WRCベルギー:タナック「いい仕事ができた」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCベルギー:タナック「いい仕事ができた」イベント後記者会見

©Hyundai Motorsport GmbH

WRCイープル・ラリーベルギーのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。ライバルに襲いかかる波乱の中で貫録の安定感をキープして今季3勝目をマークしたオィット・タナック。予想外の結果であった一方で、マニュファクチャラー選手権争いで先行するトヨタ勢を抑え切ったことに満足を見せた。

●WRCイベント後記者会見 出席者

Hyundai Motorsport GmbH

1位:オィット・タナック=OT(ヒョンデ・シェル・モビスWRT、ヒョンデi20 Nラリー1)
2位:エルフィン・エバンス=EE(トヨタ・ガズーレーシングWRT、トヨタGRヤリス・ラリー1)
3位:エサペッカ・ラッピ=EP(トヨタ・ガズーレーシングWRT、トヨタGRヤリス・ラリー1)
ジュリアン・モンセ=JM:(ヒョンデ・シェル・モビスWRT、チーム副代表)

Q:今回の結果、本当におめでとう。2連勝だ、オィット。まずフィンランド、そして今回のベルギー。ポディウムの頂点に立つとは予想していなかったのでは
OT:正直、かなりチャレンジングな一勝だった。ベルギーはトリッキーなラリーであることは、昨年すでに学んだ。ここでしっかり走り込むことなしに、どんな場所なのかを知るのは難しい。性格は少しドイツに似ているが、路面変化や大きなカット、村を通過する道、特別な場所がたくさんある。ティエリーと戦うことになるとも予想していなかったが、トヨタ勢を抑えることができたから、いい仕事ができたよ。

Q:実に素晴らしかった。今回、マシンのフィーリングはどうだったか
OT:そう悪くはない時もあったが、トランスミッションのトラブルがあり、交換しなくてはならないものがあった。基本的に、テストは求められるものを得るには理想的ではなかった。シェイクダウンの距離が長かったので、ここでなにかアイデアが得られると思っていた。いくつか選択肢は持っていたが、信頼性の問題があるので交換する予定はなかった。結果的には良かったし、自分たちも慣れて対応できた。

Q:トランスミッションはどれくらいの問題だったのか。タイムロスをしていたのは分かったが、それほど大きくはなかった。土曜日はどれくらい問題になっていたのか
OT:一時的なもので、少しずつ落ち始め、フルにパフォーマンスを出せなくなった。実際にはなかったが、1分くらいをロスするかもしれなかった。

Q:これで2連勝、勢いもついてきた。チームの雰囲気も今は高まっているようだ。君とティエリーは今回、いい流れになっていた。フィンランドで曲がり角を越えたのだろうかと聞いた時には、分からないと言っていた。あの時から、何か変化はあったか
OT:フィンランドから数週間しか経っていないし、ティエリーのパフォーマンスはみんな予想していたんじゃないかな。彼の母国ラリーだし、どのステージのことも彼は知っている。路面や、速く走るためのすべてをね。マシンがどうであろうと、ティエリーがここで速いことは疑うべくもない。自分たち的にはかなりサプライズだった。シェイクダウンでもかなり苦戦していたのだが、争いに加わることができた。それを引き寄せて進むべき走行を導き出し、ポテンシャルがあり勝てる可能性があることも見えてきたが、全体としては、どの路面でもどのラリーでも、もっと強さが必要だ。

Q:最終日は後から追うエルフィンとビッグバトルになった。最初のステージに向かう時、どのように攻めるつもりだったか。全開で行ったのか、どれくらい限界に近づいていたか
OT:間違いなくプッシュしていたよ。最初のループはかなり難しい。自分たちとグラベルクルーの間に走るマシンがたくさんいる。かなり変わっていたし、カットもある。だから、何かが起きた時のために余裕を残しておかなくてはならなかった。エルフィンがターマック、特にトリッキーなコンディションですごく強いことは分かっていた。かなりプッシュしなくてはならなかったよ。

Q:エルフィン、2位でフィニッシュ、トップとの差も大きくはなかった。今回のパフォーマンスをどう評価するか。総合2位について、どう感じているか
EE:もちろん、2位でのフィニッシュで心から満足はできない。全体としては悪くない週末だった。滑り出しはかなり良かった。マシンのフィーリングは週末を通して基本的に良かったが、最終日はもうひとつステップアップして自信のレベルを高められたかもしれない。変更を行った時は、それに対応する時間が必要だ。マシンの進捗にはハッピーだったし、最終的に、ひどくはないリザルトだ。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:前日の夜に行った変更が何か、教えてもらえるか。トランスミッションの何かではというのは分かったが、もっと詳しく教えてもらえるか
EE:トランスミッションの何か、というだけだ。

