2022年WRC第5戦サルディニアは競技2日目のSS7(SS8、SS9はキャンセル)までを終えて、トヨタのエサペッカ・ラッピがラリーをリード。0.7秒という僅差の2番手にヒョンデのオィット・タナック、15.1秒差にMスポーツ・フォードのピエール‐ルイ・ルーベがつけている。勝田は1分5秒5差の7番手から浮上の方策を探る。
この日はSS2〜SS9の計8SS、SS距離133.56kmが予定されている。ラリーウイーク中で最も長いSS距離で、特に後方スタートのドライバーにとっては可能な限りタイムを刻んでおきたい1日と言える。コンディションは曇りだが気温は30度前後と暑く、例年どおりダストに悩まされる選手が続出した。
オープニングステージのSS2を制したのは、トヨタのエルフィン・エバンス。SS2番手には後方スタートを利したルーベが続いた。これでエバンスがラリーの主導権を握るかと思われたが、続くSS3では、ルーベと同じく後方スタートのラッピが一番時計をマークし、首位に立つ。Mスポーツ・フォードのクレイグ・ブリーンがSS2番手、タナックがSS3番手タイムで続いた。このSSではエバンスがマシンの下まわりをヒット、フィニッシュまでマシンを運んだものの、その後のロードセクションでリタイアを決めている。
SS2の再走ステージとなるSS4はヒョンデのダニ・ソルドがベストタイム。タナックがSS2番手、ヌービルがSS3番手と、ヒョンデ勢がスピードを見せた。これでタナックがラッピに代わってラリーをリードすることに。ソルドはSS3の再走ステージとなるSS5も制する好走で、総合8番手から5番手までポジションを上げることに成功した。このSS5では、ヌービルがトランスミッショントラブルに見舞われて大きくタイムロス、ベストタイムのソルドから1分48秒5遅れを喫し、総合順位でも6番手から10番手にドロップしてしまった。
サービスを挟んだSS6は、タナックが今大会初の一番時計をマーク。SS2番手のラッピを2.7秒上まわり、総合でのタイム差を6.4秒に拡大した。このステージで3番手タイムを刻んだブリーンは、チームメイトのルーベをかわして総合3番手に浮上した。SS7では、ラッピがこの日2度目のベストタイムでタナックから首位を取り返す力走。一方のタナックは、このSSの終盤で駆動系トラブルが発生、ステージはフィニッシュしたものの、残り2SSでライバルと戦うには厳しい状況に追い込まれてしまった。
SS6の再走ステージとなるSS8は、SS6の際に発生したアクシデントの処理が原因でキャンセル。続くSS9も移動の問題でキャンセルが決まったため、この日のステージはSS7までで終了することに。SS7のフィニッシュでトラブルを抱えていたタナックはそれ以上タイムをロスすることなく、幸運にもそのままサービスにマシンを戻すことができた。
SS7までを終えて、トップ3に続くのは、Mスポーツ・フォードのブリーン、ヒョンデのソルド、Mスポーツのアドリアン・フルモー、勝田貴元、カッレ・ロバンペラ。首位争いもさることながら、3番手のルーベから5番手のソルドまでは1秒差のバトルとなっており、こちらも競技3日目に向けて目の離せない展開となりそうだ。勝田はフィーリングをつかみ切れず、ペースを上げる方法を探りながらのドライビング。それでも荒れた路面をきっちりと走り切っており、3日目は7番手からポジションアップを狙う。また、ここまで3連勝を挙げているロバンペラも、砂利掃除を担う先頭走者のハンデで今ひとつペースに乗れておらず、明日の浮上を目指す。
競技3日目はSS10〜SS17の計8SS、SS距離131.82kmが行われる。2SSがキャンセルされたことにより、競技2日目が短くなったため、ラリーウイーク最長の1日となる。この日も午前中に2SSを2度走行、午後に午前中とは別の2SSを2度走行する変則スケジュールとなっている。オープニングのSS1は日本時間6月4日(土)の14時36分スタート。
WRCサルディニア SS7後暫定結果
1. E.ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 1:10:41.9
2. O.タナック(ヒョンデi20 Nラリー1) +0.7
3. P.ルーベ(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +15.1
4. C.ブリーン(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +15.5
5. D.ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1) +16.1
6. A.フルモー(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +30.8
7. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:05.5
8. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:13.1
9. T.ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) +2:07.2
10. A.ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +2:20.8