WRC第11戦ラリーニュージーランドのポディウムは、セバスチャン・オジエが新王者となったカッレ・ロバンペラに賛辞を送る感動的なシーンとなった。
この10年間でWRCタイトルを8回獲得し、WRCのレジェンド的な存在であるオジエ。しかし、この日はトヨタのチームメイトであるロバンペラが立ちはだかり、ラリー勝利を飾って自身初となるタイトル獲得を決めた。この瞬間、オジエが支配を続けた時代が終わりを告げた。前日に誕生日を迎えていたロバンペラは、22歳1日と史上最年少でWRCドライバーズタイトルを手にした。
昨年、8度目のドライバーズタイトルを決めたオジエは、他カテゴリーへの参戦やワークライフバランスを見直したことで、WRCにはスポット参戦のプログラムを組んでいることから、オジエが再びタイトルを手にする姿を見ることはないだろう。オジエはチームメイトの活躍を讚え「言葉が見つからないよ」と語る。
「彼が成し遂げたことが素晴らしいことは、間違いない。22歳だ。この記録は、この先しばらくは破られることはないだろうね」
「カッレは、ラリー界でのキミ(ライコネン)の生まれ変わりのようなもの。とにかく落ち着いていて、感情を感じさせない時もあるね! でも、今日のこの瞬間はぜひ楽しんでもらいたいから、今は感情を露わにしてほしいね」
「本当に見事なシーズンだったし、今回のような難しいコンディションでも、チャンピオンにふさわしい力量を示した。もちろん、勝利も敗北もともにすごしたチームも素晴らしかった」
今回のロバンペラのタイトル決定にはオジエも重要な役割を果たしており、ロバンペラとタイトルを争っていた選手権2番手のオィット・タナックを抑えて2位でフィニッシュ。トヨタ勢に1‐2フィニッシュをもたらし、タナックのポイント獲得を阻んでタイトルチャンスに終止符を打った。
そのオジエは、10年ぶりにニュージーランドのグラベルステージを走ったことに喜びを見せ、3カ月ぶりのWRC参戦で見せた自分のパフォーマンスにも誇りを見せた。
「またここに参戦できて、本当によかったよ」と笑顔を見せたオジエ。
「この週末は楽しかった。とてもいいステージで、マシンの中で過ごした時間が楽しかったし、自分のリズムにも満足できた。高速セクションがあり雨も降って難しいラリーだったので、久しぶりの参戦でペースを出せたのは悪くなかった」