Q:最終日中盤のメディアゾーンで、マシンに慣れるのに少し時間がかかっているが、ハンドリングは前日より良くなっていると言っていた。
EE:確かに変更したわけではないが、ある部分、デイ1、デイ2で苦戦していた部分を前日の夜に見直していた。タイムだけで優勝を獲ろうとはしていなかった。もう少し、ドライブしやすくなる何かを見つけられたらと思っていた。メカニックたちが一丸となって、何かを試みてくれて、少なくとも結果はポジティブだった。

Q:どの段階でオィットに追いつけないと思ったか、あるいは最後までプッシュしていたのか
EE:すでに届くのは難しいと分かっていた。もちろん、こういったコンディションでは起こりやすい小さなスピンやミスを誘うようなプレッシャーはかけ続けた。残り50kmで8秒差は、何のミスもなしに取り返すのは難しい。オィットがいい走りをするのは分かっていたので、彼が小さなミスをした時のために対応できるよう、できる限りベストの仕事をするだけだった。

Q:次のギリシャはまたグラベルだ。このイベントに向けてのフィーリングは。今年最初の勝利はいつ来るだろうか
EE:いい質問だね。ギリシャを楽しみにしている。サルディニアは、結果としてはあまり良くなかったが、イベントを終えた段階でのマシンのフィーリングはかなり良かった。みんなと同じように自分たちにも改良するべき場所があり、サルディニアの後に取り組んでいる。もちろん、ここ数戦のグラベルラリーは、ギリシャとはあまり似ていない。エストニアもフィンランドも速度域が高いからね。でも、今週テストを行うので、そこで小さな改良を行っていきたいと思うし、数週間後にはいいラリーをしたいね。

Q:エサペッカ、今回も3位でポディウムに上がった。でも、数週間前にフィンランドでフィニッシュランプに上がった時と比べ、今回、マシンが上がった時はかなりスマートな形だった。今回のリザルトにはどれくらい満足しているか
EP:すごく満足しているけど、話題には欠けるね! あまり過激ではないから、取材も少ないよ。何だろうね、面白みがないんだろうね!

Toyota Gazoo Racing WRT

Q:今後は最終ステージで転倒するべきでは、と考えているということ?
EP:冗談だよ!
Q:もしかしたら本気なのかと
EP:なんでそうなるかな? いずれにしても、真剣な話をすれば予想以上の結果だ。みんなが感じているように、自分たちのペースはそれほど素晴らしいものではなかった。土曜日のようにクレイグ(ブリーン)とバトルが続いていたかもしれなかった。上位があれだけ速かったので、自分たちにはチャンスはなかった。5位でも上等だったかもしれないが、自分たちはミスをしなかったが、ほかのふたりはミスをした。それで自分たちの順位が上がった。そのことは受け入れるが、かなりのサプライズだよ。今回は、辛抱したことが報われた。

Q:確かに。ところで、今シーズン、この後の予定は。ギリシャには参戦するのは分かっているが、その後はどうなっているのか
EP:自分たちも知らない。
Q:Mr.オジエの決定待ちか
EP:そんなところかな。

Q:来年はドライバーとして、どのようにしたいか。フル参戦を希望するか、スポット参戦でも満足か
EP:ふたつの側面がある。もちろん、ドライバーとして大きな賞を目指して戦うチャンスはほしい。一方で、人生で一番重要なものは家族なので、スポット参戦はバランスとしてすごくいい。ラリーのプロとしての生活と、家族との生活だ。どちらも公平にしていきたい。現状、カッレに勝てる見込みはないほど彼が強いとか、そういうことは受け入れているが、それを踏まえたうえで、スポット参戦はかなり現実的な選択肢だ。

Q:ジュリアン、チームは2連勝だ。オィット・タナックは素晴らしい週末にまとめた。土曜日はティエリー・ヌービルで心痛な思いをしたが、オリバー・ソルベルグは自己ベストリザルトをマークした。この週末をどう分析するか
JM:もちろん、全体としていいリザルトだ。まず、オィットの勝利は、間違いなくハイライトだ。高速グラベルのフィンランド、ターマックのイープルと連勝したのは、シーズンのこの先に向けて非常に励みになる内容だ。そして、オリバーの結果も良かった。総合4位は彼のここまでの自己ベストだ。フィンランドが厳しい内容となったが、そこから立ち直り、今回のイープルではど堂々としたペースを見せていた。チームとしても、彼が自信と安定感を持てるように取り組んだし、それが実を結んだようだ。もちろん、ティエリーのコースオフは、辛い面だ。ラリーの首位争いをしていたのは明らかだったが、これもモータースポーツだ。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:今日の進捗を見守るのは、どれくらい大変だったか。オィットはしっかりコントロールできていたようだが、ここではミスがしやすいことは週末を通して目の当たりにしてきた
JM:オィットは、我々をナーバスにさせるのが好きなんだろうね。フィンランドでもそうだったし、今日もそうだった。今回はすでに、週末を通して最後の最後まで気をつけなくてはいけないと伝えてあった。最終日の午前も、アドリアン・フルモーがひとつの小さなミスでディッチにつかまってしまった。それでおしまいだ。最後の瞬間までストレスを感じていたよ。オィットはそれをターゲットにしていたんじゃないかな。一方で、かなり自信も持っていたが、最後まで分からないからね。

