今年度の全日本ラリー選手権に、ホンダ・インテグラRで参戦するメロンブックス・ラリーチャレンジ。
第3戦・北海道を無念のリタイヤで終えた後、わずかなスパンで開催された第4戦「久万高原ラリー2010」において、「メロンブックスDLテインBRIGインテグラ」(眞貝知志/田中直哉組)は今年度2勝目となるJN-3クラス優勝をはたした。
6月12日(土)、デイ1。
SS1「神岡1」、この3.56kmのショートステージで幸先良くベストタイムを刻んだ、メロンブックスインテグラ。つづくSS2「大谷1」、SS3「神岡2」と、たて続けに3本のベストを並べ、デイ1の4本のステージを終えた時点で、2番手の高橋悟志レビンに0.9秒差をつけるクラストップで1日目を折り返した。
だが、デイ1のステージ走行距離は18.72kmと、2日間のトータルSS距離105.75kmのうち1/5程度の距離でしかない。デイ2では、名物のロングステージ「美川」をはじめとする6本のステージが待ち受けており、0.9秒という僅差は安全圏ではまったく無いのだ。
翌13日(日)、デイ2。
中国・四国・近畿地方が梅雨入りを発表したこの日、久万高原は朝から大荒れの天候となっていた。山肌から流れ出す泥水は路面を水膜で覆い、レーシングタイヤのグリップをいともたやすく奪い去る。谷底からわき立った雲は山肌にはり付き、視程10m以下という濃い霧となってドライバーの視界をさまたげる。
今回のイベントにおける出場34台のうち、じつに1/3以上におよぶ12台ものマシンがリタイヤとなったことから見ても、この日の天候がいかに厳しい状況であったかが判るだろう。
暴風雨のなかはじまったJN-3トップ勢の戦いは、この日最初のSS5「大谷リバース1」でその火蓋が切って落とされた。このステージでは、第2戦・宮崎で優勝している香川秀樹インテグラがベスト。メロンブックスインテグラは1.6秒差の2番手タイムにつけ、首位防衛のための布石を着実に積み上げる。
つづく24.38kmのSS6「美川リバース1」において、メロンブックスインテグラはこのイベント4本目となるクラスベストを獲得。国内最長ターマックステージとして知られる「美川」ステージをトップで走り抜けたことにより、後続とのあいだにきわめて大きなマージンを築くことに成功する。
ライバルも負けてはいない。
濃霧のSS7「大川嶺1」、標高1000mを超えるこのステージで、香川インテグラが再びのベストタイムを奪取。一進一退の激しい鍔迫り合いの様相を呈しはじめたJN-3クラスの攻防は、サービスをはさんだ2ループ目に持ち越されることとなった。
あるいはSS7でベストを奪われたことが、メロンブックスインテグラを駆る眞貝の闘争心に火をつけたのか。SS8、そしてこの日2回目の勝負所となるSS9「美川リバース2」の2本を、メロンブックスインテグラは連続ベストタイム!
ラストのSS10「大川嶺2」こそスローダウンしてベストを奪われるものの、終わってみれば後続に40秒以上の差をつける圧倒的なスピードで、メロンブックスインテグラは今期2度目のJN-3クラス優勝を手にしたのだった。
最終結果、総合7位、JN-3クラス1位。北海道で失われたかに思えたメロンブックス・ラリーチャレンジ2010のシリーズ入賞への期待は、今回の勝利によってかろうじて次戦へとつなげることができたのだった。
メロンブックス・ラリーチャレンジ2010、次なる挑戦は1戦スキップの後に迎える全日本ラリー選手権第6戦「新城ラリー2010」。その集客の高さは言うにおよばず、国内ターマック戦最高難度との呼び声も高いビッグイベントが、メロンブックスインテグラのさらなる挑戦を待ち受けている。