2023年から新型ラリー2車両のシュコダ・ファビアRSラリー2を投入するシュコダ・モータースポーツ。ファビアのラリーカーは、これが4代目となる。WRカーがトップカテゴリーを戦っただけでなく、カスタマー向けラリーカーとして、WRC2やFIA地域選手権、世界各国の国内選手権で活躍を続けたファビアに関わったドライバーたちが、歴代のモデルを振り返っている。
チーム最年少メンバーが、昨年11月のWRCラリージャパンでWRC2タイトル獲得を決めたエミル・リンドホルムだ。ファビア・ラリー2 Evoで多くの経験を積んだほか、新型のファビアRSラリー2の開発にも関わった。
Q:開発という意味では、ファビアRSラリー2は、シュコダ・モータースポーツでの初めての大きな開発プロジェクトだ。そこに参加するのはどのような感じだったか。
エミル・リンドホルム(EL):とても満喫したよ。競技マシンの開発に本格的に関わるのは初めてだったし、シュコダ・モータースポーツのように経験豊富で実力のあるチームと一緒に仕事をするのは、素晴らしい機会になった。この数カ月で、多くのことを学んだよ。
Q:1年間に及ぶ集中テストで、クルマはどれだけ進歩したのか。
EL:初めてドライブしてから、1年近くが経った。すぐに現行マシンのDNAを感じることができたので、新しいマシンにもかなり早く慣れた。最初の段階から、フィーリングは素晴らしかったよ。開発全体は、マシンの速さや信頼性に影響するごく詳細な部分を詰めることにあった。ラクにはいかない時もあったが、かなりうまく進めることができたと思うよ。
Q:ファビアRSラリー2をドライブするうえで、一番好きな路面は?
EL:どの路面でもドライブが楽しいのだけど、フィンランドでのウインターテストが一番楽しかった。あれは素晴らしかったね。
Q:テストの中で、特に印象に残っていることはあるか。
EL:どの瞬間も、とても興味深かったと思う。今すぐに思いつくのは、フィンランドで目の前で鹿のカップルに出会ったことかな。
新型マシンの開発には、ベテランのクリス・ミークも加わっていた。ミークにとって、このカテゴリーの競技マシンでの走行はまったく新しい経験となった。
Q:今回の新型マシンでの開発は、シュコダ・モータースポーツでの初めての作業だったのか。
クリス・ミーク(KM):初めて連絡を取ったのは、2005年頃。ラリーモンテカルロでのテストの間に、少しだけファビアWRCをドライブした。それから、IRCではライバルとして戦い、自分は2009年にタイトルを獲った。その後、2010年のシートについて、シュコダ・モータースポーツと話し合いをしていた。最終的には合意に至らなかったので、今回の開発が初めて本格的に共同で取り組んだ仕事だ。
Q:以前のインタビューで、ラリー2マシンの経験はあまりないと語っていた。何か比較となるテストは行ったか。新型マシンは、前行型に比べてどれくらい優れているか。
KM:確かにラリー2の経験はあまりなかったが、ほかのラリーマシンの経験が多いし、どのマシンもペダルとステアリングがついていて、できる限り速く走らせたいと思うのは同じ。今回のプロジェクトに取り組むにあたっては、頭をクリアにして、このマシンをどう感じるか、自分の意見を持つようにした。エンジニアには役立ててもらったと思っているよ。
自分はヤン(コペッキー)やアンドレアス(ミケルセン)、エミルのように先代モデルで競技に参戦したことがないので、比較することは自分には興味深いことだった。シュコダ・モータースポーツは、ラリー2マシンの製作や開発について信じられないほどの経験を持っているし、チームは計りしれないほどの走行経験を積んできているので、それが明らかに見て取れる。新型マシンは、初めてのドライブの時から文句なしの信頼性を持っていたので驚いたよ。例えば、シャシーに違いを感じられた。より堅牢で、さらにマシンをプッシュすることができる。そこは、旧型と違う点だ。例えば、フィンランドやスペインのターマックでそのことが分かる。これは、ものすごいアドバンテージだ。ラリー2の規定では、大きな改良を行うことが難しいが、エミルも離していたように細かい点で煮詰めたことは、興味深い役割を果たすことになるんじゃないかな。ステージで現れる成果が楽しみだね。
Q:このマシンをドライブするドライバーに伝えたいことは。
KM:とにかく楽しむことだね! 新しいマシンだが、開発には全員がベストを尽くしてきた。速くて耐久性があるマシンになったと期待しているし、少なくとも旧型と同じくらいトロフィーを獲得してくれると思うよ。
最後に、ファビアRSラリー2の開発を担当したドライバーたちに、新型マシンの好きな点を聞いた。
ヤン・コペッキー:エンジンだね。本当に素晴らしいよ。低回転からパワーがあって、最高回転域はほとんど必要ないくらい。本当に鋭角なコーナーの時だけだ。ドライビングしていても、とても安定していて、正確だ。
アンドレアス・ミケルセン:これまでとはまったく別物だ。ファビアS2000からファビアR5にスイッチした時と同じような感じかな。一番好きなところは、高速域での安定性が高まっているところ。旧型ではいつもこの点で苦戦してきたが、新型マシンは高速域でのフィーリングがものすごくいい。これは、スウェーデンやフィンランドで大きなアドバンテージになると思う。エンジンの作動回転域が広がったので、ハンドリングもよくなった。コーナーでは、2速で入ることができるので、タイムを稼げる。車内にいるとレーシングカーに乗っている感じ。そこがとてもいいね。
エミル・リンドホルム:自分にとっても一番大きな違いはエンジン。低回転域のトルクが、本当に改善された。ボンネットの下に、もっと大きなエンジンがあるような感じがするよ。もっと高い速度でコーナーに進入できる。それに、見た目もいいよね。近代的で速そう!