世界RXニュル：ヨハン・クリストファーソンが完勝、シーズン8勝でフル電動初年を締めくくる

世界ラリークロス選手権は11月13日、今季最終戦のファイナルがドイツのニュルブルクリンク・サーキットで行われ、すでに今季のタイトル獲得を決めているヨハン・クリストファーソン（フォルクスワーゲンRX1e）が圧勝。トップカテゴリーもフル電動化となった初シーズンを、全10戦中8勝という貫録の強さを見せつけて締めくくった。

そのクリストファーソンもこの週末は順風満帆とはいかず、ヒート2ではコーナーをカットしたことで5秒のペナルティを受けるなど、“らしくない”ミスも。しかし、その速さに緩みは見せなかった。1周をアタックするスーパーポール・シュートアウトでは0.8秒差をつけると、3ヒート中、2本でトップタイムをマーク。さらにプログレッションレース、セミファイナルも制した。ファイナルでも、大混乱の第1コーナーで首位に立つとそのままレースを掌握。1.5秒差をつけて、キャリア35回目のチェッカーフラッグを受けた。

「本当にいい週末だった」とクリストファーソン。
「チームの必死の努力の賜物。みんなは、一年を通して完璧なマシンを与えてくれた。今季収めたすべての勝利は、自分たちの大切なパートナーやゼロから立ち上げたこのプロジェクトに関わってくれたみなさんのためのもの。信頼できるマシンを作ってくれたので、自分もプッシュできる自信を与えてもらったし、シンプルに自分の仕事に専念することができた」

「今回、初めて現場で自分たちが作ったクルマのレースを見たという人も少なくない。父と一緒にチーム選手権のポディウムに上がれたし、本当に最高の気分。ラリークロスのイベントで、一緒にポディウムに上がったのは久しぶり。当時はまだ彼も自分で走っていた。人生最高の思い出になるよ」

2番手フィニッシュはケビン・ハンセンで、ニクラス・グロンホルム（PWR RX1e）に昨年のリベンジを果たしドライバーズ選手権3番手に浮上するかと思われたが、技術違反によりファイナルから失格となってしまった。

この結果、グロンホルムが2位に繰り上がった。CEディーラーチームは、クララ・アンダーソンもファイナル進出を決めていたが、ドライバーズ選手権で2位争いをしているグロンホルムにファイナルスタート権を譲るためにリタイアを選択した。このチャンスをフルに活かしたグロンホルムは、スタート後のターン2でアウト側から回り込み、5番手から3番手に浮上。ケビンの失格により2位フィニッシュとなり、今季4度目のポディウムフィニッシュを飾ったが、ポイント争いではティミー・ハンセン（208 RX1e）に一歩及ばず、選手権3位でシーズンを終えている。

ティミーはこの週末、クリストファーソンの速さに最も迫ったが、ファイナルではスタート直後の混戦に競り負け3位フィニッシュ。ドライバーズ選手権では2位の座を死守した。今季はクリストファーソンのチームメイト、オーレ・クリスチャン・ベイビー（フォルクスワーゲンRX1e）は4位に入り、初めての世界RXフル参戦のシーズンを選手権4位で終えた。

同じく今季初めて世界RXのフル参戦に挑んだアンダーソンも大躍進を見せ、開幕戦のヒート3でいきなりトップタイムをマーク。今回もプログレッションレースでは、タイトル5冠のクリストファーソンに迫る勢いを見せ、0.329秒差の2番手タイムを叩き出した。

また、今回のニュル戦では、GCKモータースポーツが、ランチア・デルタ・インテグラーレをベースにしたランチア・デルタEvo-e RXを実戦デビュー。ドライバーを務めたチームオーナーのゲラン・シシェリは、ヒート1でケビンと接触してしまい、その日は走行を続けることができなかった。日曜日には競技に復帰してファイナル進出を目指したが、セミファイナルの最後から2周目で縁石に強打し、サスペンション破損に終わっている。

世界RXニュル　ファイナル結果
1 J.クリストファーソン（フォルクスワーゲンRX1e） 2:46.942
2 N.グロンホルム（PWR RX1e） +2.275
3 T.ハンセン（プジョー208 RX1e） +2.852
4 O.C.ベイビー（フォルクスワーゲンRX1e） +4.709
DSQ K.ハンセン（プジョー208 RX1e）