8月7日(日)、WRC第8戦ラリーフィンランド(グラベル)の最終日デイ4がフィンランドのユバスキラを拠点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが2位でフィニッシュ。エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム、エルフィン・エバンス/スコット・マーティンがそれぞれ3位、4位に入り、トヨタ勢が2‐3‐4フィニッシュを達成した。勝田貴元/アーロン・ジョンストンも6位でフィニッシュし、堅実に選手権ポイントを重ねた。
(以下チームリリース)
8月7日(日)、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第8戦「ラリー・フィンランド」の競技最終日デイ4が、ユバスキュラのサービスパークを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車) が総合2位でフィニッシュしました。総合3位にはエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(4号車)、総合4位にはエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が、総合6位にはTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationから出場の、勝田貴元が入りました。
ラリー・フィンランドの最終日は、サービスパークの東側と南側エリアで「オイティラ」と「ルイヒマキ」の、2本のステージを各2回走行。4本のステージの合計距離は43.92kmでした。デイ4は気温が13度前後と肌寒い朝になりましたが、競技中に雨は降らずステージは大部分がドライコンディションに。超高速のグラベル(未舗装路)ステージで、前日に続き激しい優勝争いが繰り広げられました。
デイ3で首位のオィット・タナックに8.4秒差に迫った総合2位のロバンペラは、SS20、21と連続でベストタイムを記録。ボーナスポイントがかかる最終のパワーステージ、SS22も制しましたが、タナックを逆転することは叶わず。6.8秒差の総合2位で母国ラリーをフィニッシュしました。ロバンペラは、今シーズン5回目となるパワーステージ優勝により、5ポイントの最大ボーナスを獲得。ドライバー選手権では、2位に対するリードを94ポイント差に拡げました。なお、ロバンペラのパワーステージ優勝により、GR YARIS Rally1 HYBRIDは今回走行した21本のステージのうち、15ステージでベストタイムを記録しました。
総合3位につけていたラッピは、朝の2本のステージを順調に走り終えましたが、再走ステージの1本目、SS21の深い轍で挙動を乱し道から外れて横転。3回転以上を喫しました。ステージはベストタイムのロバンペラから20.5秒遅れの11番手タイムでフィニッシュし、総合3位の座は守りましたが、フロントウインドウが割れ、リヤウイングが破損し、ラジエターから冷却水が漏れ出るなど、クルマにダメージを負ってしまいました。最終日はミッドデイサービスが設定されないため、ラッピはコ・ドライバーのフェルムと共に自力で応急処置を施し、何とか最終のSS22をスタートしました。割れたフロントウインドウを外したため、ラッピとフェルムは車載のゴーグルを装着して走行。10番手タイムで最終ステージを走破し、多くの波乱を乗り越え総合3位で母国ラリーを終えました。
総合4位につけていたエバンスは、デイ3終了時点で3位ラッピと44.5秒の差がついていましたが、ラッピのアクシデントにより、最終ステージを前に差は26.9秒に縮まりました。エバンスはパワーステージを3番手タイムで走行し、ボーナスの3ポイントを獲得しフィニッシュ。ロバンペラとラッピの獲得ポイントに加え、エバンスがパワーステージポイントをもたらしたことで、チームはマニュファクチャラー選手権首位の座を守り、リードを88ポイントに拡げました。
なお、勝田は総合6位で「第2のホームイベント」をフィニッシュ。その結果、勝田とTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationは、開幕から8戦連続でポイントを獲得することになりました。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
優勝できなかったことは、もちろん少し残念ですが、もっと大きな視点で見るべきでしょう。2台が表彰台に上がり、もう1台が総合4位、貴元が総合6位と、全体としては良い週末になりました。このラリーで勝つには、余計なことは考えず、ただひたすら全開で走らなければなりません。タナックは勝利のために全力を尽くして走り、素晴らしい仕事をしました。一方、カッレはチャンピオンシップのことも考えて戦わなくてはなりませんでした。あと少しで勝てそうでしたが、それでもクレバーに自分の仕事をこなし、ポイントを持ち帰り、パワーステージを攻め切ってチャンピオンシップのリードを広げました。また、転倒を喫したにも関わらず、エサペッカが表彰台に上ったのは本当に素晴らしいことでした。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
少しフラストレーションの溜まる週末でした。クルマのフィーリングがそれほど悪くないときもありましたが、他のラリーよりもフィーリングに関して悩むことが多かったように思います。クルマ自体は良かったのですが、あと少しの自信を持つことができず、ラリー期間中を通して何度もクルマのセッティングを変更しましたが、それがかえって状況を悪くしてしまったときもありました。今日は、ライバルとタイム差がついていたので、いい機会だと考え普段とは少し違うセッティングを試してみました。パワーステージでの自分の走りには満足できませんでしたが、それでも数ポイント獲得できたのは良かったです。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
今回は厳しい戦いでしたが、全体としては喜んでもいいでしょう。今朝、オィットはリスクを冒して走っていましたが、自分はそこまでする必要がなかったので、追いつくことが難しいのは明らかでした。ですので、できるだけ彼の速さについていき、大きく離されないように走り、パワーステージでは再びプッシュして5ポイントを獲得することができました。もちろんホームラリーで勝ちたかったですが、金曜日のステージを出走順一番手で走り、ロードクリーニングを担ったことを考えれば、自分たちが成し遂げたことに誇りを持っていいと思います。思うように追い上げることはできませんでしたが、それでも選手権ではポイント差を広げることができました。
エサペッカ・ラッピ (GR YARIS Rally1 HYBRID 4号車)
フィニッシュできて本当に良かったです。昨日のことも含めて今回は不運続きでしたが、転倒したにも関わらず競技を続行できたのはラッキーでした。あのコーナーのことは良く知っていて、1回目に走行した時はコーナーの出口に余裕があるのを確認していました。しかし、2回目は大きな轍ができていて、あっという間に横転してしまいました。幸いにも今回は「1000湖ラリー」だったので、湖で水を汲んでクルマに注水することができました。何とかすべての問題を解決してパワーステージにたどり着きましたが、最初の加速で屋根の大部分が飛んでいってしまったので、車内は風と騒音で大変なことになってしまいました。1回のラリーであまりにも多くのことが起こったので少々複雑な気持ちですが、表彰台に上れたので良かったです。
ラリー・フィンランドの結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 2h24m04.6s
2 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +6.8s
3 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m20.7s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m37.6s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +2m18.0s
6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +3m09.0s
7 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (フォード Puma Rally1 HYBRID) +3m57.0s
8 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (ヒョンデ i20 N Rally2) +9m31.3s
9 エミール・リンドホルム/レータ・ハマライネン (シュコダ ファビア Rally2 Evo) +9m39.0s
10 ヤリ・フットゥネン/ミッコ・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +10m31.6s
次回のイベント情報
WRC次戦は、8月19日(金)から21日(日)にかけて開催される、第9戦「イープル・ラリー・ベルギー」です。ベルギー西部のイープルを中心に行われるこのラリーは、昨年初めてWRCの一戦として開催されたターマック(舗装路)ラリーです。ステージは農道内の緩く直線的なコーナーと、曲がり角を組み合わせたレイアウトが特徴で、路面には土が多くあり、道幅は狭く、道のすぐ脇に深い溝や電信柱が迫るなど、小さなミスも許されない非常に難しいラリーです。