TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、9月8日(木)から11日(日)にかけて、ギリシャ中央部で開催された、WRC第10戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」に、コ・ドライバーのアーロン・ジョンストンとともにTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next GenerationからGR YARIS Rally1 HYBRIDで出場。WRC有数のラフな路面で戦われたグラベルラリーで、総合6位を獲得した。
(以下チームリリース)
昨年、久しぶりにWRCとして開催された伝統のアクロポリス・ラリーは、山岳地帯の荒れたグラベル(未舗装路)ステージを舞台に行われるラフグラベルラリーです。昨年は降雨により路面が濡れたステージも多くありましたが、今年はラリー期間中を通して好天が続き、ステージはドライコンディションに。荒れている路面も昨年より多く、気温も非常に高かったことから、多くの選手がアクシデントやクルマのトラブルに見舞われ、戦列を去りました。
勝田は、昨年このラリーでレッキ(ステージの事前下見走行)を行なうも、諸事情によりラリー本番への出場はできず、今回、初めてラリーカーでステージを走行しました。そのためステージに関する知識や経験が昨年や過去に出場したライバルよりも少なく、またクルマのセッティングもステージにあまりマッチしていなかったことから、フルデイ初日の金曜日は総合10位で終えました。土曜日のデイ2は出走順が前方だったことも影響し、滑りやすい路面で厳しい戦いが続きましたが、大きなミスをすることなく粘り強くステージを重ね、総合7位にポジションアップ。そして、最終日の日曜日は順位をひとつ上げ、GR YARIS Rally1 HYBRID勢最上位となる、総合6位でフィニッシュしました。
勝田は前戦終了時点で開幕から全戦でポイント圏内フィニッシュをしている唯一のドライバーでしたが、その記録を今回10に伸ばし、第2戦以降9戦連続で総合6位以上のリザルトを記録しています。
勝田貴元
本当に大変で、学ぶことが多くあった週末でした。このラリーは初出場でしたし、例えばトルコのようなラフな路面のラリーに出たこともなかったので、これほど路面が荒れているグラベルラリーを戦ったのは初めてでした。金曜日の午前中は、特にペースノートの面で苦労しましたが、一歩一歩改善していき、午後はいくつかのセクションでペースを上げることができました。本当に大変だったのは、土曜日でした。セッティングをいろいろ試したのですが、なかなか自分が望むものにはなりませんでした。しかし、最終日さらに変更を加えたところ、フィーリングが良くなって、クルマをフィニッシュまで運ぶことができました。ラリーの序盤は状況を受け入れながら、このようなステージについて学ぶこと、そして今後に向けて改善すべきことに意識を集中して走りました。
ヤリ-マティ・ラトバラ(TOYOTA GAZOO Racing WRTチーム代表)
貴元にとっては難しい週末でしたが、今シーズン最も安定しているドライバーとしての記録は維持することができました。ギリシャは初出場で、このようなコンディションは彼にとって初めての経験でしたし、今回はチームとしてもパフォーマンスを発揮することができませんでした。しかし、今シーズン何度もそうしてきたように、貴元は大きな視野でラリーに臨み、一貫性を保ち、フィーリングが合わない時は限界を超えるようなことはしませんでした。その結果、今シーズン多くのことを学ぶことができましたし、私も彼の成長に満足しています。次のニュージーランドはまた新たなチャレンジになりますが、きっと彼はラリーを楽しむことができるはずです。
アクロポリス・ラリー・ギリシャの結果
1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ(ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 3h34m52.0s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +15.0s
3 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ(ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m49.7s
4 ピエール=ルイ・ルーベ/ヴィンセント・ランデ(フォード Puma Rally1 HYBRID) +3m42.2s
5 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル(フォード Puma Rally1 HYBRID) +4m09.0s
6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン(トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +6m21.1s
次回のイベント情報
勝田の次戦は、9月29日(木)から10月2日(日)にかけて、ニュージーランドのオークランドを中心に開催される、WRC第11戦「ラリー・ニュージーランド」です。2012年大会以来、10年ぶりにWRCとして開催されるこのラリーは、流れるような中速コーナーが連続するグラベル・ラリーです。路面は非常にスムーズで、バンクがついているコーナーが多く高いコーナリングスピードが得られるため、ドライバーにとっては走る喜びが強く感じられるイベントとして人気がありますが、勝田にとってはニュージーランドも初めて挑むラリーとなります。