WRCラリーニュージーランド、シェイクダウン後に行われたイベント前カンファレンスの内容(抜粋)。2012年以来のWRC開催となったニュージーランド。ドライバーたちは、リズムに乗れる独特のグラベルステージの魅力を語った。
●WRCプレイベントカンファレンス出席者
カッレ・ロバンペラ=KR(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
セバスチャン・オジエ=SO(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
オィット・タナック=OT(ヒョンデ・シェル・モビスWRT)
クレイグ・ブリーン=CB(Mスポーツ・フォードWRT)
ロレンツォ・ベルテッリ=CB(Mスポーツ・フォードWRT)
Q:このイベントにまた参戦する気持ちはどうか
SO:正直、ここにいられて最高の気分。一度しか出たことがないイベントだが、一度出たら必ず戻ってきたくなる。WRカーでのドライブが最高な素晴らしい道だし、優勝争いをしたいい思い出もある。自分の初勝利をヤリ‐マティ(ラトバラ)、セバスチャン・ローブ、ペター(ソルベルグ)と争った。その時は勝つことはできなかったが、初勝利はその後すぐにマークできたし、またここに来られてハッピーだ。週末を楽しみにしている。
Q:その時に勝ったのはヤリ‐マティだったが、今では自分のチームのボスだ。この週末に向けて、彼は何か刺激してきたりしたか
SO:ヤリの人柄はご存じだと思う。話好きだけど、当時の話をことさらに吹聴したりはしない。もちろん、少しは当時のことに触れたりしたし、スピンして勝利を逃したフィニッシュ前4コーナー目の時のことは、何度も見た。あの時は少しワイドにプッシュしすぎていた。こういうことがあるから、このスポーツも成り立っているんだと思うし、彼も優勝にふさわしい戦いをした。自分には、今回、勝つチャンスがある。もちろん3カ月ぶりのWRC参戦だし、高速のラリーだから自信が必要なので簡単にはいかないだろう。ライバルはハードにプッシュしてくるので、自分も早くペースをつかまなくてはならないが、走行順がアドバンテージになると思う。もしドライなら間違いなくね。
Q:ここに参戦するのは12年ぶりだが、レッキはどんな感じだったか。久しぶりだし、その間に世界中のグラベルラリーにたくさん参戦してきた。レッキで走ってみて、そうそうこれこれ! という感じだったのか
SO:そんな感じもあったし、少し変わったという感じもあった。ワーンガコーストは変わらず、リズミカルで素晴らしいステージ。どこも同じだが、12年前に比べると少し広くなって速度域が高くなったのではないかと思う。自分的にはフィンランドとかエストニアのような感じに似てきたように思う。地面は違うが性格が似ている。自分的には前とは少し違うが、素晴らしいことには変わらないので、ここに参戦することを決めたのは間違いなく正しい選択だったと思うし、週末を楽しみたいね。
Q:カッレ、フィンランドやエストニアの性格に似てきたという意見には同感か。このラリーを初めて見る新鮮な目ではどうか
KR:そうだね。主にかなりワイドで高速であることには間違いない。少しテクニカルなところも多い。ストレートがちょっと少なくて、常にコーナーからコーナーへの複合。でも、かなり速いセクションもある。
Q:期待どおりか。YouTube動画や写真、父親からの話などいろいろ見てきたと思うが
KR:本当にいいステージだ。すべてが順調なら楽しめると思う。でももちろん、セブも言ったように強い自信を持っていなくてはならない。いい感じにリズムに乗れるステージだ。
Q:今の自分の自信のレベルはどんな感じか
KR:かなりいい感じだ。もちろん、ここ数戦はベストの内容にはなっていなかったが、ギリシャの後、マシンを修復してより速く、楽しめるマシンにしたので、すべて良くなっているはずだし、週末を楽しめることを願うよ。
Q:そして今回もタイトルチャンスを握っている。タイトルについては、どれくらい気にかけているか、それとも気にせずこの素晴らしいイベントを楽しむのか
KR:もちろん、そのことが気にかかるのは当たり前だと思うし、特にここ数戦はいい内容にできていないので、いいリザルトをもっと収めてポイントを取らなくてはという気分にもなるが、自分はどのイベントでも、一戦一戦に集中して、いい走りをすることに専念するだけ。それが、最善のリザルトを収めるために一番の方法でもあるからね。
Q:今回のラリーで、最もタフな要素はなんだと思うか
