開催中の全日本ラリー選手権第2戦新城ラリーに、ゲストドライバーとして来日したトヨタWRCチームのヤリ‐マティ・ラトバラ代表。日本のラリーファンを前に、自身のトヨタ・セリカGT-FOUR ST165でデモンストレーション走行を披露した。トークショーでは、トヨタ自動車の豊田章男社長が「ラトバラの210回目のWRC参戦が見たい」と言及。トークショー後にラトバラ代表が取材に応じ、自身も、胸に秘めた願望を抱いていたことを語ってくれた。
Q:1月の東京オートサロンでの展示に続き、今回はST165での走行をファンに見せることができましたね。
ヤリ‐マティ・ラトバラ(以下、J-M.L):当初は、オートサロンの後にフィンランドに戻す予定だったけれど、ちょうど日本にこのクルマがあることだし、アキオさん(豊田章男トヨタ自動車社長)がこのラリーでドライブできるか、と提案してくれたんだ。
Q:日本のラリーファンの前で走行を披露した気分はいかがでしたか?
J-M.L:とても良かったよ。今日はたくさんのお客さんが集まってくれて、みんな熱心。モータースポーツへの情熱をとても感じたよ。
Q:このラリーは、全日本ラリー選手権の一戦でもあります。
J-M.L:最初のステージ(県営新城総合公園)を観ることができた。いまトヨタはWRCに参戦しているし、若手育成のプログラムも行っている。それが日本に結果をもたらし、より若い人たちがラリーに参戦するようになってくれたらと思っている。
Q:勝田貴元選手が、そのロールモデルでしょうか。
J-M.L:その通り!
Q:今回、貴元選手の父、勝田範彦選手が、トヨタGRヤリス・ラリー2で参戦しています。選手権外での出走ですが、2番手相当のタイムを出しています。
J-M.L:とても頼もしい結果だね。ラリー2はまだコンセプトマシンで開発中なので、来年から本格的にWRCレベルの競技に参戦することを目指している。いまは何よりもデータが重要だ。ノリさんが今、その役目を務めてくれているので、我々はそのデータを集めて、ラリー2マシン開発につなげることができる。
Q:現在の全日本ラリーJN-1クラスのチャンピオンは、同郷フィンランド出身のヘイキ・コバライネン選手です。フィンランド出身の選手が全日本ラリーチャンピオンになったことについてどう感じますか。
J-M.L:とてもいいことだね! ヘイキは今年は全日本選手権に加えて、フィンランドでもラリー選手権に参戦している。彼はとても才能があって、F1でも活躍したドライバー。ターマックではとても速いが、スノーやグラベルではフィンランドでトップクラスを戦うにはもう少し経験が必要のようだね。フィンランド選手権は、とてもレベルが高いんだ。でも、ターマックではフィンランドでもトップレベルだと思う。そして、フィンランドから来たヘイキが、日本でどう戦うのか、周囲も注目している。そして、彼に続いてフィンランドから日本に参戦しようというドライバーも増えるかもしれない。そうして、お互いの国の競技が交わることになれば、とても興味深いよね。
Q:日本のラリードライバーも、彼から刺激を受けています。
J-M.L:彼はすごく速いからね!
Q:トークショーでは、豊田章男社長が「ヤリ‐マティの210回目のWRC参戦を見たい」と話していましたが、それは実現するのでしょうか?
J-M.L:40歳になる前に(*注:4月で38歳)、ハイブリッドのラリー1マシンでWRCに参戦したいと思っていた。そしてアキオさんがそのことについて言及してくれて、とてもうれしかったよ。すごくワクワクした。現在、4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドをレンタルできる状況にある。だから、もしかしたら……だね! 今年か、もしかしたら来年実現するといいね。カスタマーからどれくらいオファーがあるかにもよってくるだろう。
Q:GRヤリス・ラリー2で、9月のラリー北海道に参戦するという計画が話題になっています。北海道開催時代のWRCラリージャパンで使用されていたステージもありますね。
J-M.L:帯広拠点のラリージャパンには2006年と2007年、札幌拠点のラリージャパンには2008年と2010年に参戦したよ。「リクベツ」というショートステージの名前をよく覚えているよ。今でもラリー北海道で使っているよね。以前行った時もとても楽しかったし、またあそこで走れたら、とてもうれしい。ステージの詳細はもうあまり覚えていないけど、特徴は覚えている。また行けるのは、本当に楽しみだよ!
Q:ラリー北海道では、ヤリス・ラリー2を2台見ることができますか?
J-M.L:そう願いたいね。心からそう願っているよ。まだ何も決まったことは言えないけれどね。努力するよ。