ERC第3戦ラリーポーランド(グラベル)は5月21日、競技最終日となるレグ2に設定された8SS・78.22kmの走行が行われ、前日首位のマルティン・セスク(シュコダ・ファビアRSラリー2)がリードを広げて、自身2度目となるERC優勝を飾った。
前日は選手権リーダーのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20Nラリー2)に8.2秒差をつけての首位で折り返したセスク。この日最初のステージではパッドンがベストタイムをたたき出して、その差を7.4秒に詰めるが、その後がセスクが会心の走りを見せて、この日8本中、4SSでトップタイムを連発。リードを39.6秒に広げて圧勝を飾った。
「本当に格別の気分。母国で地元のファンの前でこんな走りをするのも素晴らしいが、このポーランドでこの結果を残すのはまったく違う。マシン、チーム、タイヤを含め、すべて戦いの準備ができていた」と語るセスクは、ポイントランキングではパッドンに続いての2番手に浮上して次戦、母国ラトビアでのERCに臨む。
「このようなチームでこんな素晴らしいマシンをドライビングできるのは、最高の気分。こんなにハイレベルのパフォーマンスが見せられたことも、うれしく思う」
一方、ステージウインでこの日を滑り出したパッドンだったが、このステージで右フロントタイヤにダメージを負っており、マシンにはスペアを1本しか載せなかったことから、優勝争いを視野から外す難しい決断を強いられた。
「あのままプッシュすることもできたが、そうすると再びパンクしてリタイアするリスクも負うことになる」と語るパッドンは、このラリーを2位で終えたことで、選手権争いでの首位は堅守した。
「選手権争いのことを考えれば、ポイントを獲得するためには賢明な戦い方をしなくてはならない。だから、こんな判断をしなくてはならなかった」
地元ポーランドでイベント連覇を目指したミコ・マルチェク(ファビアRSラリー2)は、トップ3タイムを連発して3位でポディウムに上がった。
「ラリーを制した昨年よりも自分たちのペースは良かったと思うので、とても満足」とマルチェク。
「ラリーが始まる前に、ヘイデン・パッドンとマッズ・オストベルグの間でフィニッシュするよと言われていたら、自分はきっとパーフェクトな結果じゃないかと答えていたと思う。ラリーを勝てる強豪ドライバーたちだからね」
そのオストベルグ(シトロエンC3ラリー2)は、モータースポーツ・アイルランド・ラリーアカデミーのジョシュ・マクリーン(i20Nラリー2)まで1.5秒の5番手でこの日を迎え、激しい4位争いを展開したが、SS13のスタートから1.6kmでマクリーンが高速スピンを喫し、7番手まで後退してしまった。これで4位争いが決した形となったオストベルグは、最終パワーステージを制してラリーを締めくくった。
このポーランドで今シーズンが開幕したジュニアERCは、22年にデビューしたノルウェーのオーレ・ノーラ(ルノー・クリオ・ラリー4)が、1分2秒1の大差をつけて圧勝を収めた。今季のジュニアERCは、ハンコックタイヤが公式タイヤサプライヤーとなっており、ノーラはハンコックタイヤを履いての初めてのジュニアERCウイナーとなった。
「勝てるとは思っていなかった。もちろん、挑もうとは考えていたが、目標は経験を積みながらいいリザルトを収めることだった。チームや家族がとても支えてくれたので、恩返しがしたいと思っていたから最高だよ」とノーラ。
今季のジュニアERC、注目のマックス・マクレー(オペル・コルサ・ラリー4)は、SS1で部門セカンドベストタイムをマークしたが、土曜日に電子系トラブルを抱えて後退。7番手からこの日をスタートし、SS15、SS16ではセカンドベストタイムをマークするなど順位をひとつ上げて、部門6位でフィニッシュした。
このポーランドで、今季最初のグラベルラリーにルノー・クリオ・ラリー4で挑んだTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生では、小暮ひかるがERC4部門4位でフィニッシュ。金曜日にマシントラブルに見舞われた山本雄紀と土曜日最初のステージでサスペンションを破損させデイリタイアしていた大竹直生は、この日はそれぞれトップタイムをマークするなど好走を披露したが、山本はスローパンクによる転倒、大竹はラジエターのダメージによりラリーリタイアとなった。
ERCはこのポーランドから高速グラベルが3戦続く。その2戦目となる第4戦ラリーリエパヤ(ラトビア)は、6月16〜18日に開催される。
ERCポーランド 最終結果
1 M.セスク(シュコダ・ファビアRSラリー2) 1:34:57.8
2 H.パッドン(ヒョンデi20Nラリー2) +39.0
3 M.マルチェク(シュコダ・ファビアRSラリー2) +1:04.9
4 M.オストベルグ(シトロエンC3ラリー2) +1:12.9
5 M.ヘイッキラ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +1:16.7
6 M.フランチェスキ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +1:29.6
7 J.マクリーン(ヒョンデi20Nラリー2) +1:40.6
8 S.テンペスティーニ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +2:09.2