先週、トヨタがWRCに復帰するのではないかという記事が新聞各紙に掲載され、ラリーファンのみならずモータースポーツ関係者全員が大きな衝撃を受けた。本来なら非常に喜ばしいニュースだが、果たしてトヨタがWRCに復帰する可能性はあるのだろうか?
記事のソースとなったのはトヨタの山科忠専務が新聞記者に語ったコメントだが、トヨタ関係者によれば「WRCをやる」と明言した事実はないという。あくまでも“将来参戦を検討しているモータースポーツのカテゴリーのひとつ”という意味で、WTCCやDTMなどとともにWRCを例に出したにすぎず、WRCへの参戦は決定事項でも何でもないようだ。
しかしながら、トヨタ内部にもWRCを含むラリーへの参戦を望む声は少なくない。例えばF1活動の母体であったTMG(トヨタ・モータースポーツGmbH)の木下美明社長は「私はグループA時代にWRCマシン用のエンジンを開発していましたし、自分自身も昔ラリーをやっていました。個人的にはラリーが好きで、ぜひやりたいと思っています。ただし、もしラリーをやるとしても現在の状況を考えると、WRCにワークス参戦というかたちは難しい。例えば我々がマシンを開発し、それをカスタマーに販売して使っていただくというスタイルが現実的でしょう」と、コメントしている。
いろいろな情報を総合すると、2011年か2012年にワークスとしてトヨタがWRCに出場するという可能性は低そうだ。
ただし、しばらくF1一色だったトヨタのモータースポーツ部門内にラリーをもう一度! というムードが高まりつつあるのは事実のようだ。どのようなかたちであれ、名門トヨタがラリーの世界に戻ってくるのは歓迎すべきことである。