KR:自分的には、明らかに金曜日最初のステージだね。すごく長い1日になるし、ルーズなグラベルがたくさん乗っている区間もあるので、そこを先頭走行で走るのは楽ではないと思う。金曜日にいい仕事をすることに専念しなくてはならない。
Q:オィット、2012年にこのラリーに出ているが、かなり前の話だ。またニュージーランドに参戦できることはうれしいか
OT:ここの道の性格は素晴らしい。もちろん、また出られてうれしいよ。10年前のことを詳細まで思い出すのは難しいが、ここに出たことは思い出せるし、オークランドのスカイタワーも覚えている。基本的にかなりいい感じだ。
Q:レッキで走った感じでは、タイヤにはどれくらい厳しくなりそうか
OT:ここの一番の要素は、路面が固いということ。固い路面はすぐに露出してくると思うが、道はいい感じのままだと思う。これもニュージーランドのいいところだよ。
Q:高速ラリーではいい結果を残しているが、今回も速度域が高い。どれくらい自信があるか。計算上ではタイトルのチャンスはまだ残っているが、視野に入れているか
OT:もちろん、プッシュしていく。失うものはあまりないからね。速いラリーをしていいリザルトを収めたい。マシンにいいフィーリングが感じられることを願うよ。ラリー自体はすごく独特。どれくらい自信を持って臨めるか、様子をみなくてはならないステージが2本くらいある。タイトル争いに関しては、自力でどうにかなるという状況ではないし、それが長いこと続いている。カッレにミスか何かが起これば、自分たちの希望が高まる。現実的には、状況を変えられることはあまりない。自分の仕事に徹して結果を待つのみだ。
Q:クレイグ、金曜日は名門ステージがあったり日中サービスがなかったり、山場の1日だ。この週末で一番タフなチャレンジになりそうか
CB:みんなも言っているとおり、ここの道はアメージング。ラリーのために作られたような道だ。ここまでのところは順調だし、シェイクダウンも、短かくてニュージーランドのステージとしてはベストではなかったかもしれないが、それでも今年ここまで走ってきたほかのイベントに比べて格段にいい。天気のことを考えなければ、楽しめる週末になるだろうね。
Q:ここのところ厳しい内容が続いているが、今回のイベントに向けての自信は
CB:厳しかったね。ギリシャで5位というのは受け入れがたかったけど、実はポジティブな結果。正しい方向に向けての一歩だった。すべて白紙に戻して、ここでいい走りをしたい。金曜日は走行順がいいので、それを活かしたい。WRCがニュージーランドに来るのは10年ぶりなので、そこに参加できるのは幸運だと感じているし、楽しみたい。最高の経験になるよ。
Q:ニュージーランドは初参戦だが、どのように準備を行ってきたのか
CB:先週、スペインで、ドライコンディションのターマックでテストを行ったが、これはとても有意義だった。それ以外はオンボード動画を見たり。もちろん10年前の動画だから、クオリティは良くなかったので、ほかのラリーほど準備はできていないかもしれない。それでも、どんな感じになるかはつかめたが、実際にマシンに乗って自分の目で見てみないと、その素晴らしさは分からないだろうね。
Q:ロレンツォ、ニュージーランドには2012年にスバル・インプレッサでPWRCに参戦している。今回はWRCでマシンはプーマ・ハイブリッド・ラリー1だ。ハイブリッドマシンでの初めての参戦、どれくらい楽しみか
LB:本格的なマシンでニュージーランドにまた参戦したいとずっと言ってきたので、やっと今年、実現できた。ステージに関してはいい思い出がある。とにかく素晴らしい道なので、楽しいよ。
Q:今回の目標は
LB:まずは楽しむこと。真剣なペースを出せるように挑んで、みんなに遅れないように。でも、素晴らしいステージだから、何より楽しむことが一番だね。
記者席からの質問
ギャリー・ボイド(ラリーニュージーランド、メディア担当)
Q:ワーンガコースト以外で、楽しみにしているステージはあるか
SO:ワーンガコースト以外のステージの名前を知らないんだけれど、いいセクションはたくさんある。日曜日は少しほかと違うかもしれないし、人工的かもしれないが、楽しめるステージがたくさんある。土曜日最後のショートステージ(Te Akau North)は、短いがすごく速くて、いいジャンプができるクレストもあるので、ここもいいと思う。
KR:最初のステージはあまり好きじゃない。砂利が多いし、ツイスティでコーナーが多いところは好きじゃない。自分が一番好きなところはどれなのか、まだよく分からないな。
OT:みんないいステージだ。
CB:土曜日の2本目(Te Akau South))はすごくいいね。
LB:どれもいいステージ。土曜日の2本目は好きだし、セブが言ったショートも好き。