WRC第4戦クロアチアラリー(ターマック)を4月23日に終え、ヒョンデ・モータースポーツのシリル・アビテブール代表がコメントを発表した。
ラリーに向けたテスト中のアクシデントでドライバーのクレイグ・ブリーンが命を落とすという、予想だにしなかった悲劇に見舞われたチーム。ラリーを愛したブリーンの思いに寄り添い、衝撃と悲しみの中で迎えたラリーを戦い終えた。チームは、ティエリ・ヌービルが序盤ラリーをリード。土曜日にデイリタイアを喫したものの、パワーステージではベストタイムをマークした。またエサペッカ・ラッピが3位でフィニッシュし、ポディウムに上がった。
「ラリー関係者のみなさんにとって、辛いイベントでした。多くの方々のご協力、ご支援、ご理解をいただき、本当にありがとうございました」
「今回、競技という側面で、このイベントに一心に取り組まなくてはならなかった。これは、クレイグのご遺族のご希望であり、クレイグも望んだであろうことは明らかだった。今回、自分たちが行ったことは、すべて彼や彼の思い出のためだった。このような状況の中でも、チームのモチベーションは高く、特にティエリーはモチベーションを高めていた。土曜日、彼の勝利への挑戦が突然終わってしまった時の我々の失望は、計り知れない。今回、我々のマシンを走らせ、ポディウムに我々のクルーを上げることは、クレイグのためにも重要なことだった。そのことが、この1週間、我々が歩んできたこの厳しくも感情的な冒険の中で、重要なマイルストーンとなると思っていた。それを、エサペッカが達成してくれた。今は、競技的なことを一度、横に置くことが必要だ」
「先週の木曜日、あの悲劇の日から様々なことが続き、チームにとって非常に厳しい時間となった。一時的に気持ちを抑えなくてはならなかったが、今はまた、それを振り返る時間となった。再び辛い時間がやってくるだろう。ひとりひとりがそれぞれの方法で対処する時間を作ることが大切だと思う」
チームはリリースの中で、ブリーンが最後に参戦したWRCラウンド、ラリースウェーデンで残したひと言を紹介している。
The final word #ForCraig
ヒョンデ・モータースポーツは、先週木曜日、プレイベントのテスト中に、悲しい形で命を落としたクレイグ・ブリーンを称えるためにクロアチアラリーに参戦しました。参戦した2台のマシンには、ブリーンの母国であるアイルランドの国旗をモチーフにしたカラーリングを施し、クレイグと彼のラリーへの情熱を偲びました。チームのサービスエリアには、心に響くクレイグの名言の数々が飾られ、ラリーやモータースポーツ界にその遺志を残す故人に敬意を表しました。
ヒョンデ・モータースポーツは、この日のポディウムというリザルトを、クレイグ、コ・ドライバーのジェームス・フルトン、クレイグの素晴らしいご家族、 熱心な友人、忠実なファンのみなさんに捧げます。みなさんはこの一週間、気落ちされ悲しみ、喪失感でいっぱいだったと思いますが、同時に私たちにたくさんのものを残してくれたひとりのドライバーへの愛に満ちていました。クレイグ、安らかにお眠りください。
“Don’t let anyone ever put you down, because only you know your true potential.”
Craig Breen, Rally Sweden, February 2023
「誰にも自分のことを悪くなんて言わせない。自分の本当のポテンシャルを分かっているのは自分だけだ」
クレイグ・ブリーン、2023年2月、ラリースウェーデンにて