今週末に開催されるフィンランドラリー選手権開幕戦のアークティック・ラップランドラリーに参戦するTGR WRCチャレンジプログラムの若手ドライバーたち。大竹直生(写真中央)、小暮ひかる(写真左)、山本雄紀(写真右)の3人に意気込みを聞いた。
大竹直生
「今回のラリーは絶対完走が目標です。その中でもどんどんペースを上げて、今後に向けて調子を上げていくことができればいいと考えています。もちろんタイムは気にしながら走りますが、まずは完走で。もちろん速く走りたいと思っていますが、とても長いラリーなので、距離を稼ぎつつ良いタイムを出すことができればいいですね。今年は勝負の年なので全開で、全力で攻めたいと思います。低速コーナーはきちんと減速して、高速コーナーはきちんと速度を維持することを心がけて、しっかりメリハリを付けることが重要です。スノーラリーは日本で1回だけ地区戦で経験したことはありますが、スタッドレスタイヤだったのでまったく違うコンディションです。スタッドタイヤは走りやすいが、どんどんスタッドピンが抜けてしまいます。これまでそういう経験はないので、このラリーでタイヤマネージメントを学びたいと思います」
小暮ひかる
「初めてのスノーラリーなので、最初は様子を見ながら、フィーリングを感じて徐々に最大限のパフォーマンスを発揮できるように持って行くことができればいいと考えています。スノーコンディションを走る経験がこのプログラムの前はこれまでほとんどありませんでした。自分としてはターマックの方が好きですが、今日シェイクダウンを走ってみて、結構ハイスピードで、自分がレッキで考えていた速度より3段階くらい速かったのに驚いていますが、初めての経験を楽しみにしています。今回しっかり完走して次に備えていきたいですね。今回は僕らが走る頃にはかなり轍ができていると思うので、そういう路面の走り方も学べればと思います。このオフでは、コ・ドライバーのトピがクリスマスパーティーを開催してくれたり、TGRの日本人スタッフの方がご飯に誘ってくれたりして充実していました。フィジカル面でもトレーナーに毎日こなすトレーニングを組んでもらい、それを大晦日も含めて毎日こなしていましたね」
山本雄紀
「これまでのキャリアを含めて、自分にとっては初めてのスノーイベントですが、その中でも230kmというステージの距離があって、各ステージも平均30kmくらいあって長いラリーです。これまではひとつひとつ目の前のステージをこなすという感じでしたが、今回は自分たちがタイヤ戦略(スタッドの突出量が7mmと8mmのタイヤがあり、長い方がグリップが得られるが摩耗も激しいため、それを見据えてのタイヤマネージメントが必要になる)について考える機会を与えてもらいました。長いラリーをどう戦っていくか、全体を考える良い機会になると思っています。意気込みとしてはSS1から全体を考えてどういう風にタイヤを使うか、どういう風にペースを上げていくか、そしてこの230kmの距離を全部走り切るというのが自分にとって一番学びになると考えています」
また、若手のインストラクターを務めるミッコ・ヒルボネンとヨウニ・アンプヤにも今回のラリーについての所感を聞いた。
ミッコ・ヒルボネン
「今年は彼らにもう少しプッシュするよう奨励している。まだまだ新しいこともたくさん学ばなければならないし、今回のようなコンディションも学ぶべきことの一部だ。彼らが、地元フィンランド人勢を含めて他のコンペティターを相手に、どのような結果を出せるかに注目している。できる限り自分たちを追い込んで、レベルを少しずつステップアップしていってほしい。どうやったらもっと自分を向上させることができるのか、彼らが自分で考え、理解できるかに注目していきたい」
ヨウニ・アンプヤ
「他人をプッシュするのではなく、自分をプッシュしていくことを学んでほしいと思っている。他人よりも、どうやったら向上することが可能かを考え続けることが重要だ」
ミッコ・ヒルボネン
「彼らがお互いどうやって差をつけていくのか、ということに注目している。さらに今年は最終的なセレクションの年になる。これまでは完走しながら走る距離を伸ばして経験を積むことに取り組んできたが、そのような時期が永遠に続くわけではない。これから出場するすべてのラリーで彼らが進歩し、自分たちのポテンシャルを発揮し、ラリードライバーとして前進していってくれることに期待しているよ。昨年の12月に我々はここラップランドでプレイベントテストを2日間行ったが、その時に彼らにプレッシャーを少し与えた。私たちは、彼らにとって何が将来役に立ちそうかということを常に考えている。たとえば、ここではレッキがオープン(自由に何度でもできる)なので、彼らに任せていたら6回でも7回でも走っただろう。しかしWRCでは2回しかレッキができない。将来WRCで走る時のことを考えれば、彼らにとって多くの回数を走ることは必ずしもためにならない。だから今回のレッキは3回に制限したんだ」
(Keiko Ito)