ERC第4戦ラリーポーランド(グラベル、本拠地ミコワイキ)は6月12日、競技最終日となるレグ2に設定された3SSを2ループする6SS・78.24kmの走行が行われ、前日を首位で終えていた地元ポーランドのミコ・マルチェク(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)が、終盤のドラマも凌ぎ切ってERC初優勝を飾った。
昨年のERCではシリーズ3位に入っているマルチェクだが、2022年の活動はWRC2のフル参戦に重点を置いている。しかし、地元のファンの前で実力を発揮するというチャンスに恵まれ、シュコダ・ファビア・ラリー2 EvoでERC母国ラウンドでのゲスト参戦を果たした。
金曜日は、今季2勝と好調のニル・ソランス(ヒョンデi20 Nラリー2)と激戦を展開。そのソランスは今季は資金確保に苦戦しており、スタートの数日前にポーランド戦参戦が決まて臨んでいたが、土曜日にステアリングを破損しスライドオフ。リタイアを余儀なくされた。
これで首位に立ったマルチェクは、最終日を20.4秒のギャップでスタート。ペースをコントロールしながら16.1秒のリードを残して午後のループを迎えた。しかし、ラフなコンディションとなった2ループ目はすべてのドライバーにとってチャレンジングなものとなった。マルチェクも、午後最初のSS12でグリルにグラベルが詰まってしまったことで水温が上昇。マシンをいたわるため、リエゾンモードでステージを走り切った。フィニッシュラインでは、グリルに付着したダストを必死で取り除き、幸運にも競技を続行することができた。
しかしその後も2本のステージが残っており、マルチェクは不安とともにファビアを駆り、轍を抜けていった。最終ステージではタイムをロスし、2番手で追うトム・クリステンソン(ヒョンデi20 R5)との差が詰まったが、それでも10.0秒差を残して勝利を決めた。
「ラクではなかったよ」とマルチェク。
「昨日ははすごくいい内容で、速さも運もあった。ニルがリタイアしてしまったのは残念だったが、攻めていればそんな時もある。今日はタフだった。滑り出しはよかったが、トムがどんどん差を詰めてきた。(午後最初の)ミコワイキMAXステージではフィーリングがよかったのでプッシュして差を広げようと決めたが、フィニッシュラインまで1kmというところでラジエターにグラベルが入ってしまった。残りは1kmだったのでラッキーだった。水温が140度まで上がったから、それ以上走っていたらエンジンが終わっていたよ!」
「ラリーポーランドの勝者としてポディウムに立っていることが素晴らしいし、自分の成長と何事も一歩一歩進めてきたことが報われたことが示された。何年もかけて、速さと信頼性を磨いてきた。そしていま、こうしてフィニッシュラインに立っている」
2位には、スウェーデンのクリステンソンが入った。KOWAXレーシングから参戦するクリステンソンは、この日は自身も後続からのプレッシャーを受け続けてきたが、ステージウインを2本奪取し後続との差を広げた。
ポディウムの最後の段に上がったのは、8.1秒差で続いたエストニアの新鋭ケン・トーン(フォード・フィエスタ・ラリー2 MkII)。今シーズンの序盤は不安定な滑り出しとなっていたが、今回は好タイムを連発し、チームMRFタイヤのエフレン・ラレーナ(ファビア・ラリー2 Evo)に16.6秒差をつけてラリーを終えた。
そのラレーナはこの日、ポディウムフィニッシュを狙っていたが、この日午前にスパークプラグの不調に見舞われてタイムを伸ばせなかった。それでも選手権争いでは、ソランスが今回ノーポイントに終わったことで首位に浮上。24ポイントのリードを握って、残り4戦に臨む。
ERC3ではロベルト・ビルベス(フォード・フィエスタ・ラリー3)、ERCオープンではマルティン・セスク(シュコダ・ファビア・ラリー2キット)がそれぞれ前日からのリードを守り切って部門優勝を飾った。
今季のERCは、ここからシーズン後半戦に突入。第5戦ラリーリエパヤ(グラベル)は7月2〜3日にラトビアで開催される。
ERCポーランド最終結果
1 M.マルチェク(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) 1:38:05.4
2 T.クリステンソン(ヒョンデi20 R5) +10.0
3 K.トーン(フォード・フィエスタ・ラリー2 MkII) +18.1
4 E.ラレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +34.7
5 S.テンペスティーニ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +35.9
6 G.グライジフ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +1:48.0