WRC第5戦ポルトガルはすべてのSSを終えて、トヨタのカッレ・ロバンペラが今シーズン初勝利を獲得した。2位にはダニ・ソルド、3位にはエサペッカ・ラッピとヒョンデ勢が続いた。4位にMスポーツ・フォードのオィット・タナック、最終日に順位を落としたティエリー・ヌービルは5位でラリーを終えた。初日にリタイアを喫してしまった勝田はベストタイム1回、パワーステージでは4番手と力走を見せた。
競技最終日はサービスパークの置かれるマトジニョスから東部・東北部のエリアに設けられた、SS16〜SS19の4SSが行われる。パワーステージとなるファフェは2度走行(SS17/19)するが、SS16とSS18はそれぞれ別のコースとなる。首位のロバンペラは、競技2日目を終えた時点で57.5秒というマージンを築いており、後続の出方を見ながらリスクを避けた走りとなるだろう。一方、ソルド、ヌービル、ラッピのヒョンデ勢が繰り広げる2番手争いは僅差となっており、勝負の行方は予断を許さない。最終日も天候は晴れ、気温も20度前後と安定している。
オープニングステージとなるSS16では、再出走の勝田貴元が今大会初のベストタイムをマーク。SS2番手にはロバンペラが入り、後続との差をじわりと広げている。このSSでは、総合4番手につけていたヌービルがパワーを失い大きくタイムロス、上位争いの権利を失っている。これにより、総合3番手にラッピ、総合4番手にタナックが浮上した。続くSS17は、パワーステージとしても使われるファフェ。ここではロバンペラがベストタイムをマークし、最終SSに向けた準備も万端といったところだ。SS18はタナックが一番時計をマーク。SS2番手にはソルド、SS3番手に勝田が入った。総合順位に変動はないが、2番手のソルドと3番手ラッピの差は30秒に広がっている。
そして最終ステージ、SS19がスタート。ここではトラブルを解消できずにいるヌービルが最初にコースインし、エンジンパワーの上がらないなかなんとか完走を果たした。続いてはWRC2の上位勢がアタックを開始。WRC2は、SS19スタート前の時点でトップのガス・グリーンスミスと前日のペナルティで2番手にドロップしたオリバー・ソルベルグが8.7秒差という接近戦を展開しており、勝負の行方に注目が集まった。先にステージに入ったソルベルグは、それまでの暫定ベストタイムを更新する力走を見せた。続くグリーンスミスはソルベルグのペースを上回ることができず、暫定SS4番手でフィニッシュ。最終的に1.2秒の差で逃げ切ったグリーンスミスがWRC2で今季2勝目を獲得した。
続いて、ラリー1勢の勝田がスタート。勝田は美しい軌跡のジャンプを見せて観客を沸かせながら無事にフィニッシュ、暫定ベストタイムをマークして完走を果たした。続いてMスポーツ・フォードのピエール-ルイ・ルーベ、タナックがコースへ。タナックは暫定ベストタイムを更新し、4位以上を確定させた。ヒョンデ勢の2台で先に走ったラッピは、タナックと勝田の間に入る暫定SS2番手タイムをマークし、3位以上の座を固めた。昨年勝田と熾烈な表彰台争いを展開したソルドは手堅く暫定SS4番手タイムでまとめ、2位以上のポジションを手中に収めた。ソルドはポルトガルで過去6回表彰台を獲得しており、これで7回目を決めたかたちだ。上位陣のトリを務めるのはロバンペラ。まったく守りに入ることなく堂々のベストタイムをたたき出し、フルポイントでの今季初勝利を手に入れた。ロバンペラは22年の第11戦ニュージーランド以来の勝利。これでキャリア通算9勝目を獲得した。
これで最終SS終了時点での総合順位はロバンペラ、ソルド、ラッピ、タナック、ヌービルというトップ5に。パワーステージはロバンペラ、タナック、ラッピ、勝田、ソルドがトップ5に入り、ボーナスポイントを獲得することとなった。この第5戦までを終えて、ドライバーズランキングはフルポイントを獲得したロバンペラが98点、タナックが同じく81点、トヨタのセバスチャン・オジエとエルフィン・エバンスが69点、ヌービルが68点というトップ5。マニュファクチャラーズランキングはトヨタが201点、ヒョンデ169点、Mスポーツ・フォードが134点となった。
次戦は6月1日〜4日に開催される第6戦イタリア。地中海サルディニア島東北部のオルビアを拠点として開催されるグラベルラリーで、季節と相まってマシンにもドライバーにもタフさが要求される。22年はヒョンデのタナックが優勝を挙げた。勝田は昨年6位に入っており、今年も活躍が期待される。
WRCポルトガル 暫定結果
1. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 3:35:11.7
2. D.ソルド(ヒョンデi20Nラリー1) +54.7
3. E.ラッピ(ヒョンデi20Nラリー1) +1:20.3
4. O.タナック(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +2:04.1
5. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +8:22.5
6. G.グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +9:43.4
7. O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +9:44.6
8. A.ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +10:26.4
9. Y.ロッセル(シトロエンC3ラリー2) +11:33.2
10 T.スニネン(ヒョンデi20Nラリー2) +12:16.3