©Naoki Kobayashi
2023年シーズン全日本ラリー選手権第2戦「新城ラリー2023 Supported by AICELLO」の初日は、3月4日（土）に6カ所のスペシャルステージを走行。トップカテゴリーのJN-1クラスは、ヘイキ・コバライネン／北川紗衣（シュコダ・ファビアR5）が、福永修／齊田美早子（シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo）に1分10秒3差をつけて初日トップに立った。1分30秒4差の3番手には新井敏弘／保井隆宏（スバルWRX STI）がつけている。
スノーイベントの嬬恋で幕を上げた全日本ラリー選手権は、約1カ月のインターバルを経て、シーズン初のグラベルラリー、新城ラリーを迎えた。このラリーには開幕戦をスキップした、昨年のJN-1王者コバライネンが登場。さらに、TOYOTA GAZOO Racingは、勝田範彦／木村裕介が、最新のトヨタGRヤリス・ラリー2をドライブする。ただ、車両はまだ開発中のラリー2であるため、エンジンが一般に流通しているハイオクに適合しておらず、全日本ラリーのレギュレーションに合致していないため、今回はオープンクラスでの参戦となった。
眞貝知志／安藤裕一は、新たに製作されたトヨタGRヤリスのDAT（8速AT）仕様をドライブ。福永修は先代ファビアの最終スペックである、ファビア・ラリー2 Evoをこのラリーから投入する。これまで福永がドライブしていたファビアR5は、金岡義樹がステアリングを握ることになった。
20周年記念大会となる今回、新城ラリーとしては4年ぶりとなる有観客での開催を実現。サービスパークが置かれた県営新城総合公園にラリーパークが設営されたほか、公園内のステージで行われるデモンストレーションランには、TGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ、勝田貴元、モリゾウこと豊田章男トヨタ自動車社長が参加している。
ラリー初日は公園内のショートステージと、ハイスピードな「Onikubo（6.72km）」とツイスティな「Gampo North（10.69km）」をサービスを挟んでループする6SS、36.02km。
朝から多くの観客が集まった県営新城公園のSS1、わずか600mのショートステージで、幸先よくベストタイムを刻んだのはコバライネン。0.5秒差の2番手タイムには、開幕戦の勝者鎌田卓麻／松本優一（スバルWRX STI）、1.4秒差での3番手に新井、1.6秒差の4番手で福永が続く。本格的な林道を走行するSS2、コバライネンはこのステージだけで2番手の福永に13.3秒差をつける圧倒的なベストタイムをたたき出した。コバライネンは、SS3でも福永に22.4秒差となる3連続ベストを刻み、最初のループだけで2番手福永に37.3秒、3番手の新井に44.0秒の大差をつけてみせる。
サービスを挟んだ午後のセクションでも、コバライネンのスピードは変わらない。SS4からSS6までベストを並べ、この日行われた全SSをベストタイムで揃えてみせた。福永は2番手タイムをマークしたものの、初日だけで1分10秒3と、大きく引き離されてしまった。
「いい走りができたね。午後は少しプッシュした。ノリ（勝田範彦）さんがすごく速いから、少しギヤを上げたんだ（笑）。ノリさんはオープンクラスだけど、しっかりタイムをチェックしているよ（笑）。新しいダンロップタイヤがすごく良かった。今日は4本のみで乗り切ることができたよ。明日は雨になりそうだけど、注意して走るだけだね。去年のWRCもかなり激しい雨になったけど、いいタイムで走れたから。大きなリードがあるけど、油断せずに走るよ」と、コバライネンは余裕の笑顔で語った。
RALLY PLUS
一方、コバライネンのスピードに歯が立たなかった福永は「こっちがタイムを上げたぶんだけ、さらに上げてくる。ヘイキはやっぱり速いですね……。どうにも対策がない」と、がっくり肩を落とした。1分30秒4差の3番手で折り返した新井敏弘は「まだ新しいタイヤに慣れていないところがあったので、探り探りで走りました。午前中縁石にヒットしてヒヤっとしたので、午後はリスクを負わずに走りました。あと、特にツイスティなGampoでは、ケガでトレーニングができなかったこともあり、体力的な厳しさを感じましたね」と、コメントしている。
オープンクラスで参戦した勝田は、福永と新井を上回る総合2番手相当のタイムで走行。ただ、こちらもコバライネンからは、1分08秒6も引き離されている。JN-1クラス4番手は、ラリージャパンでも使用したプジョー208ラリー4の新井大輝／金岡基成。2輪駆動ながらも、新井敏弘から5.8秒差で初日を走り切っている。またJN-2クラスは、奴田原文雄／東駿吾がトップ。コバライネンからは1分28秒差と、タイムで新井敏弘を上まわるペースをみせた。
