2022年のWRC第10戦アクロポリス・ラリーギリシャは、競技3日目のSS13までを終えて、ヒョンデのティエリー・ヌービルが首位。27.9秒差の2番手にはチームメイトのオィット・タナック、52.9秒差の3番手にダニ・ソルドと、ヒョンデがトップ3を独占している。トヨタ勢の最上位は4番手のエルフィン・エバンス。我慢の走りが続いている勝田貴元は、上位の脱落もあり前日の10番手から7番手に順位を上げた。
競技3日目はサービスパークが置かれたラミア西の3ステージを、サービスを挟んで午前と午後でループ。SS8〜SS13の6SS、147.98kmを走行する。この中には33.20kmの「SS8/SS11 Pyrgos」が含まれており、今回のイベント最長の1日となる。
オープニングのSS8でベストを刻んだのは、前日6番手のオィット・タナック(ヒョンデ)。セバスチャン・ローブ(Mスポーツ・フォード)は1.7秒差の二番時計でまとめて、首位の座をしっかりとキープ。総合2番手につけていたピエール-ルイ・ルーベ(Mスポーツ・フォード)は20秒以上も遅れた6番手タイムに沈み、代わって3番手タイムのヌービルが、ルーベとエサペッカ・ラッピ(トヨタ)をかわして、総合2番手に順位を上げた。
順調に首位をキープしていたローブだったが、SS9でフォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1のオルタネーターベルトが破損。ラリー続行が不可能となり、無念のリタイアを余儀なくされた。Mスポーツ・フォードは、3番手のルーベもパンクで1分以上をロスし、7番手までポジションダウン。後方では9番手を走行していたトヨタのカッレ・ロバンペラが立木にヒットするアクシデントに見舞われた。GRヤリス・ラリー1はリヤにダメージを負っており、なんとか走行を続けているものの、トップ10圏外へとドロップしている。
上位に波乱が起こった結果、SS9でベストをマークしたヌービルがトップに浮上。総合2番手にはタナックがつけ、ヒョンデが1-2体制を築いた。続くSS10でもヌービルが連続ベストを刻んだ一方、タナックはペースが上がらず、ラッピが再び総合2番手に浮上した。午前中のセクションを終えて、ヌービルはラッピとの差を31.0秒に拡大。以下、3番手にタナック、4番手にダニ・ソルド(ヒョンデ)、5番手にエルフィン・エバンス(トヨタ)が続く。
サービスを挟んだ午後のセクション、午前中と同じルートをリピートするSS11でもヌービルがベスト。ここでは6番手のガス・グリーンスミス(Mスポーツ・フォード)がメカニカルトラブルでストップ。SS12では2番手につけていたラッピにトラブルが襲いかかる。ラッピはスタートから2.2km地点でメカニカルトラブルでスローダウン。なんとかステージを走り切ったものの、ベストのソルドから13分も遅れてしまう。この結果、トップにヌービル、2番手にタナック、3番手にソルドと、ヒョンデがトップ3を独占することになった。
この日の最終SS13はタナックがベスト。2番手タイムでまとめたヌービルは、総合2番手のタナックに27.9秒のアドバンテージをもって、最終日は今季初勝利に挑む。3番手のソルドと4番手エバンスとの差は7.1秒。エバンスがヒョンデの表彰台独占を阻止できるか、その戦いにも注目が集まりそうだ。また、燃料システムのトラブルを抱えたまま走行していたラッピは、SS13へと向かうロードセクションでマシンを止めている。
ラリー最終日は残り3SS、45.08kmで争われる。オープニングステージのSS14は日本時間11日の15時08分スタート。
WRCアクロポリス SS13後暫定結果
1. T.ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) 3:06:34.4
2. O.タナック(ヒョンデi20 Nラリー1) +27.9
3. D.ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1) +52.9
4. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:00.0
5. P.ルーベ(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +2:40.1
6. C.ブリーン(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +3:47.2
7. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +4:41.2
8. E.リンドホルム(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +5:58.4
9. N.グリアジン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +6:43.0
10. Y.ロッセル(シトロエンC3ラリー2) +7:27.8