今季のWRC第11戦として、カレンダーに復帰するラリーニュージーランド(9月29日〜10月2日、グラベル)。世界のグラベルラリーステージでも独特の特徴を持つこのイベントは、これまでもWRCドライバーたちから高い支持を得てきた。待望のWRC復活に向けて、同国北島のオークランドにあるリニューアルされたばかりのウォーターフロントに、拠点となるラリービレッジを設定するなど、主催者はイベントを盛り上げるために様々な工夫を凝らしている。
特に注目されるのは、ラリービレッジから南東に35kmのウィットフォードにある6.5kmのスーパーSS。ニュージーランドのラリードライバー、アンドリュー・ホークスウッドが私有地に作り上げた専用ステージ“ジャックス・リッジ”だ。今回のWRCニュージーランドでは、ジャックス・リッジ・ハヌウイのステージ名で設定される。
2017年のニュージーランドチャンピオンであるホークスウッドは、自らワークショップを率いてマシンを自作する同国ラリー界の第一人者。国内のラリー選手権だけでなく、WRC、APRCと国際格式ラリーにも積極的に参戦してきており、APRCでは日本人ドライバーたちとしのぎを削ってきた。現在、息子のジャック・ホークスウッドもニュージーランドでラリードライバーとして参戦している。
ラリーニュージーランドの長い歴史の中でも、1万人以上の集客が見込まれるスタジアムスタイルのSSが作られるのは初めてのことだ。今回のWRCニュージーランドでは、ジャックス・リッジ・ハウヌイは最終日に2回走行。2回目はボーナスポイントがかかるパワーステージにも指定される。主催者は、この10月2日は、競技走行のほかにも、ジャックス・リッジをヒストリックラリーカーや名車を幅広いモータースポーツのスタードライバーがコースを走行するなど様々な企画を計画しているという。
主催者は8月26日、ジャックス・リッジのステージでローンチイベントを開催。このイベントに参加することが決まったドライバーとしてまず、国際的に活躍するレーシングドライバーのマイケル・ピケンス、ドリフト界のレジェンドであるマッド・マイク・ウィデット、クワッドバイクの異端児イアン・フィッチの3人を発表した。この日はステージを走行したほか、ステージのオーナーでもあるホークスウッドもメディアやゲストを同乗させる企画も行われた。
ラリーニュージーランドのCEO、マイケル・ゴールドシュタインは「WRCがこの国に戻ってくることに、モータースポーツのファンは沸き立っている。オークランド全域で、世界最高峰のドライバーたちが繰り広げるグラベルステージでの最高のショーをおおいに盛り上げたい」と語る。
「ホークスウッド一家の尽力のおかげで、オークランド近郊に素晴らしいスタジアム風のステージを設定することができた。ジャックス・リッジは、観戦しやすい環境と壮大なアクションという両面において、ラリーの常識を覆すものになるだろう。アンドリューがこの埋立地をスポーツのための特別な施設に変えるというビジョンを持っていたことは、我々にとっても幸運だった」
今回のWRCニュージーランドでのジャックス・リッジ・ハヌウイの観戦チケットは、大ジャンプ近くの観戦ポイントが確保されるゴールドパス(大人価格99NZドル)がすでに完売。通常チケット(大人価格59NZドル)が若干数残るのみとなっている。