WRCラリージャパンは、競技最終日となるデイ4が行われ、トヨタGRヤリスの柳澤宏至/保井隆宏が首位の座を守り切り、ナショナルクラスを制した。
FIAのホモロゲーションを持たない国産車などが出場するナショナルクラス。岐阜県の恵那市と中津川市が主舞台となるこの日は、サービスを挟まずに一気に駆け抜ける5SS(69.82km)の構成となった。SSの距離は短いものの、日本の林道独特のナローでツイスティなステージが多いうえに、午後からは雨が降る予報が出ている。ステージは紅葉した広葉樹が茂る区間も多く、路面を覆う落ち葉が雨で濡れると、さらに難易度が上がるステージが多い。
この日のオープニングステージとなるSS15は、前日のSS11で転倒しデイリタイアとなった勝田範彦/木村裕介(GRヤリス)がベストをマーク。「本来であればリタイアになってもおかしくない状況でしたが、チームが直してくれたおかげで、僕も頑張ろうと思って走りました。このラリージャパンで、みんなの思いがひとつになったと思います」という勝田は、この日の5SS中3SSでベストを奪い、総合28位/ナショナルクラス4位で完走を果たした。
一方、デイ3を終えてナショナルクラス首位に立った柳澤宏至/保井隆宏は、トラブルを抱えながらもSS16ではベストを奪う力走をみせ、総合20位/ナショナルクラス1位でフィニッシュした。
「かなり長丁場で難しいラリーでした。特に今日はウエット路面になったことで、路面もスリッパリーでかなりトリッキーな状況でした。トラブルもありましたが、チームのおかげでゴールまでクルマを運ぶことができました。なんとかクラス優勝を果たすことができて。ホッとしています」と柳澤。APRCで得た経験を、長丁場のラリーでしっかりと活かすことができたラリーとなった。
ナショナルクラス2位には、TGRラリーチャレンジで活躍する佐々木康行/中嶌杏里(トヨタGRヤリス)が入った。「TGRラリーチャレンジから世界へ」を実現させた佐々木は、この日の天候に合わせて序盤からウエットタイヤを選択。その作戦が功を奏し、ウエット路面となったSS18では、自身初となるWRCでのクラスベストタイムを奪う走りをみせ、総合でも23位につけて見事完走を果たした。
ラリー2日目にパンクで2本のタイヤを失うアクシデントに見舞われ、序盤から大きく後退した山本悠太/立久井和子(トヨタ86)だが、3日目以降はしっかりとペースをつかみ徐々にポジションアップ。「最後は雨が降り、ウエットタイヤを用意していなかったのでおっかなびっくりでしたが、なんとか走り切ることができました」と総合26位/ナショナルクラス3位で完走を果たした。
「雨の中でも沿道でたくさんの方が待っていただいて、僕の地元にもこんなにラリーが好きな人がいるんだと感動しました。デイ1からデイ4まで、本当に楽しく走ることができたし、地元の優しさに触れることができました」と山本。
WRCではスバル・ヴィヴィオでWRCサファリラリーに出場したコリン・マクレーや石田正史以来となる、軽自動車のダイハツ・コペンで出場した相原泰祐/萩野司は、ウエット路面を「メリハリをつけてしっかりと攻めました」と攻略。コンディションが難しいラリーだったが、ゴール後に開口一番「最高です!」と相原。「コペンの良さは、四隅まで手が届く一体感なんです。荒れたコンディションでも、自信を持って走ることができました」と、総合30位/クラス5位で見事完走を果たした。
WRCラリージャパン ナショナルクラス最終結果
1.柳澤宏至/保井隆宏(トヨタGRヤリス/JRCar1 1位) 3:09:27.0
2.佐々木康行/中嶌杏里(トヨタGRヤリス/JRCar1 2位) +7:30.2
3.山本悠太/立久井和子(トヨタ86/JRCar2 1位) +11:50.8
4.勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス/JRCar1 3位) +27:52.0
5.相原泰祐/萩野司(ダイハツ・コペン/JRCar3 1位)+38:47.0