2022年のWRC第12戦スペインは、すべての競技日程を終えて、トヨタのセバスチャン・オジエが今シーズン初勝利を飾った。2位にはヒョンデのティエリー・ヌービル、3位にはトヨタのカッレ・ロバンペラが入っている。勝田貴元は7位でフィニッシュした。この結果、トヨタは2年連続でドライバーズ、コ・ドライバーズ、マニュファクチャラーズのタイトルを手中に収めたこととなる。
競技最終日に残されたステージは、SS16〜19の4SS。2SSを走行した後にサービスを挟み、残る2SSを走行する56.10km。距離は短く、2番手以降に20秒以上のマージンを築いているオジエにとっては、有利な状況と言える。大きな注目を集めるのは総合2番手争いのヌービルとロバンペラ。2日目を終えた段階でその差は1.4秒と、予断を許さない。
オープニングのSS16は地元スペイン出身のダニ・ソルド(ヒョンデ)が一番時計をマーク。前後のタイム差が開いており、総合順位争いでは5番手でほぼ確定という状況だが、地元ファンに見せ場を作った。総合2番手争いは、ヌービルが0.1秒ロバンペラに先行し、ふたりの差は1.5秒となった。続くSS17は、そのヌービルがベストタイムをマーク。一方のロバンペラは左フロントタイヤをパンクさせてしまい、このSSだけで13.2秒の差をつけられてしまった。これで2番手争いはヌービルに軍配が上がることとなった。このSS17では、Mスポーツ・フォードのクレイグ・ブリーンもパンクを喫して後退を余儀なくされた。これにより勝田が7番手、Mスポーツ・フォードのアドリアン・フルモーが8番手にひとつずつ順位を上げている。
サービスを挟んで行われたSS18はラリーリーダーのオジエが制し、リードをさらに強固なものとしていく。上位陣はすでにタイム差が開いており、総合順位の変動はなし。ラリーの焦点はパワーステージでのタイム争いへと推移していった。
パワーステージのSS19はリバースオーダー。ラリー1勢はガス・グリーンスミスからスタートし、ジョルダン・セルデリディス、ピエール‐ルイ・ルーベ、クレイグ・ブリーン、アドリアン・フルモーとMスポーツ・フォードが5台続く。その後にコースインした勝田はフルモーがマークした暫定ベストを0.3秒上まわってフィニッシュ、7位以上を確定させた。勝田の後に走行したトヨタのエルフィン・エバンスは勝田と同タイムでフィニッシュ。そのタイムをソルド、タナック、ロバンペラ、ヌービル……と後続のドライバーたちが次々に塗り替えていく。そして最終走者のオジエは、コンスタントにヌービルのスプリットタイムを上まわるペースで走行、きっちりとパワーステージを制して、フルポイントを獲得した。
オジエにとっては通算55勝目、コ・ドライバーのバンジャマン・ベイヤにとっては44歳にしてうれしいWRC初勝利となった。そしてトヨタは、この結果を持って通算6度目のマニュファクチャラーズタイトルを確定させている。総合順位はオジエ、ヌービル、ロバンペラ、タナック、ソルド、エバンスというトップ6に。パワーステージは、オジエ、ヌービル、ロバンペラ、タナック、ソルドというラリーのトップ5がそのままボーナスポイントを得ることとなった。
第12戦までを終えて、ドライバーズランキングはロバンペラが255点、タナックが187点、ヌービルが166点、エバンスが124点。勝田は106点で選手権5番手を維持。マニュファクチャラーズランキングは、トヨタが503点、ヒョンデ410点、Mスポーツ・フォードが238点、TGRニュージェネレーションが122点となった。
次戦はいよいよ11月10日〜11月13日に開催される最終戦ラリージャパン。愛知県豊田市の豊田スタジアムを拠点として、主に愛知・岐阜にまたがる山間部を舞台とするターマックラリーだ。WRCとして開催されるのは、北海道札幌市を拠点として行われた2010年以来のこととなる。
WRCスペイン 暫定結果
1. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2:44:43.9
2. T.ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) +16.4
3. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +34.5
4. O.タナック(ヒョンデi20 Nラリー1) +44.0
5. D.ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1) +1:16.5
6. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:51.1
7. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +2:19.1
8. A.フルモー(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +2:38.4
9. C.ブリーン(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +2:43.0
10. P-L.ルーベ(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +3:25.1