Q:全員への質問。イープルでWRC戦が開催されるのは今回が2度目だ。このイベントについてどう思うか。オィットから
OT:WRCには、このようにラリーへの情熱が深い人々がいるイベントが必要だということは疑いようがない。ここに来て、ステージを走って大観衆を目にすると、ここがラリーに必要な場所だと感じるし、ラリーを愛している場所なのだと思う。それは僕らみんなにとってベストのことだし、マニュファクチャラー陣も、ここの人々が大好きだし、ここに来ることをうれしく思っている。

EE:オィットの意見に賛成だ。ここのスペシャリストがいるので、ステージはものすごくエキサイティングになるわけではないという部分もある。でも、2年経験して、少しずつ慣れ始めてきた。でも、広場のサービスや週末を通しての雰囲気もいいし、夜にしっかり睡眠時間がとれるアイテナリーは悪くないよね!

EP:エルフィンの言ったことに同感。ヒストリックなラリーという感じがする。昨年、一度参戦したんだ。フィンランド選手権が併催されたヨーロッパ・ヒストリックラリー選手権だ。スケジュールはとても似ていた。朝は遅いし、リエゾンは距離ではなく時間的に長い。朝起きて、前日の疲れがしっかり取れていると感じられるのはすごく良かった。フィンランドのように奮い起こさなくてもいいんだ。道の面では、すごく独特なイベントだ。自分の好きなタイプではなかったが、今はそうなりそうだね! ジャンクションやカットが多い。すごく独特なので、このようなリザルトが出せるならカレンダーに残しておきたいね!

Q:ジュリアン、ドライバーたちの意見に付け加えることは
JM:ほぼ同じだね。たくさんの人たちが集まる市街地は、本当に情熱にあふれていた。自分たちのファクトリーからも遠くないので、同僚や友人、家族がたくさん来てくれた。だから、自分たちにとってはすごく特別な一戦。もちろん、チームにとっては、違うフォーマットのタイムスケジュールがあるのは、大歓迎だ。自分たちもしっかり寝られるからね!

Q:記者席からの質問
オリビエ・デ・ワイルド(ラ・デルニエール・フーレ、ベルギー)
Q:オィットに、パワーステージではティエリーがトランスミッションにトラブルを抱えていたと言っていた。彼の言葉を信じるか

OT:それには答えない

Q:土曜日に起きたことや彼が話したことについて彼と話したか
OT:話したよ。おそらく、ゲームのようなものだ。そういうものなんだ。みんな、大変なプレッシャーを感じているし、地元の観衆の前で上位で戦い地元に勝利をもたらそうとしていたティエリーが一番重く感じていた。それは重要なことだし、自分としては問題ない。

Q:彼がコースオフした場所を見たか。彼はダストがひどくて驚いたと言っていた。君は彼より3分早くそこを通過したが、ダストはなかった。彼は、それを避けることはできなかったと言っていた。君が彼にダストを残したのか
OT:あなたはベルギーの方?
Q:そうだ
OT:ずいぶんティエリーに対して批判的のように聞こえるね! ある意味、リードしているのならマシンを持ち帰ることができるはずとも言えるかもしれない。でも実際は、一番最近の例ではエルフィンと自分、エサペッカの立場になってみると、こうしたことは簡単に起こる。自分たちが戦っているフィールドは紙一重だ。説明するのは難しいが、どうしてこうしたことが起きたのか説明するのが難しい時もある。これもこの仕事やこのスポーツの一部だし、だからこそラリーは特別な存在なんだ。

Q:今年いっぱいで契約は終わるのか
OT:来年も契約している。

Q:エルフィン、優勝まで5秒差だったが10秒のペナルティを受けている。これはミスだったと言っていたが、コ・ドライバーのミスか
EE:基本的にはそうだが、そういうこともあるんだ。自分はそこを指摘するためにここにいるわけじゃない。自分がモンツァでコースオフをしたから世界タイトルを逃したんだとも言えるんだ。だから、僕らは勝つ時も一緒、2位でフィニッシュする時も一緒。そういうことだ。これ以上、議論することはないよ。



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