TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀が、今季最初のグラベル参戦として、5月19〜21日にポーランドのミコワイキで開催されたERC第3戦ラリーポーランドに参戦。木暮がERC4部門4位に入った。
また、3人が同じく高速グラベルのERC次戦ラリーリエパヤ(6月17〜18日)に参戦し、2024年のWRCで使用される予定の道を経験することになることも伝えられた。
(以下、チームリリース)
TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム
2期生の大竹、小暮、山本がERCラリー・ポーランドに参戦し成長を示す
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生、大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀が5月19日(金)〜21日(日)に開催されたFIAヨーロッパラリー選手権の第3戦、ラリー・ポーランドに参戦。全16のスペシャルステージ(競技区間:SS)のうち、TGRの3選手が10ステージでトップタイムを記録し、小暮がERC4クラス4位でフィニッシュ、大竹、山本は最終日のアクシデントによりリタイアとなりました。
ラリー・ポーランドは、ポーランド北部マズールィ湖水地方の町「ミコワイキ」にサービスパークが置かれ、2017年までFIA世界ラリー選手権の舞台にもなっていました。ラリーは3日間で16本のSSを走行し、その合計距離は182.06km。大半が、流れるような高速のステージで、3選手がこれまでフィンランドのグラベル(未舗装路)ラリーで経験してきた路面とは性質が異なる、軟らかく目の細かい砂状のグラベルに覆われた路面が特徴です。3選手はERC4クラスで他の25名の将来有望な若手ドライバーたちと戦いました。
ラリーは、金曜日の夜にサービスパークの横に設置された、2台が同時に走るスーパースペシャルステージで始まりました。そのSS1で、山本・テイスコネン組はドライブシャフトの破損によりステージを走り切ることができませんでしたが、車両が修復されて土曜日に再出走すると、山本は土曜日の7本のステージのうち、クラストップタイムを5本記録し、土曜日単独ではクラストップの走りを見せました。
大竹・サルミネン組はSS1をクラス4位で良いスタートを切りましたが、土曜日の最初のステージで外側に膨らみ、サスペンションを破損したため、土曜日は早々にデイリタイアとなりました。
一方、小暮・ルフティネン組は徐々にスピードを上げて、土曜日の午後にはクラス5位に順位を上げ、SS8ではクラス3位のタイムを記録しました。
日曜日の朝は、3選手が常にクラス上位につけ、ERC4のペースメーカーとなりました。山本がSS9でトップ、SS10は山本と0.1秒差で大竹がトップタイムを記録すると、大竹はSS12でもトップタイムを刻みました。しかし、路面が荒れて轍が大きくなっていた午後のループの最初のステージで、山本はスローパンクチャーにより軽く横転し、大竹はラジエータのダメージにより2選手ともにSS13でリタイアとなりました。
終盤に力を発揮した小暮はSS15と最終のSS16でトップタイムを記録し、良いかたちでラリーを締めくくりました。午前中から30秒以上差を詰め、後ろの選手とは4.1秒差をつけてクラス4位でラリーを終えました。
Quotes:
大竹直生:SS2で外側に膨らみ、木の切り株をヒットしてしまったことで、土曜日は残りのステージが走れませんでした。我々にとって新しいステージとなるポーランドで走行マイレージを稼ぐことが今回のメインポイントでもあったのでとても残念でした。ですが、早い段階から自信を持って走れていましたし、日曜日に再出走した際も同様で、スピードを見せられたことはよかったです。ステージは轍がひどく、クルマにとってタフな状況で、特に轍が大きかったSS13のどこかでラジエータにダメージを負い、走行を継続できなくなりました。轍が非常に深いところがあったり、路面が軟らかいといった初めての経験ができたのはよかったです。自分としては高速ステージでの走行がとても楽しく、ペースノートもうまく行きました。
小暮ひかる:結果をうれしく思っています。どのステージもとても楽しみましたが、路面状況は予想以上に軟らかく、轍が多かったです。このような状況でのドライビングに少し苦戦していたので、土曜日は少し抑え気味に行きましたが、日曜日はもう少しプッシュを試み、タイムも出るようになりました。講師陣が、轍のセクションにもためらわずに入って行くように後押ししてくれて、それがうまく行きました。良い経験が得られ、良い週末になりました。ペースノートやクルマのセッティングにも良い自信を持つことができ、全てがうまく行きました。次戦のラリー・リエパーヤではさらに良い結果が出せればと思います。
山本雄紀:日曜日の午後のアクシデントまでは、常に競争力ある走りができ、ラリーはうまく行っていました。ずっとトップ争いに絡むことができていたのは少し驚きでもありましたが、良かったです。自分たちにとっての新しい路面での走行をとても楽しむことができました。SS13では、道に大きな穴があったところでのブレーキでパンクをしていたのだと思います。ですがそれに気づかず、次のコーナーに向けてクルマの向きを変えようとしましたが全くできませんでした。今回のような轍はフィンランドでは経験がなく、私にとって新しく大きな学びでしたが、すぐに適応はできたと思います。車両トラブルとパンクがありましたが、それ以外のステージではERC4の上位ドライバーと互角に戦うことができたのはとても良かったです。
ミッコ・ヒルボネン(チーフインストラクター):選手たちのパフォーマンスと成長をとても嬉しく思っています。3選手とも良いスピードを見せてくれましたし、クラストップタイムも記録しました。山本は金曜日の最初のステージでトラブルが起きてしまい不運でしたが、問題が解消された後は印象的なスピードを見せてくれました。トラブルがなければ、トップに立つことができたほど良い走りをしました。小暮はスピードを徐々に上げていきました。今回のような深い轍でどのようにプッシュすべきかを理解するのに少し時間を要しましたが、要点を掴んだようで、最後にはとても良いタイムを出し、順位を上げることができました。最後の2ステージは、我々が彼を少し追い込みましたが、ミスなく走り切りました。大竹は早い段階でのミスで土曜日をほとんど走れなかったのが残念でしたが、再出走後は印象的な走りをしました。次のラトビアでのラリーがとても楽しみです。今回のような安定したスピードを保つことができれば、全員が表彰台を狙うことができると思います。
結果 (ERC4 class):
1 Ola Nore Jr/Rune Eiltertsen (Renault Clio Rally4) 1h48m54.6s
2 Norbert Maior/Francesca Maior (Peugeot 208 Rally4) +1m02.1s
3 Victor Hansen/Victor Johansson (Peugeot 208 Rally4) +1m26.5s
4小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Renault Clio Rally4) +1m42.3s
5 Roberto Daprà/Luca Guglielmetti (Peugeot 208 Rally4) +1m46.4s
6 Miko Jalava/Riikka Hokkanen (Ford Fiesta Rally4) +4m57.1s
リタイア 山本 雄紀/ミイカ・テイスコネン (Renault Clio Rally4)
リタイア 大竹 直生/マルコ・サルミネン (Renault Clio Rally4)
■次戦
6月17-18日に開催されるFIAヨーロッパラリー選手権の第4戦、ラリー・リエパーヤに参戦します。今回のポーランド同様、高速のグラベルステージのラリーです。3選手は、2024年に初めてFIA世界ラリー選手権として使われることになる予定の道を経験することになります。