ERC第7戦チェコラリー・ズリン(ターマック)は、8月28日競技最終日となるレグ2に設定された3SSを2ループする95.88kmのうち、キャンセルとなったSS11を除くステージを走行。前日に30秒以上の差をつけて首位に立っていたヤン・コペッキー(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)が、この日もしっかりペースをコントロールして、10度目のラリーズリン優勝を飾った。
最終日も天気が変わりやすく難しい展開となった今季のラリーズリン。大雨でターマックの路面に水があふれたかと思えば、次のステージは青空の下でのドライとコンディションは多彩に。さらにズリン特有の林道セクションは、走行が重なるごとにマディでスリッパリーとなっていった。
しかし、この不安定なコンディションでも、コペッキーは「Mr.安定感」らしい走りを披露した。34.6秒のアドバンテージを築いてこの日を迎えたコペッキーは、順位キープのアプローチ。リスクを抑えてミスをせず、この日はステージウインはなかったもののライバル勢を抑え切り、地元チェコのERCで10度目の優勝をマークした。
「コンディションが本当にクレイジーで、一番難しかった優勝のひとつになった」と語るコペッキー。
「最終日まで、どのステージでも雨が自分たちを追いかけてきた。支えてくれたみんなのおかげで、本当にいい週末になった」
一方、2位争いはフィリップ・マレス、サイモン・ワグナー(いずれもファビア・ラリー2 Evo)、エリック・カイス(フォード・フィエスタ・ラリー2)との激戦に。最終的に、地元チェコのマレスが、ワグナーにわずか1.8秒差で競り勝った。そのワグナーは、最終パワーステージの左コーナーでワイドに膨らみ、ディッチの外側からはい上がるまでに少なくとも5秒をロスと痛恨のミス。2位を逃すこととなった。
トップ10で唯一、シュコダ以外のマシンで戦ったカイスも、最終日は悔しい内容となった。2年連続で最終ステージで不運に見舞われ、今回は左リヤタイヤをパンク。これで、ワグナーに7秒遅れでのフィニッシュとなり、ポディウム圏内から脱落した。カイスから4分近く遅れでのノルベルト・ヘルチグ(ファビア・ラリー2 Evo)は、今季ベストの5位でのフィニッシュを果たしている。
ERCタイトルは、このラリーズリンの開幕を前にエフレン・ラレーナが確定させているが、今戦を終えてサポートカテゴリーでもタイトルが確定。ジュニアERCでは、ローラン・ペリエ(オペル・コルサ・ラリー4)が、クリオ・トロフィーbyトクスポーツWRTでは、パウロ・ソリア(ルノー・クリオ・ラリー5)がそれぞれタイトル獲得を決めている。
今季のERCは、最終戦がWRCと併催になることが決定。ラリーRACCカタルーニャ‐コスタドラダ(スペイン、ターマック)は、ERCはWRCよりも会期が1日短くなり、10月20〜22日の開催となる。
ERCズリン 最終結果
1 J.コペッキー(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) 1:59:27.6
2 F.マレス (シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +37.5
3 S.ワグナー(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +39.3
4 E.カイス(フォード・フィエスタ・ラリー2) +46.3
5 N.ヘルチグ (シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +3:43.0
6 S.カンペデッリ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +4:07.3