クレイグ・ブリーンにとって初のWRCフルタイム参戦は大きな意味を持っていたが、2022年の全ラウンドに出場する機会は不運なものとなってしまった。
ブリーンは、新型コロナウイルス感染流行の影響を大きく受けた2020年と2021年のWRCは、ヒョンデから依頼に応じてスポット参戦。その参戦が直前に決定されることも多かったが、頼もしい存在感を発揮した。
今季はMスポーツ・フォードから念願のでフル参戦を果たしたブリーンだったが、皮肉にも「やりすぎるとよくないことも起きる」ということを証明するシーズンとなってしまった。
2021年シーズン、ブリーンはヒョンデから参戦したWRC5回のうち、表彰台に3回上がったが、それは彼の能力と適応性によるところが大きい。ラウンド間の期間が長かったことで、ブリーンと前コ・ドライバーのポール・ネイグルには、十分な準備時間も与えられていた。
しかし、参戦数が増えれば増えるほど、ブリーンが自分にかけるプレッシャーは大きくなるばかりだったようだ。2023年、エースドライバーがほかに存在するヒョンデにダニ・ソルドとのシェア参戦で戻ることは、今のブリーンにとっては気持ちを切り替えるためにちょうどよい機会となる。
参戦プログラムがスポットに戻ることはキャリア後退と言えるかもしれないが、今季は不振に陥ったブリーンが能力を発揮できるようになるためには必要なことなのかもしれない。
(Graham Lister)