ダカールラリー2023年大会は1月5日、ハイル周辺をループするステージ5の374kmを走行。比較的短い距離のコースとなったが、上位を走る選手でさえ、いつトラブルに見舞われるか分からないのが、このダカールだ。
大会連覇に向けて首位を走るトヨタGRダカールハイラックスのナッサー・アル-アティヤは好走を見せ、トップタイムをマーク。しかし、このステージウインによりリードを広げることができたのは、いくつかの困難があったからにすぎない。ダカールで4勝を経験しているアル-アティヤは、今回設定されている14ステージのすべてを限界まで走ることは現実的な戦術ではないことをよく理解しているが、この日は必死のプッシュを見せた。
「本当にタフなステージで、ラクではなかった。クレイジーになるほどプッシュして、リスクもたくさん負った。トラブルなく1日を終えられたのでハッピーだが、こんなにプッシュしたので、本当に疲れたよ」とアル-アティヤさえも疲労を見せた。
このステージを2番手、3番手タイムで続いたのはカルロス・サインツ、ステファン・ペテランセル、2台のアウディRS Q e-tron E2だ。
「人生の中で一番ハードなステージのひとつだったが、どうしてだか分からないんだよ! 背中や首にすごく衝撃を受けた」とペテランセルはこの日のステージの過酷さを語った。
サインツも「体にものすごく厳しい1日だった。首を少し傷めてしまったと思うが、プッシュを続けなくてはならないので、明日、それほどひどくならないことを願うよ。今日は本当にラフなステージだった」
序盤に大きく遅れを取ったバーレーン・レイド・エクストリーム(BRX)のセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)は、この日は9番手タイムで総合順位を11番手にまで上げている。
「いいステージになっていたが、砂丘のひとつでミスをしてしまった。大きなラクダ草の群生にヒットしてしまい、マシンが横倒しになってしまった。これで少しタイムをロスしたが、それ以外はいいステージだった。フィニッシュまであと20kmというところだったので、プロドライブ・ハンター勢にとって3度目のステージウインを獲れたらとてもよかったのだが」とローブ。
1月6日はのステージ6は、ハイル〜アルデュワディミを走行。358kmのステージが予定されていたが、先日、この地方は大雨に見舞われた関係で100km短縮されている。
ダカール2023 暫定結果(ステージ5終了時点)
T1 Car Class
1 N.アル-アティヤ(トヨタGRダカールハイラックス) 20:47:36
2 S.ペテランセル(アウディRS Q e-tron E2) +22:36
3 Y.アル‐ラジ(トヨタ・ハイラックスオーバードライブ) +27:01
4 C.サインツ(アウディRS Q e-tron E2) +34:52
5 H.ラテガン(トヨタGRダカールハイラックス) +57:58
6 L.モラエス(トヨタ・ハイラックスオーバードライブ) +1:01:43
7 G.ドゥビリエ(トヨタGRダカールハイラックス) +1:07:57
8 M.エクストローム(アウディRS Q e-tron E2) +1:35:56
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11 S.ローブ(プロドライブ・ハンター) +1:53:41
日本勢では、チームランドクルーザー・トヨタオートボデーから参戦する2台のトヨタ・ランドクルーザー300 GR SPORT勢が1月4日のステージを三浦昂とロナルド・バソが部門1‐2のタイムでクリア。累積順位ではバソが総合116番手・部門首位、三浦が同118番手・2番手につけている。
三浦は「今大会の自分はパンクの本数が多い状況が続いていました。このままではタイヤが足りなくなってしまうので、ペースを抑えてパンクしにくい走りを心がけていましたが、やっと上手くいったのでほっとしました。明日も気を付けて走ります」と語っている。
日野600シリーズで参戦している日野チームスガワラの菅原照仁/望月裕司/染宮弘和組は、ステージ4の序盤で異音と異臭が発生。駆動系のフリクションも感じたため、コース上に車両を停めて各部の点検を行うなど対応を余儀なくされた。この経過で2時間近くをロスしたが、トラック部門20番手のタイムでこの日をフィニッシュ。累積順位を16番手としている。
菅原は「異音の原因としてハイブリッド用の電動機も疑い、プロペラシャフトを外したまま走りましたが、実際にそれが悪かったわけではなさそうです。トラブルは残念でしたが、無事にゴールできて良かったです」とコメントしている。