6月26日(日)、WRC第6戦サファリの最終日デイ4が、ケニアのナイバシャを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが優勝、今シーズン4勝目を飾りました。エルフィン・エバンス/スコット・マーティンは総合2位に、セバスチャン・オジエ/バンジャマン・ベイヤが総合4位に入り、TGR WRT Next Generationから出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストンが総合3位を獲得し、GRヤリス1・ラリー1は1-2-3-4フィニッシュを達成した。
(以下チームリリース)
サファリ・ラリー・ケニアの最終日は、ナイバシャ湖近くのサービスパークを中心に、3本のグラベル(未舗装路)ステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。天気は全体的に曇りで、一時的に小雨が降りましたが、路面は概ねドライコンディションが保たれました。
デイ2でトップに立ち、デイ3終了時点で総合2位のエバンスに40.3秒差を築いたロバンペラは、デイ4のSS15でベストタイムを記録しました。その後タイム差をさらに広げていき、最終的には52.8秒差をつけて優勝。今シーズン、6戦を戦い4勝を記録するなど圧倒的な強さで、ドライバー選手権におけるリードを65ポイントに拡大しました。昨年のサファリ・ラリーでは軟らかい砂地に刻まれた深い轍(わだち)でスタックし、デイリタイアを喫したロバンペラですが、今年はオープニングのスーパーSSでタイヤとクルマにダメージを負った以外は、安定して速いタイムを刻み続け、冷静沈着なラリー運びでこの伝統のラリーを制しました。
エバンスは、デイ3でロバンぺラと首位争いを展開。総合2位につけ20秒以内の差を守っていましたが、デイ終盤の突然の降雨で路面が泥状となり、フロントウインドウに泥が付着。視界不良により大きくタイムを失ってしまいました。最終日のデイ4は、堅実な走りを続け総合2位を獲得。今シーズン2回目となるポディウムフィニッシュを果たしました。
昨年、このラリーで優勝争いを展開した勝田とオジエは、それぞれ総合3位、総合4位でフィニッシュ。勝田は昨年大会以上に困難なコンディションとなった今年のラリーをクレバーに戦い、いくつかの小さなトラブルを乗り越え総合3位を獲得。コ・ドライバーのジョンストンにとっては、記念すべきWRC初ポディウム獲得となりました。一方、オジエはデイ2で首位に立ちながらもタイヤのダメージで約2分を失い、総合6位に後退。そこから順位を挽回し、最終日はGR YARIS Rally1の1-2-3-4フィニッシュを最優先する走りに徹しましたが、最終のパワーステージでは3番手タイムを記録。自身とチームにボーナスポイントをもたらし、総合4位でラリーを終えました。なお、チームは上位2台が獲得したポイントとオジエのボーナスポイントにより、マニュファクチャラー選手権におけるリードを62ポイントに拡げました。
トヨタがサファリ・ラリーを制したのは今回で10回目。表彰台独占は2019年のラリー・ドイチェランド以来、1-2-3-4フィニッシュは1993年のサファリ・ラリー以来となります。今年のサファリ・ラリーは、「フェシュフェシュ」と呼ばれる、目の細かい砂状のグラベルが堆積した路面や、降雨により泥状となった滑りやすい路面、大きな穴が口を開け鋭い石が転がる荒れた路面など、今シーズンもっとも困難な路面での戦いとなりました。他の多くのクルマが深刻なトラブルに見舞われる中、GR YARIS Rally1は高い信頼性と速さを両立し、この困難なラリーを戦い抜きました。
ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)
サファリ・ラリーでの1-2-3-4フィニッシュは、なかなか実現することができない稀に見る結果です。トヨタにとっては、約30年前にセリカで達成した時以来の快挙であり、チームとドライバーの素晴らしい仕事ぶりには感謝するしかありません。GR YARIS Rally1の開発においては、何よりも強くて信頼できるクルマを作ることに重点を置きました。今回のラリーではそれが最も重要なことであり、難しいコンディションの中、クルマは本当によく走ってくれました。ドライバーたちも、このラリーで必要とされるスマートな走りを実践してくれました。個人的な野心よりも、チームのために結果を出そうとしてくれた彼らの姿を見て、感銘を受けました。
セバスチャン・オジエ
とても力強く戦うことができた週末でした。少しだけ運が足りなかっただけで、それもゲームの一部です。何よりも、この素晴らしい結果を実現するためにチームに貢献できたことを嬉しく思いますし、TOYOTA GAZOO Racingのみんなにおめでとうと言いたいです。今シーズン最も過酷なラリーで、我々4人のドライバーにフルデイの3日間を通して強いマシンを提供するため、チームは一生懸命頑張ってきました。このラリーは最後までタフなチャレンジが続いたので、チーム全員と、素晴らしい走りをしたチームメイトに大きな拍手を送りたいと思います。
エルフィン・エバンス
本当にいい週末だったと思います。もちろん優勝を狙っていましたが、土曜日にいろいろなことが起こり、優勝から遠ざかってしまいました。そして今日は、TOYOTA GAZOO Racingに1-2-3-4フィニッシュをもたらすために走り、素晴らしい結果の実現に貢献できたことを嬉しく思います。ここケニアの、極限の大地での戦いを乗り切るのは大変でしたが、他の多くのクルマが苦戦する中、我々のクルマは本当によく頑張ってくれました。
カッレ・ロバンペラ
今回の結果は、ラリー前は想像もできなかったものです。トップ4が全てトヨタ車というのは驚くべきことですし、チームにとっても素晴らしい結果です。自分にとっては今までで最もハードなラリーでしたが、4台とも特に大きな問題なくフィニッシュできたことからも、GR YARIS Rally1は間違いなく最強かつ最速のクルマだと思います。このような特別なラリーで優勝することができて本当に嬉しいですし、素晴らしい仕事をしたチームのみんなに感謝します。彼らはクルマを良くしようと常に開発を続けてきましたが、その努力が実を結びました。このリザルトは、チームと一緒になって獲得したものなのです。
サファリ・ラリー・ケニアの結果
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 3h40m24.9s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +52.8s
3 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m42.7s
4 セバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラス (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m10.3s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +10m40.9s
6 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (フォードPuma Rally1) +23m27.9s
7 ジョーダン・セルデリディス/フレデリック・ミクロッテ (フォードPuma Rally1) +30m16.5s
8 セバスチャン・ローブ/イザベル・ガルミッシュ (フォード Puma Rally1) +32m12.6s
9 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (シュコダ Fabia Rally2 evo) +35m37.6s
10 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン(ヒョンデ i20 N Rally1) +37m36.6s
次回のイベント情報
WRC次戦は、7月14日から17日にかけて、エストニアで行われる第7戦「ラリー・エストニア」です。2020年に初めてWRCとして開催されたこのグラベル・ラリーのステージは、全体的にかなりハイスピードですが、道幅が狭くツイスティでテクニカルなセクションもあります。また、全体的に路面が軟らかいため、同じステージを2回目に走行する際には深い轍(わだち)が刻まれることもあります。