今季からトップカテゴリーのRX1eがフル電動マシンとなった世界ラリークロス選手権開幕戦は8月14日、ノルウェーのヘルでファイナルが行われ、昨年王者のヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲンRX1e)が貫録のパフォーマンスで優勝。不運により不利となった形勢からトップフィニッシュを果たした活躍で、ノルウェーの大観衆を沸かせた。
シリーズの名舞台のひとつ、ランケバネン・サーキットで世界RXが開催されるのは3年ぶり。クリストファーソンは、土曜日のスーパーポールでトップタイムをマークすると、予選3ヒートのうち2ヒートでトップタイムをマーク。ヒート3では、サーキットレコードもたたき出した。
しかし、セミファイナルのスタートでは、クリストファーソンを予想外のトラブルが襲う。フォルクスワーゲンRX1eのライトがつかなくなり、一瞬、マシンがストップしてしまったのだ。ファイナルへの進出は決めたクリストファーソンではあったが、中団からのスタートとなってしまった。
しかしクリストファーソンは、この不利な状況を逆手に取り、ファイナルの第1コーナーではチームメイトのオーレ・クリスチャン・ベイビー(フォルクスワーゲンRX1e)、ニクラス・グロンホルム(PWR RX1e)、ティミー・ハンセンの3台がトップ争いをするなか、やや後方からコーナー出口でインをつき、トップに躍り出たのだ。
首位に立ってからのクリストファーソンは、3.5秒以上の差をつけて悠々とチェッカーを受け、キャリア28勝目、フル電動マシンでの初の世界RXウイナーとしての歴史を刻んだ。
「全体として、世界RXの電動化時代の初めての週末はとてもいい内容になったし、たくさんのスペクテイターがサーキットに集まってくれたのも素晴らしいことだった」とクリストファーソン。
「ここにたどり着くまでは、みんなにとって壮大なチャレンジだったし、どのチームもここにいるだけで素晴らしい仕事をしてきたと言える。何もかもが新しいので、もちろんまだやらなくてはならないことは残っているが、事前テストが少なかったなかでマシンが素晴らしい動きをしていたことには感銘を受けたし、自分たちもこのマシンのことを学んでいるところだ」
「自分たちとしては、何よりもチームのためにうれしく思う。1‐3フィニッシュを達成し、ドライバーズとチームズの両選手権で首位に立ったことは、素晴らしい努力だったと思う。セミファイナルの後は落胆していたが、挽回できてよかった。30分の間に、地獄から天国に上った気分。そしてスウェーデン人だから、これだけ感情に揺さぶられることにも慣れていないんだよね! でも、勝てて本当にうれしいよ」
土曜日を終えた時点で全体トップにつけていたティミー・ハンセンは、ベイビーを僅差で退けて2位でフィニッシュ。ベイビーは、2015年以来の参戦となった世界RXでの初ポディウムを獲得した。クララ・アンダーソン(PWRX RX1e)は、ファイナル4位と、初めての世界RXフル参戦シーズンを順調に滑り出した。チームメイトのグロンホルムは5位に終わったが、セミファイナルの2レース目では絶妙なスタートを見せ、ライバルを圧倒してのフィニッシュを見せた。
一方、5月にシーズン開幕を迎えていたサポートカテゴリーのRX2e部門はこのヘルが2戦目。ベルギーのティーンネイジャー、ビクトル・ブランチェックが前戦スウェーデンに続いての連勝を飾っている。
世界RXの次戦は、9月3〜4日、ラトビアのリガでダブルヘッダーで開催される。
世界RXヘル ファイナル結果
1 J.クリストファーソン(フォルクスワーゲンRX1e) 3:17.885
2 T.ハンセン(プジョー208 RX1e) +3.692
3 O.C.ベイビー(フォルクスワーゲンRX1e) +4.057
4 K.アンダーソン(PWR RX1e) +5.049
5 N.グロンホルム(PWR RX1e) +5.332