2022年最終戦のラリージャパンでセバスチャン・オジエと初コンビを組んだバンサン・ランデは、23年シーズン開幕戦のモンテカルロでキャリア初勝利を飾った。ランデにとってWRCスタート56回目のラリーは、オジエにとって56回目の勝利を挙げたラリーとなった。最終ステージを終えたランデは、初優勝の喜びを聞こうと集まった報道陣の取材に応えながら、残すTCに向けて気を引き締めた。
──ラリーモンテカルロで初めての優勝です。どのように祝うか考えていますか?
「最後のタイムコントロールが2カ所残っているから、まだ何も考えていないよ。仕事がまだ完全に終わったわけではないからね!」
──フィニッシュラインを越えた時の気持ちは?
「もちろんうれしかったし、このような結果で週末が終わったことに安堵したよ。でもまだ実感が沸かないというのが正直なところだ。最後のタイムコントロールが2カ所残っていて、仕事がまだ完全に終わったわけではなかったから、感情を爆発させるわけにはいかなかったしね。でも一生のうち、どこのラリーで一番優勝したいかと聞かれたら、モンテカルロと答えていただろうから、伝説的なラリーで優勝できたのは言葉にできないくらいうれしいよ!」
──ラリーを通じて、コクピットの中でどのようなことを考えていましたか?
「フィーリングは良かったけれど、優勝ががかっていたのでプレッシャーもあった。ドライバーもチームからのプレッシャーががかっていたと思うし、彼には昨年のリベンジという気持ちもあったはずだ。僕は絶対にミスすることが許されなかった。ラリージャパンが彼と初めて組んだラリーだったけれど、ジャパンとも異なる緊張感だった」
──どちらの方が緊張しましたか?
「今回の方が緊張していたかな。かかっている勝利の重みが大きかった。セブ自身、ここで優勝したい強い気持ちもあったし。初めて組んだラリージャパンでは最大限の努力をしたが、まだ自分が望むレベルではなかった。ジャパンである程度うまくいったから、ここではもっとうまくいくはずだと全員が期待しているようなプレッシャーもあった。ここはセブのラリーだ。だからジャパンの時よりはリラックスはできなかったね」
──あらためて、セバスチャン・オジエとコンビを組むことについて、いかがですか?
「彼は僕が小さい頃からのヒーローだからね。オジエ/イングラシアのコンビに憧れて育ってきたから。だから機会があった時にはすぐに飛びついたよ」
──オジエは要求レベルがとても高いことで有名ですが、そうしたプレッシャーはありますか。
「……(沈黙)」(一同爆笑)
──ミスしてはいけないということですね。
「彼の隣に座ることができるのはとても大きな幸運だ。これまでどおりピエール-ルイ(ルーベ)と組み続けることもできたが、この役割を選んだのは僕自身だ。ピエール-ルイとは7年間組んで、お互いに何をすべきかを分かっていたが、セブの助手席で再出発したいと思った。ピエール-ルイとはまだ友好的な関係が続いているし、何も変わってはいない。でも、もしこのオファーを断ったら一生後悔するのではないかと思った。断る手はなかったよ」
──ジュリアン・イングラシアと声やペースノートの読み方が似ていると言われると思いますが、セブはまるで隣にジュリアンが座っている気分だと言っていました。ジュリアンから多くのことを学んだのでしょうか?
「ここ10年、彼らのオンボード映像を見ながら眠りについていたわけだから(笑)、何度も何度も何度も繰り返し聞いている。ラリージャパンでも言われたけど、無意識に同じ言い回しやイントネーションになるのかもね。セブにとってそれが心地良いのであれば、それはうれしいことだ。でも意図的にジュリアンを真似しようとしているわけではないよ」
──もうすぐファーストネームをジュリアンに変えるなんてことはないですよね(笑)?
「実は祖父がジュリアンという名前なんだ(笑)! 親戚中でふたり目になるかな!」
(Keiko Ito)