WRC第13戦ラリージャパンに、プジョー208ラリー4で参戦する新井大輝。コ・ドライバーには、マンフレッド・ストールとのコンビでもおなじみイルカ・ミノアを迎え、久々に世界の舞台へと帰ってきた。11月10日の午前中に行われたシェイクダウンは、カエタン・カエタノビッチらラリー2勢に迫る総合24番手タイムを記録した。
11日金曜日からの本格的なステージ走行を前に、新井大輝に話を聞いた。
──レッキ、そしてシェイクダウンを終えて、ラリージャパンのステージはいかがでしたか?
「確かに全日本ラリー選手権でもよく知っている日本の道ですが、2車線のハイスピード区間が含まれていたり、ルート設定に関して、オーガナイザーの努力を感じました。これは頑張ったんだろうなぁ……と思うところが多かったです。あらためて、日本でもここまでできるんだと、期待と希望を感じています。それこそ、今後もっとワイドなステージや民家の前を通過するセクションが増えると、もっと面白くなりそうです」
──かつてWRC2をともに戦っていたクルーも来日していますが、何かお話はしましたか?
「海外のクルーからすると、『これは、どうやって走ればいいんだろう……』と思う道が多かったようです。それこそテーム・スニネンからは、『この苔って、どんな感じ?』って質問がありました。海外には日本のように路面に苔が生えていることがないので、どんなグリップレベルなのか、判断がつかなかったようです。『滑る苔かグリップする苔かは自分で判断するんだ』と言っておきましたが(笑)」
──今回、初めてプジョー208ラリー4で参戦するわけですが、どのようなマシンでしょうか。
「本当に良くできたクルマです。以前、ラリー2にも乗っていたので、もちろん加速感は違いますが、コーナリングスピードは本当に速いですし、とても良いラリーカーだと感じました。こういったラリーカーに若い子たちが乗り始めて、これがベースカテゴリーとなるような状況になればな……と思っています」
──ラリー4はヨーロッパでも、入門~中級カテゴリーとして人気を集めていますね。
「プジョー208ラリー4は、素の状態で『Ready to Rally(そのままラリーに参戦できる状態)』ですし、アセンブリの状態で買っても、日本円で700~800万円……いまは少しレートが上がってしまっていますが、それでもリーズナブルですよね。今回、タイヤはダンロップを使っていますが、しっかりタイヤに合わせられれば、それこそ下りセクションでは何台かラリー2と同じレベルのタイムで走れるかもしれません」
──今回のラリージャパンの目標を聞かせてください。
「まだ、チーム(Ahead Japan Racing Team)を立ち上げたばかりなので、まずは完走が目標です。まだスペアパーツもない状態ですし、走り切って、チームを鼓舞できればいいかと思います。現時点でこのチームのラリー経験はゼロの状態です。このチームを拠点にモータースポーツも含めて、メカニックたちの技術育成を進めたいと考えています。今回も19~20歳の若いメカニックや自動車学校の学生さんたちに、FIAの車検を見せたり、色々な経験をしてもらっています」
──この若さで“世界”を経験できるのは大きいと。
「コミュニケーションや英語の重要性だったり、クルマのどこを見るべきなのかなど、きっと肌で感じられるはずです。ラリー中、様々な出来事を共有することで、いい経験を持ち帰ってほしいですね。僕自身としては、攻められるセクションがあれば、少しアタックしたいですね。あと、サービスにはイルカ(ミノア)姉さんも待っているので、ぜひ応援しに来てください!」