ヒョンデは、オィット・タナックとのWRC参戦活動における契約を今季いっぱいで終了することを発表した。2020年にヒョンデに加入したタナックは、予定よりも早い契約終了に至った理由を「一身上の都合」としている。
タナックは、2020年にアルゼナウ拠点のチームに、コ・ドライバーのマルティン・ヤルベオヤとともに加入した後、WRC5勝、ポディウム15回、ステージウイン101回をチームに献上してきた。加入直後の2020年第2戦スウェーデン、メキシコで2位フィニッシュ。その後、シリーズは新型コロナウイルスのパンデミックにより中断となったが、9月にシーズンが再開した母国エストニアでは、ヒョンデでの初勝利をマーク。チームはここで1‐2フィニッシュを決めている。
ハイブリッドのラリー1マシンが導入された今季、チームはシーズン序盤にペースをつかむことに苦戦。チームは、クルーからのサポートとチームらしいあきらめない姿勢で、改善点を見つけるために懸命な対応を続けてきた。これにより、ヒョンデi20 Nラリー1初のWRC優勝をサルディニアでマークしたのはタナック。その後、フィンランド、ベルギーと連勝したほか、アクロポリスでは2位に入り、チームにとって初のポディウム独占に貢献した。
ヒョンデで3シーズンを過ごしていたタナックは、2021年にチームと複数年契約を結んでおり、2023年までヒョンデに在籍するものと見られていたが、チームが2023年のラインナップを検討し始めていた時から、タナックは離脱を決断していたという。 チームはドライバーの要望を尊重し、時には困難に直面しながらも、多くのポジティブな瞬間をともに過ごしたことを振り返っている。
チーム副代表のジュリアン・モンセは「オィットの離脱は残念だが、彼の決断を受け入れ尊重しなくてはならない」と語る。
「彼が世界ラリーで最も優れたドライバーであることは疑いなく、3シーズンにわたってともに勝利を達成できたことは、本当に幸運だった。まるでジェットコースターのような3シーズンだった。最初のシーズンはパンデミックに見舞われ、今年は新しいハイブリッド規定への取り組みがチャレンジングなものとなった。オィットは、自分自身とチームに改善点を見いだし、勝利の道を取り戻すために、真のリーダーシップを発揮してきた。シーズン後半は、チームにポジティブな流れも作り出してくれた。彼がいなくなるのは寂しくなるが、自分たちにとっては体勢を立て直す機会にもなるということ。2023年のクルーの構成についてはすでに熟考していたので、オィットの決定は望んでいたものではないが、来シーズンに向けてさまざまな可能性が広がっている。オィットとマルティンの、今後の活躍を祈っている」
ヒョンデからの離脱を発表したタナックは「これは一身上の都合による決断であり、慎重に検討し、チームをリスペクトしたうえで下した決断」と語る。
「しかし、自分がいま、キャリアの中で新たなチャレンジが必要な時期に来ていると感じた。この3シーズン、お互いに良好な関係を築いてきたし、自分たちが達成したことには誇りを持っている。難しい時でも一丸となって乗り越えてきたし、今年は正しい方向に動いていることも示した。シーズンの後半では、うまく噛み合えば自分たちが出せるパフォーマンスレベルを示してきたが、自分にとっては何か新しいことをする時期を迎えた。自分を理解してくれたチームに感謝したいし、今後の活躍を祈っている」