9月29日〜10月2日、WRCは試練と景観、両方の面で選手権屈指の豪快なイベント、ラリーニュージーランドのカレンダー復帰を迎える。
2012年以来、初めてWRCとして開催されるニュージーランドは、クルーにもチームにとっても唯一無二のグラベルラリー。スムーズで高速であることに加え、バンクのついたコーナーをクリアするのは、スリリングなドライビング体験。郊外の息を飲むような景観も合わせれば、ラリーニュージーランドが世界選手権の舞台として待望されたのもうなずける。
ニュージーランドの北島を舞台とする今回のWRCニュージーランドには、今季から導入されたハイブリッドの新規定ラリー1マシンが11台並ぶ。
■エントリー状況
ドライバーズ選手権で首位に立っているトヨタのカッレ・ロバンペラは、今回も金曜日は走行順がトップとなる。タイトル争いでは53ポイントのリードを握っており、今回のリザルトによっては南半球でタイトルを決める可能性も高い。チームメイトのエルフィン・エバンスは、今季まだ勝利をマークしておらず、ニュージーランドの参戦は初めてだが、コ・ドライバーのスコット・マーティンは過去2回、参戦経験がある。セバスチャン・オジエは6月のサファリ以来のWRC参戦。ニュージーランドの参戦は2009年に1回のみだが、この時は総合2位でのフィニッシュを飾っている。日本の勝田貴元も、4台目のGRヤリス・ラリー1で初めてのラリーニュージーランドに挑む。
フィンランド、ベルギー、アクロポリスとここ3戦で連勝を飾り勢いづくヒョンデ勢は、オィット・タナック、ティエリー・ヌービル、オリバー・ソルベルグの布陣で臨む。ソルベルグの父、ペター・ソルベルグは、前回ニュージーランドでWRCが行われた2012年に、ヌービル、タナックと戦っている。
Mスポーツ・フォードは、クレイグ・ブリーンとガス・グリーンスミスをフォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1のドライバーに起用。アドリアン・フルモーのエントリーを見送ったため、マニュファクチャラーズ選手権のポイント対象はこのふたりのみとなる。また、イタリアのプライベーター、ロレンツォ・ベルテッリは、ラリー1マシンデビューを飾る。
■サポートカテゴリー
ニュージーランドのトップドライバー、ヘイデン・パッドンは、母国の期待を背負ってヒョンデi20 Nラリー2でWRC2にエントリー。2011年にPWRCタイトルを獲得しているパッドンは、今季、世界選手権への参戦を再開した。今回はポーランドのカエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)を迎え撃つ。WRC2ジュニアにもノミネートしている元オーストラリアチャンピオンのハリー・ベイツ、ニュージーランド選手権を2回制しているベン・ハントなど地元強豪も名を連ねるほか、ドイツのアーミン・クレマーはWRC2マスターズカップの3連勝を狙う。ニュージーランドのトップドライバーでオーストラリアのスーパーカー選手権を2回制しているシェーン・バン・ギスベルゲンは、WRCデビューを飾る。
■ラリールート
競技は9月29日木曜日夜、オークランドの中心地、プケカワ・オークランド公園に設定される1.40kmのステージで開幕。30日金曜日は、オークランド南部のワイカト地方に計160.34kmのステージが設定される。この日のアイテナリーは、名門Whaanga Coastのほか、Te Akau South、Te Akau Northを2回ずつ走行する構成。Te Akau Southは、ラリー最長の31.48km。この日は日中サービスはなく、タイヤフィッティングゾーンのみの設定となるため、リスクを避けてマシンを守り切ることが鍵となる。
土曜日はオークランド北部のカイパラ地方に88.28kmのステージが設定。この日も3ステージを2ループする構成だが、オークランドのウィンヤード・クオーターに設置されるサービスパークで日中サービスが設定されている。
最終日の日曜日はTe Maraunga Waihoと、話題のラリー専用ステージ、Jack’s Ridge Haunuiを2回ずつ走行する31.18km。Jack’s Ridge Haunuiの2回目の走行はパワーステージに設定されており、トップ5にはボーナスポイントが与えられる。
■ラリーデータ
開催日:2022年9月29日〜10月2日
サービスパーク設置場所:オークランド
総走行距離:1379.97km
総ステージ走行距離:279.80km(SS比率20.28%)
総SS数:17
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
カッレ・ロバンペラ(#69)
エルフィン・エバンス(#33)
セバスチャン・オジエ(#1)
[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#11)
オィット・タナック(#8)
オリバー・ソルベルグ(#2)
[Mスポーツ・フォードWRT]
クレイグ・ブリーン(#42)
ガス・グリーンスミス(#44)
■2012年ラリーニュージーランド最終結果
1 S.ローブ/D.エレナ(シトロエンDS3 WRC) 4:04:51.2
2 M.ヒルボネン/J.レーティネン(シトロエンDS3 WRC) +29.6
3 P.ソルベルグ/C.パターソン(フォード・フィエスタRS WRC) +1:36.4
■近年のウイナー
2012年 S.ローブ/D.エレナ(シトロエンDS3 WRC)
*2011年 H.パッドン/J.ケナード(スバル・インプレッサWRX STI)
2010年 J-M.ラトバラ/M.アンティラ(フォード・フォーカスRS WRC’09)
2008年 S.ローブ/D.エレナ(シトロエンC4 WRC)
2007年 M.グロンホルム/T.ラウティアイネン(フォード・フォーカスRS WRC’07)
*WRC外イベントとして開催