山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86) +4:32.2
14 中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) +6:08.3
15 西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) +7:01.5
16 天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS) +7:36.2
36 海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) +13:30.8



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