WRCは第7戦ラリーエストニア(グラベル)の開催を7月14〜17日に控えているが、エストニア政府が、2月のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、WRC2/WRC2ジュニア選手権に参戦中のロシア人のニコライ・グリアジンとコ・ドライバーのコンスタンチン・アレクサンドロフの入国を禁止。選手権争いにも影響が及びそうだ。
グリアジンのチームメイトで、英国のクリス・イングラムは現在WRC2ジュニア選手権で首位に立っており、グリアジンが6ポイント差の2番手で続いているが、イングラムは当初からエストニアへの参戦は計画に入れていなかった。このため、グリアジンにとってエストニア戦は首位浮上の絶好のチャンスだったが、その機会を失ってしまった。同選手権で3番手、4番手につけているチェコのエリック・カイスとフィンランドのエイリーク・ピエタリネンもエストニアには参戦しないため、イングラムの選手権リードはこのまま保たれることになりそうだ。
エストニア政府がエストニアのASNに対し、グリアジンとアレクサンドロフに対する「入国禁止」の通達を出したのは、先週のこと。WRC開催国として初めて、スポーツ規則を超えた理由でロシア人の出場を禁止したことになる。
グリアジンとアレクサンドロフは今季、これまでのWRCでは『中立選手』(Authorised Neutral Athletes = ANA)として参戦してきた。しかし、FIAは国の規制を優先させる立場を明確にしている。
グリアジンは、第5戦サルディニアではWRC2優勝を飾っているが、この時の表彰式では国歌斉唱も国旗掲揚も行われなかった。グリアジンは現在、WRC2選手権では、第6戦サファリで優勝を飾ったカエタン・カエタノビッチに14ポイント差の3番手に立っている。
(Graham Lister)