ダカールラリー2023年大会は1月15日、アル・ホフフ〜ダマーン間136kmのステージ14を走行した後、ダマーンのシーフロントでフィニッシュを迎えた。4輪部門では、トヨタ・ガズーレーシング・ダカールチームのナッサー・アル-アティヤ(トヨタGRダカールハイラックス)が前回大会に続いての総合優勝を飾り、連覇を果たした。
アル-アティヤはステージ3で首位に立つと、その後はポジションを譲らず1時間以上のギャップを築いて休息日を迎えた。後半は絶妙なペースコントロールでアドバンテージを握り続け、自身にとって通算5度目となるダカール勝利を飾った。
「誰にとっても難しいダカールだった。連覇をするために、必死に乗り切った。5回目の優勝ができて、本当にうれしい。いつだって、もっともっと勝ちたいと思っているからね」とアル-アティヤは喜びを語った。
そのアル-アティヤを最後まで追いかけたのは、WRC9連覇王者のセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)だ。初優勝を目指して臨んだ今大会だったが、序盤に大きなタイムロスを喫した。しかしそこから猛追を見せ、6本連続、のべ7本のステージウインをマーク。今回設定されたステージの半分をローブが制したことになる。ローブは昨年に続いての2位で、バーレーン・レイド・エクストリーム(BRX)の地元バーレーンとの国境に近いサウジアラビアのフィニッシュを迎えた。
「2位でフィニッシュできたのは、かなり上々。ステージ勝利での記録も更新したので、そう悪くないね」と語ったローブは、ステージウインポイントを重ねたことで、今大会が開幕戦となっていた世界ラリーレイド選手権(W2RC)では、アル-アティヤに2ポイント差をつけての首位に立った。
大健闘を見せたのは、今回がダカール初参戦というブラジルのルーカス・モラエス。オーバードライブ・レーシングのトヨタ・ハイラックスで、総合3位でのフィニッシュを飾ってみせた。
「ブラジルのラリー界のためにも、これまで達成されてこなかったポディウムでフィニッシュすることは重要だった」とモラエスはフィニッシュで喜びを見せた。
今大会、トラブルが続出し大波乱となったチーム・アウディ・スポーツ勢は、マティアス・エクストローム(アウディRS Q e-tron E2)がこの日2番手タイムをマークし、総合14位でフィニッシュ。ステファン・ペテランセルとカルロス・サインツはリタイアとなった。
ダカール2023 最終結果
T1 Car Class
1 N.アル-アティヤ(トヨタGRダカールハイラックス) 45:03:15
2 S.ローブ(プロドライブ・ハンター) +1:20:49
3 L.モラエス(トヨタ・ハイラックスオーバードライブ) +1:38:31
4 G.ド・ヴィリエール(トヨタGRダカールハイラックス) +2:31:12
5 H.ラテガン(トヨタGRダカールハイラックス) +2:36:23
6 M.プロコップ(フォード・ラプターRSクロスカントリー) +3:40:44
7 J.C.ヤコピーニ(トヨタ・ハイラックス) +4:27:09
8 W.ハン(SMG HW2021) +4:42:38
日本勢は1月14日のステージ13、チームランドクルーザー・トヨタオートボデーのトヨタ・ランドクルーザー300 GR SPORTをドライブする三浦昂が、スタックを2回喫した以外は順調にステージをクリア。4輪部門総合101番手・市販車部門トップのタイムをマークした。一方、ロナルド・バソはステージ序盤にターボトラブルに見舞われストップ。現場での修復は難しく、コースを離脱してエル・ホフフのビバークに向かった。バソは、デイリタイア規定により15時間20分のペナルティを受けて競技を続行。この日のステージ順位は総合119番手/市販車部門2番手となった。この結果、累積順位ではバソが総合109番手/部門首位、三浦が同110番手/2番手と部門1‐2を維持して最終日を迎える。
三浦は「市販車には大変な砂丘でしたが、このランクル300は石より砂のステージの方が走りやすく、集中してチャレンジできるように思います。明日の最終SSも気を抜かずに頑張ります」と最終日に向けてコメントを寄せた。
ハイブリッドシステムを搭載した日野600シリーズで参戦している日野チームスガワラの菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組はこの日、難所のエンプティクオーターでトラック部門総合8番手と好タイムをマーク。 累積順位でも総合10番手をキープした。
菅原は「砂が柔らかくて厳しかったです。後半は砂の抵抗で車速が上がらず、最後はナビゲーションのポイントが拾いにくかった。明日も何があるか分かりませんが、しっかり走ってゴールしたいです」と語っている。