今季のERCで選手権首位に立っているエフレン・ラレーナとサラ・フェルナンデスが、それぞれ今季のドライバーズ、コ・ドライバーズタイトルを確定させた。スペイン人のERCチャンピオン誕生は、1980年以来。
ラレーナは、タイトル確定をかけて8月26〜28日のチェコラリー・ズリン(ターマック)に挑むことになっていたが、直前になってシモーネ・テンペスティーニが参戦を取りやめた。これにより、ラレーナとフェルナンデスにポイントで追いつけるものがいなくなり、タイトルが決まった。
2021年はアンドレアス・ミケルセンに続くシリーズ2位に入っていたラレーナは、1980年のアントニオ・ザニーニ以来のスペイン人ERCチャンピオンとなる。一方、フェルナンデスは、2年連続でのタイトルを獲得することになった。
ラレーナは今季すべてのラリーを確実にフィニッシュしており、この安定感がタイトル獲得に結びついた。今年からチームMRFタイヤのシュコダ・ファビア・ラリー2 Evoをドライブするラレーナだったが、開幕戦のラリーセラス・デ・ファフェ・フェルグエイラス‐カブレイラ・ボティカスは、初日にラジエタートラブルを抱えて総合12位と厳しい滑り出しとなった。しかし、その後は、タイトルに向けて前進を続けた。
3月のアゾレスラリーでは、パワーステージでリカルド・ムーラをかわして初優勝をマーク。ターマックのラリーイズラス・カナリアスでは総合2位、高速グラベルのポーランドは4位と、着実にポイントを重ねた。ラリーリエパヤでは、マルティン・セスクとともにチームMRF勢1-2フィニッシュを達成し、前戦ローマはタイトル確定の可能性も浮上していたが、総合4位にとどまっていた。
MRFタイヤは2020年からERC参戦を開始し、積極的に開発を進めていった。その努力が結実し、インドのタイヤメーカーとして初めてERCを制した。
「言葉がないよ」とラレーナは喜びを見せる。
「4年間に、ラリーチームスペインからERCに参戦した時から始まった夢だった。ERC3ジュニアタイトルを獲り、ERC3も制し、そしていま、総合タイトルを獲得できたことは最高の気分」
「MRFにとっても非常に重要な年だった。ベストを尽くし、全力でタイヤ開発に努めた。みんながひとつの方向に向かって、必死に取り組んだと思う。エンジニア、チーム、関わるすべての人たちが素晴らしい仕事を成し遂げた」
MRFタイヤの副会長兼マネージングディレクター、アルン・マメンは「MRFタイヤにとって初めてのERCタイトルを獲得できたことは、非常にうれしく、記念すべきことだ。ヨーロッパのラリーでトップレベルのパフォーマンスを発揮し、タイトルを獲得したタイヤは、チーム全員の努力の結晶であり、当社の優れた技術力を証明するものだ」と喜びを語る。
「この歴史的な偉業を成し遂げたエフレン・ラレーナ、サラ・フェルナンデス、そしてチームを支えてくれたそのほかのドライバーに祝福を送りたい。2022年のERCチャンピオンになったことは、実に名誉なことであり、誇らしい瞬間だ」
ERCの選手権マネージャー、イアン・キャンベルは、新チャンピオンに心からの賞賛を送る。
「WRCプロモーターとERCを代表して、2022年チャンピオンとなったエフレン・ラレーナとサラ・フェルナンデスを祝福したい。シーズンを通して、見事なパフォーマンスを披露してきた。また、歴史を作ったチームMRFタイヤのことも祝福したい」とキャンベル。一方で、テンペスティーニが最後までズリン参戦に向けて全力で努力していたことも説明した。
「我々は、シモーネ・テンペスティーニの参戦を確保するために、あらゆる可能性を追求した。残念ながら、ズリンのスタートに持ち込むことはできなかったが、最終戦のスペインの参戦は希望している」