ダカールラリー2023年大会は1月9日、リヤドで休息日を迎えた。難しい天候の中での前半8ステージの過酷な戦いの過程では、主催者はルート変更を強いられ、コンペティターたちは大雨の中を走行することもあった。ダンマームのフィニッシュまでは1214kmの競技走行区間が残っており、その中にはエンプティ・クオーターでの砂丘越えも待ち構えている。
前半でリードを握ったのは、前回覇者であるトヨタ・ガズーレーシング(TGR)ダカールチームのナッサー・アル-アティヤ(トヨタGRダカールハイラックス)。優勝争いのライバルにトラブルが続出するなか、手堅い走りと判断で数々の難所を乗り切り、1時間以上のアドバンテージを握って大会連覇、5度目のダカール優勝に向けて後半戦を迎える。TGR勢はアル-アティヤ以外にもヘンク・ラテガンが総合2番手につけているほか、ジニエル・ド・ヴィリエールも5番手で追っており、ポディウム独占の可能性も残している。
初優勝を目指していたバーレーン・レイド・エクストリーム(BRX)のセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)は序盤で大きく遅れを取ったが、ステージ4、ステージ8でトップタイムをマークするなど猛追。ポディウム圏内も視野に入ってきており、後半のさらなる巻き返しに注目が集まる。
序盤好調な滑り出しを見せていたチーム・アウディ・スポーツ、3台のアウディRS Q e-tron E2は厳しい展開となった。ステファン・ペテランセルとカルロス・サインツはステージ6の砂丘でジャンプ後の激しい着地でクラッシュ。ペテランセルのコ・ドライバー、エドアルド・ブーランガーが背中に痛みを訴えたことから、ヘリコプターで病院に搬送された。ブーランガーはその後、ドイツの病院に移っている。さらに同じポイントではカルロス・サインツもフロントタイヤがもげるトラブルに。修復に18時間を費やし、上位争いの望みを失ってしまった。さらに翌日には、チームメイトのマティアス・エクストロームがサスペンションにダメージを負い、停車してその支援を行うためにさらにタイムをロスした。
現在、総合116番手のサインツは「難しいポイントでアクシデントにあったが、最悪の事態にならずにラッキーだった。あそこまで順位が落ちてしまったので、翌日にトラブルを抱えたマティアスの修復を助けるのは、当然の流れだった」と語る。サインツとエクストロームはこの後も競技を続け、ステージタイムでのトップを目指していく。
競技は1月10日に走行を再開。ステージ9はリヤド〜ハラド間に358kmが設定される。ステージ序盤はワジ(枯れた川の底)や渓谷が多く、ビバークへ戻る途中には砂丘の連続も乗り越えていかなくてはならない。
ダカール2023 暫定結果(ステージ8終了時点)
T1 Car Class
1 N.アル-アティヤ(トヨタGRダカールハイラックス) 31:02:58
2 H.ラテガン(トヨタGRダカールハイラックス) +1:03:46
3 L.モラエス(トヨタ・ハイラックスオーバードライブ) +1:20:22
4 S.ローブ(プロドライブ・ハンター) +1:52:06
5 G.ド・ヴィリエール(トヨタGRダカールハイラックス) +2:04:20
6 R.デュマ(トヨタ・ハイラックス) +2:27:11
7 M.プロコップ(フォード・ラプターRSクロスカントリー) +2:37:00
8 B.バラグワナス(センチュリーCR6-T) +2:42:06
チームランドクルーザー・トヨタオートボデーから参戦する2台のトヨタ・ランドクルーザー300 GR SPORTは、1月8日のステージ8を三浦昂が4輪総合104番手・市販車部門トップ、ロナルド・バソが総合105番手・部門2番手のタイムでフィニッシュし、累積順位ではバソが総合98番手・部門首位、三浦が総合124番手・部門2番手と部門1‐2体制を維持して前半戦を終えた。
三浦は「今日は合計3本のパンクにショックアブソーバーの不具合と色々ありました。今回の前半戦は、これまでのダカールラリー1回分の長さに感じました。引き続き後半戦をしっかり走り、必ずゴールしたいと思います」と一週間を振り返った。
日野600シリーズで参戦している日野チームスガワラの菅原照仁/望月裕司/染宮弘和組は、この日のステージをトラック部門9番手タイムでフィニッシュ。累積順位では12番手で後半戦を迎える。
菅原は「冷却水が減って水温が上がる前に(冷却水を)補充することで問題なく走れています。今日の砂丘は雨の影響か湿りすぎで泥のように抵抗が大きくなって走りにくいところがありました。今の日野600は余裕で上位のトラックに追いついていけるポテンシャルがあります。後半戦はさらに順位を上げていけるように頑張ります」と残りのステージに向けての意欲を語っている。